17:58 2005/10/18 ●なにか書き記すのはストレス解消になるかもしれないと思った。 でも,他人に発信するほどのことを書くことはできない。 ただの雑感だし,住んでる世界も狭いので,それほど面白いことを思いつくわけではない。 確かに何かを作ったり,機械をいじるのは好きなのだが, そこんとこはホントに興味本位なので,本人としてはそれほどすごいことだとは思っていない。 しかし,やはり何か目的意識がないといまいちモチベーションが上がらないのも事実だ。 たとえば,ギターアンプを作っても使ってくれる人がいなくて,自分がステージで使う機会もないとしたら, モチベーションはまったく上がってこない。 だからといって,プリアンププロジェクトは棚上げになっているわけなのだが, 自分の興味の赴くままに,興味的な欲求を満たすためだけに自作を続けるというのはなかなかできないことだ。 好奇心という言葉でもない。 知的好奇心でもない。 単なる肉体的刺激を求めているのか。 音楽を気持ちよく聴きたいという欲求なんだろう。 しかし自分の場合それだけではないらしい。 労働の意欲というものは自分の仕事が誰か他人に認められることによって発生するという。 逆説的に言えば,誰かのためだと思い込むことによって仕事がはかどるということである。 予てから職人にあこがれてきた自分としてはそんな甘っちょろいことを言うつもりはない。 職人は自分の作品のためにすべてをささげるのである。 コマーシャリズムに汚されたアートなんてモノに踊らされちゃいかん。 しかしね。そんな狭い世界に生きていてまともな生活ができる人はそうそういないよ。 職人は食べていかなきゃいかん。 そのためには収入が必要なわけだ。 多かれ少なかれ自分の作品を認めてくれる支援者やファンが必要なわけじゃないか。 業務に対するモチベーションをもう少し考えよう。 たとえば,いまいろいろと突っ込まれている仕事が多数あるわけだ。 入社したときは,一度にひとつの仕事しかしていなかった。 いまは様々な業務を平行して進めていかなければならない。 それにしても業務中に思ったことをただ書いただけ。 0:14 2005/10/19 ●造語 唯二無三 ゆにむさん UNi-MuSan 世界にひとつってのは遠慮して二つくらいならあるでしょって特に意味もない言葉。 無国籍な響きがステキかも。 あーステーキ食いたい。 WEBを見てると自分が考え出したと思っていたことでも案外他にも同じことを考えている人がよくいたりする。 そんな謙虚な気持ち。 自作って所詮自己満足の世界だから,自分が考えた!!とかいっても大して偉くない。 偉いのは考えた人ではなく,世に広く知らしめた人。 そんなかなしい理系の愚痴。 22:16 2005/10/26 ●特に何でもいい。 思いついたことを書き記しておくことは重要だ。 たとえば,昨日見た夢。 なんだったかな。 概要は覚えているけど,詳細までは覚えていない。 夢は覚えているか,いないかが問題で,毎日見ていると言われている。 確かに。 寝るのが好きだし,夢の世界でなんかとんでもないことをしでかすのも結構好き だったり。 空を飛んでみたり,泳いで見たり,ギターを弾いたりする。 車を運転する夢は良く見るな。 絶対いつもブレーキの利きが悪いんだよね。 バスを運転したこともあるな。 あとは,小学校から大学までの友人がごっちゃになった夢とかよくみるね。 そういうインパクトのある,楽しい夢は覚えていることが多い。 恐ろしい夢とかは最近見ないかも。 現実が味気ないからかな。 あまりにHappyな状態だと恐い夢を見てそれがショックになったりするのだろうか。 子供のころはよくあった気がするな。 大体,子供と大人の境界線てなんだ?? おそらく,大人が勝手に決めたのだろう。 自分たちは子供には戻れない。 でもちょっと戻りたい。 みたいな気持ちが境界線を引いて,区別することによって諦めがつくのだろうか。 子供にとっては自分はほっておけば大人になるのだから,自ら区別する必要はない。 大人なんて結局30代くらいから成長してないわけで,逆に言ったら退化していくようなもんだから, 余計に後戻りして自分が得られなかった何かを求めたいのだろう。 でも,大人だけが理解できる世界というものは確実にあると思う。 とくに最近そう感じる。 音楽の聞き方も変わった。 子供の時はロックしか受け付けなかったけど, 最近はジャズからクラシックからなんからいろいろと器が大きくなって, いろんな音楽を聞くようになった。 そのかわりテレビはみなくなったな。 ダラダラみてもあまり面白くない。 たまにみると面白い。 討論番組とかは絶対に見なかったのに,最近は結構面白く見ることができる。 人間あるところにドラマがあり,生き様があり,確執がある。 本来,自分大好き人間なので,基本的に他人には興味がない。 でも,いろんな面白い人に出会い,話を聞いたりしてきて,人間社会っていろいろあるんだね。と。 自分の今の行き方に疑問を感じるってのは当たり前のことなのだろうか? 自分が違う仕事,違う生活,違う場所でちがった環境におかれていたら もっと違った人間になるだろうと思うことがある。 でも,実はどこにいても自分は自分で案外変わらないのかもしれないと考えたりもする。 おもてっつらはよくなるとは思う。 まあ,人付き合いの多さに比例すると思うけど。 でも,根っこは変わらない。 やっぱり,会って向き合ってみれば大体その人柄が伝わってくる。 なんか,無理しちゃってる人とか,素な人とか。 活字でやり取りするのは難しい。 やはり,メールよりも電話で話したほうがいろいろと簡単に済むこともある。 鳥と目なし。 21:32 2005/11/06 ●「ボケニンジン」:「朴念仁」の親戚 なんておどけている場合ではなく。 メモっておこう。 独りプロジェクト。 DACを自作する。 PCM1704というICがある。 バーブラウンを吸収したTIから発売されているICだ。 まあ,オーディオ用のDACなのだが,結構定評があり,各種ハイエンドのCDプレーヤに採用されている。 特に日本人は好きらしく,エソテリックやら,ソニーやらが採用している。 WEBでもPCM1704を使用した自作を行っている人もいて,今となっては特に珍しくもなく,枯れたICといえよう。 枯れているから嫌とか,そういう天邪鬼さはあまりないので,こいつを中心にDACを作ってみたい。 要するに,云十万もするようなCDプレーヤは買えないけれど,それに近い音を聞きたいということである。 しかし,デジタルは音が変わらないと言われてCDが発売されたものの,実はレコード以上に奥の深い世界が潜んでいたとはCDの開発者でも考えなかっただろう。 デジタル信号の品質を語る上で欠かせないのがジッターである。 時間軸上の時間的な揺らぎであるが,古い言葉で言えばワウフラッターに近い。 しかし,ワウフラッターとジッターの一番の違いは, ワウフラッターがレコードの回転周期の数倍位までの周期をもつ揺らぎだとすると, ジッターは数十KHz以上の高い周期を持つ揺らぎだと言うことである。 つまり静的にどんなにS/Nのよいシステムでも,デジタル信号にジッターがあれば音声波形が時間軸上を揺れることによって, 本来の音声波形とは異なった波形になる,つまりノイズが発生することになる。 ジッターというキーワードはデジタルオーディオを紐解く上でひとつの指標になりえると考えている。 ただし,このジッターという言葉の定義は一人歩きをしている向きがあり,単に「低ジッター」という言葉に惑わされないほうが良い。 間違った定義で使用されていることもある。 ジッターを厳密に評価するためには高速,広帯域の計測器が必要であり,特に時間変化を伴うジッターの評価は厄介である。 ジッターを評価する場合には信号をサンプリングする長さが測定結果に重大な影響を及ぼす。 1クロックのジッターを測りたいのか,10000クロックのジッターを測りたいのか,もっと長い温特や経時変化を測りたいのかなど, 目的に応じて使用する計測器も変わってくる。 スペクトルアナライザーのような周波数軸を解析する計測器もまた有効である。 この場合,スプリアスという形でジッターが現れてくる。 クロックがより低い周波数で変調されている場合は,スペアナによる解析ですぐに発見できる。 もちろんメーカも開発段階で確認はしているとは思う。 しかし,そういった地味な実力は宣伝文句にはならないので,表に出てくることはない。 また横道にそれたが,今回はクリスタル精度のクロックでDACを駆動することを目標に置いている。 やっと回路図がまとまってきた。 基板を起こそうと考えているので,基板外形を決めるためメカ設計を行わないといけない。 基板には部品にあったパターンを作らないといけないので部品の寸法を全て調べないといけない。 部品選定は秋葉をプラプラしながらというのが通例であったが,今回は部品に合わせた基板を起こすため,結構大変だ。 しかし,インターネットは便利で,ほとんどの部品の寸法形状が容易に手に入る。 一昔前ならば部品屋さんから入手するしか方法がなかったであろう。 そういった意味では自作をする人にとって部品の情報が容易に手に入るため,部品を正しく使うことができ,性能をフルに発揮することができるようになってきたのではないだろうか。 0:04 2005/11/14 ●そういう意味ではド素人の自分がこうやって独学で勉強していけているのもWEBのお陰だ。 ただ,情報のフィルタリングは常に必要である。 ケースとトランスは入手済みである。 RSコンポーネンツで買った。 速い。翌日とどいた。これならば土曜日に指定しておいて気軽に買える。 もちろん割高なのはしょうがないと割り切るしかないのだが。 ケースは横幅100mm長さ280mmくらいのアルミ押し出し材を使ったケース。 アメリカ製なのだが,パネルがちゃちい。 厚さは1.5mmくらいのアルミなのだが,皿ネジの加工がなかったり,なんにしても薄すぎる。 ちょっと心もとない。 やはり,日本のタカチなどのケースは高品質である。 以前奥沢で購入したケースもパネルの厚さが3mmもある立派なアルミ製だ。 とりあえずCANNONコネクターの穴を空けた。 ボール盤を買ったのだが,一緒に買ったドリルが安かろう悪かろうで,仕方なく主要な径は新たに購入した。 日立ブランドのものだがなかなか素晴らしい。センターがずれない。 今回はバランスアウトのみの予定である。 今後自分のシステムはバランス構成でいこうと考えている。 そうすると今使っている5998アンプもバランス入力にしないといけないのだが, なにぶんパネルに空きスペースがない。 フロントパネルに新たな穴を新設するしかないようだ。 その他にもアムクロンのD-45あたりも狙っている。 コストパフォーマンスはいいらしい。 リファレンスとして中級スタジオクラスの音響は体験しておきたい。 基板を手直ししなければ。 部品番号を打ち直す予定なので,パターンに影響がある。 そういえば,鈴商でムラタのBNXが売っていた。100円だった。さすが。 日米ではニチコンのKMGが14本で105円だし。買い物上手になったな。 部品がほぼ決定したので,メカ的な配置と高さ制限を考慮して基板のパターンを書き直す。 そんでもって,48KHz系のサンプリングにも対応できるようにVCXOを二系統にする。 VCXOはディスクリートではなくC-MOSで発振させるようにしたほうが回路が単純になっていいかも。と考えている。 自動切換えのロジックと96KHzや192KHzの動作も視野にいれよう。 ただし,Bit数が増えると大変よろしくない。 FIFOは18Bitだからどうしようもない。 だからやはりCD専用でもいいかもしれない。ん〜。 高音質配信とかがはじまったらまた考えよう。 SACDの自作ができる時代は遠いな〜。 専用のチップを入手しないといけないし,CPUでコントロールする必要もありそうだ。 出力はLPF兼用IV変換後1次LPFを通してダブル差動回路で同相ノイズ除去して,DCサーボをかけて出力する。 DCサーボはオリジナルの設計にしてみる。 23:57 2005/11/29 ●昔の日記を読んだ。 こうやってLOGる前の日記だ。 販売応援に出た1年目の冬。 その頃の日記だった。 あの1ヶ月がすごく懐かしい。 青春と言ったら大げさだけど,毎日骨身を削って仕事をしていた。 様々な人に出会い,接し,話をしていろんな経験を積んだ。 2度と戻りたくはない場所であるが,懐かしくもある。 自分の現在の仕事の進め方や職場の仲間への接し方,流れ行く時間,人生への姿勢。 現在の自分を取り巻く時間の流れは2年前とは大きく異なっている。 こなすべき仕事は多く。時間は少ない。 あのころはまだ自主的に自分の業務内容を決めていたわけではなかった。 いまは自分で舵取りをしなければならない。 しかし,どちらかというと他人任せになりがちだ。 任されたもののなぁなぁにしてしまった仕事も多い。 言い訳はいつも「モチベーションが上がらない。」 出ないやる気を絞り出すのに必要なのは使命感,責任感なのか? 自分は責任感はあるほうだと思っていた。 いまはそんなささやかな自信もない。 無責任でいいかげんで詰めが甘く,なぁなぁで物事を転がしていく。 他人との意見の対立を恐れ,なし崩し的に妥協していく。 確かにおまえは会社に入ってから成功経験と言うものを味わっていない。 自分が関わったプロジェクトで充実感を味わったものがあるか?? 1件の不良解析とライトンの基板だけじゃないか。 自分もひとつの製品の一部を責任もって担当したい。 今のプロジェクトだってそのつもりだった。 期待される以上の働きだと言ってもらえるが,じゃあ,自分はそれでいいのか?? おまえら俺に期待しすぎなんだよって一蹴できるか?? 自分には力があると過信してきた。 確かに数時間の集中力はあるだろう。 しかし,継続して計画的に仕事を進めていく能力は皆無だ。 そこんとこよろしく。 1:06 2006/01/29 ●一ヶ月の穴があいたな。 久しぶりにこうPCに向かっている。 品質保証について考える。 メーカでは様々なテストを行う。 なんか書く気が失せた。 仕事が忙しい。 いや,決して忙しくはない。 なんかペースがいまいちつかめない。 フワフワシテイル。 あまり良くない状況だ。 自分のプロジェクトは遅々として進まず。 基板のパターンが書けた。 0.1uのコンデンサーを120個も使うらしい。 いったいにどこに使っているのやら。 部品の発注をしようと思っているが, まとめる時間がない。 そうだ,会社にデータを持っていこう。 17:23 2006/03/12 ●半導体がそろった。先々週だが。 残りの電気部品も発注したし,秋葉で買い足した。 そして一番の肝の基板も発注した。 1枚6000円くらいになる。10枚だから・・・ 誰か原価で買ってくれんものだろうか。 そういえば,JBL 4430を安価に入手できるかも。 あ,お店にメールを出しておけばよいか。 しかし,人ひとり分くらいの重量のあるものを2つこの部屋に置こうというのだからあんたすごい発想してる。 でも,4430が来たらEL34か6550でアンプを作りたいし,ホームシアターなんてのもステキだな〜。 4430の魅力はやはり2Wayであることにつきるだろう。 この狭い部屋に3Wayを置いても音がばらばらになってしまう。 でも,もしかしたら,2235Hのエッジがぼろいかもしれない。 エッジ交換しないと。 軽やかな低音を求めて2226に換装するのも美味しいかも知れない。 後はスーパーツイーターでも追加すればもっと美味しくなるかも。 2Wayがいいって言ったのに矛盾してやがる。 ネットワークもいじりたいし。 と夢が広がる。 23:55 2006/03/21 ●電気部品がほとんどそろい,今日基板が届いた。 うーんなんて気持ちの良い瞬間だ。自分が設計した基板を見るとやはりわくわくする。 萌えそのものだ。。 なんて健康的なんだ〜!! 一応フットパターンもOKのようだし,はやいところ実装しなければ。 といったところで半田がなくなってしまった。。 基板は勢い10枚頼んでしまった。 トータルで50000円以上かかっている。まあ,一生に一回位ならいいか。 癖になりそうだが。 周辺部品の加工が大変で,電源の製作もおぼつかない。 やっとこ先が見えてきた感が感じられる。 一発で音だしできればいいのだが,まずはVCXOの動作確認から始めなければならない。 結構先は長いのだ。。。 PCM1704の電源もトランジスタのリップルフィルタにすればよかったといまさら後悔。 ただ,電源の設定が難しいので,まあ仕方ないでしょう。 三端子のノイズ特性がどうなのかは非常に気になるところなので,実測も含めて検討したいな。 検討項目としては ・VCXOの動作確認(レンジ,安定度,ジッタ) ・ロジック動作確認(音だししかないでしょ。ロジアナ使う?) ・PCM1704の使いこなし(サーボ系の電圧源に入ってるパスコンの最適化) ・各部のノイズ測定(スペアナ) ・伝送波形の最適化 ・出力のノイズ確認(スペアナ) といったところか。 休日こっそり会社でやるしかねぇなこりゃ。 まずは周辺部完成させて後は基板をつなぐだけって状態にするこっちゃ。 0:31 2006/04/16 ●ま,とりあえず愚痴るか。 何に対して? TIに対して。 なぜ? むかつく。 もっと具体的に。 SpActってやつ。 なにそれ? DIR1703ってICの機能。 わからんてば。 いわゆるDAI,デジタルオーディオインターフェイスで, 謳い文句は低ジッターのクロックリカバリ。 内部のPLLでX'Tal基準の100MHzを生成し,そのクロックで外部から入ってくるSPDIFを読み取るらしい。 そしてSpActからのデータで2番目のPLLを動作させてシステムクロックとして出力しているようだ。 出力クロックの挙動を見ていると突然周波数がホップすることがある。 もちろん10ppm程度なのだが,じわーっと変化するのでなく,カクっと変化するのだ。 まさにデジタルPLLと同じ動作だ。 X'Talに手を近づけると周波数が変化する!! PLLがかかっていれば入力のクロックに追従するので変化しないはずである。 そして,カクっと元の周波数に戻る。 手を離していくとまた周波数が変化するそして,ある程度のところでカクっとくるのだ。。 出力クロックがX'Tal基準で動いていることは明らかである。 以上の現象から推測すると,,, 内部PLLで生成した100MHzで読んだSPDIFをデコードすると共にFIFOバッファに貯める。 FIFOバッファからの送り出しはX'Tal基準の周波数シンセサイザーで作った固定クロックで出力する。 もし,バッファが空になりそうになったらシンセサイザーの設定を変える。カクっとくる。 そして,その出力に対して改めてPLLをかけているようだ。 確かに,ジッターとしては2番目のPLLのVCOのジッターが見えるだけで,SPDIFがもつジッターの影響は減るだろう。 しかし,カクっという変化が頻繁に起こると気持ち悪い。 もちろんFIFOバッファの深さも何も仕様には示されていない。 どれだけの変動に耐えられるのかまったくわからない。 しかも,このカクっという周波数変動が実にいやらしい。 せっかく動いたデータロックループが台無しになるのだ。 もっとループ特性を下げてカクっをジワ〜になるようにしないといけないのだが, 時定数的にはすでに1secくらいなので,10secとかにしてカクっに追従しないようにしなければならない。 といってもFIFOにも限りがあるのであまり時定数を遅くするとバッファがあふれたり,足りなくなったりするので,これもまた問題である。 ということで,オーディオ製品にデジタルPLLなんぞを導入したTIに物申す。 デジタルオーディオはアナログPLLという崇高なアナログ回路系によって成り立っている。 オーディオにデジタルPLLを導入するということはわれわれデジタルエイジに残された最後のユートピアを否定することである。 時間軸がデジタルで管理され,しかも管理主たるマスタークロックは人間の感覚からするとはるかに劣るものである。 盤面に刻まれたデジタル信号は今まではアナログ回路で作られた時間軸に乗ってやって来ていたが, SpActは時間軸すらデジタル管理になり,その分解能たるや数Bitしかないという粗末なシステムである。 今回のプロジェクトでクロックの精度というものがどういうものなのかよくわかった。 基板に手を近づけるだけで水晶の発振周波数が変化した。 ルビジウムのありがたさがやっとこ理解できるようになった。 所詮VCXOの塊であったとしても水晶基準で温特も経時変化もないクロック源なのであるならばその存在意義も認めよう。 所詮PLLはVCO出力であるからして大してジッターはよくない。 数万円の100MHzオシロで見ても明らかにDIR1703の出力クロックはエッジがぶれて汚い。 これが高性能を謳うICの性能かと落胆した。 それに比べてVCXOの出力はとてもきれい。エッジに乱れ一つない。 もっと広帯域のオシロでじっくり見たいものだ。。。 ついでにDIR1703をCS8414に換えれば, ・3.3V系がいらない ・WSYNCを出力するモードがあるのでWCKを作る必要がない ・純アナログPLLなのでクロックのカクっがないからシステムの親和性が最高!! といういいことづくめだ!!最初からシーラスにしとけばよかったよ。 次の機会があればCS8414で作ろう。 9:27 2006/05/25 ●朝の雑感。 久しぶりにちゃんりんこ通勤した。 雨ばかりだったので今日は久しぶりにさわやかな小春日和?だ。 といっても職場は空調が入っているのでなんら変わりない。 最近1週間が異常に早い。 JBL4430に恋焦がれて早2ヶ月。 しかし,左右合わせて120kgか。 自分の体重に近い物体があと2つ増えるのか。。。 いやいやまだわからん。 そんなにJBLがいいのならSRシリーズでもいいんじゃないかと思ったり。 スタジオモニタは高いし。4428とか。それよりSR4725とかがいいんじゃないか? エレボイのSXシリーズとかね。 スピーカーも革新の時代。 旧世代の怪物に固執する必要は無いけど,技術は進歩しても人間の感性はそんなに変わらない。 感覚の優れた人物が物量を投入して作ったものが悪いはずが無い。 やはり,方向性だろう。 どういった方向性を求めるのかなのだろう。 DACは順調に動いている。 いわゆる原理試作は成功といえるだろう。 しかし,次の段階へはいろいろと難問が多い。 欲張って48KHz,96KHz対応を考えているのだが, なかなかどうして。ロジックの切り替えやら何やらで悩ましい。 CS8416はフォーマットをディテクションしない。 手動で44.1KHz系と48kHzを切り替えるしかない。 なんかいけてない。 あとはマルチチャンネルフォーマットがどうなっているのかよくわからない。 DVDの出力をCS8416に入力するとどうなるのだろうか?? やってみれば?って気もするけど。 ね,掲示板を見ててそう思ったんでしょ? 自分も同じさ。尋ねる前にやってみると。 4430はダンピングファクターが10は欲しいということらしい。 ウーハーの2235が155gとJBLのウーハーとしては重たい。 これで1kHzまでがんばるのでかなり厳しいのは明らかだ。 そこで2226などの軽いウーハーは交換したいところだが箱設計がまったく違うので, ポートを70mmくらいまで短くしないといけなくなりあまり現実的でない。 そもそもJBLの15インチウーハーは寸法的な互換性はあるものの, 振動板の質量や磁気回路,などなど用途に合わせて様々な種類が存在するので, 共通のエンクロージャーに異なった種類のウーハーを入れて音がどうのこうのというはナンセンスである。 特にバスレフの場合は軽いウーハーを小さい箱に入れると最悪に低音が出ない。 逆に重いウーハーを大きな箱に入れると共振周波数が下がりすぎて能率が悪くなるだろう。 例えばスタジオモニターは比較的重いウーハーを使用しているので,PA向けの軽いウーハーに交換すると低音がスカスカになり, 一聴すると抜けのよい元気な音になるが,バランスは悪くなる。 逆にPA向けの箱はポートも短く軽いウーハー用に設計されていることがわかる。 この箱に重いウーハーを乗せても能率が下がり音飛びが悪くなりPAに向かない。 PAで低音を出したかったら18インチウーハーを搭載したサブウーハーを追加するのがベストである。 スタジオ用だと15インチだと低中音重視か,低音重視か設計思想によって分かれるところであり, 低音重視の場合スコーカーが必要になり3Wayは避けられないが中低音重視だと2Wayになるだろう。 最近よく見られる10インチ程度のウーハーを使用したスタジオモニタはバスレフを巧妙に設計して低音を伸ばしており,そもそも大音量再生には向かない。 やはりオーディオは周波数レンジとダイナミックレンジをどのように望むかが根本的なセオリーになっており,ホームオーディオならば小径ウーハーでも事足りるだろう。 大音量再生と周波数レンジを欲張るのならば, 18インチ - 10or12インチ - 1インチという組み合わせならばPAでもスタジオでも通用するバランスになるのではないだろうか。 シアターシステムでは今なお中音域にもホーンロードをかけた高能率なシステムを使っているが, 音声の明瞭な再生という意味ではやはり200〜2KHz位が重要になるのでホーンロードを200Hzくらいまでしっかりかけて音の位相をそろえているのだろう。 スピーカーは周波数特性で語られることが多いが,ある程度フラットなのが当たり前の時代なので,これから重視すべき特性は指向性と郡遅延特性であり, インピーダンス特性も見逃せない。 指向性は実際の聴取状態では直接音だけなく,壁や床からの反射音も重要なファクタであること, また,常にスピーカの真正面の軸上で聞いているわけではないことなどを考えると,30度位までは出来るだけ素直であることが重要で, 45度以上ではピークを持たずに減衰していく特性が好ましい。 無指向性スピーカーも増えてきたが,部屋の残響特性が素直ならばよい結果が期待できる。 どの方向にもピークやディップの無い素直な特性で音が放射されるからであり, 複数のスピーカから発せられる音が干渉し合い複雑な指向特性をもつスピーカーよりも自然な音になるのだろう。 特に気になるのはホーンを使用したシステムで,指向性にピーク・ディップがあると壁からの反射などで意図しないところに音像が出来たり, 高低音で音像が定位する位置が変化したりするなどの問題を引き起こすのではないだろうか。 また,郡遅延特性については振動版のスピードについて評価できるパラメータであり,大口径の振動板を高い周波数で使ったり,バスレフの低音で問題になる。 特にアルテックに代表される速い中低音はボーカルの再生には重要であり,重くて大きい振動板の共振を抑えて高音域を延ばしたり, 逆にホーンスコーカのカットオフを下げすぎたりすると位相が回り郡遅延特性が乱れるため,音が不自然になるはずである。 特に音声帯域でのクロスオーバは郡遅延特性を乱すので注意深く設計するべきである。 クロスオーバー周波数はユニットに対して使用限界と思われる周波数の2倍(1/2)以上のマージンを取るのが無難らしい。 何せ6dB/octの特性を見ればわかるが,カットオフ周波数の10倍(1/10)で位相の回転が気になり始めるので注意だと思う。 しかしJBLのすごいところは指向性と郡遅延に関してデーターが発表されている点である。 F特を公表するのはごく当たり前のことで,2ndHDや3rdHDも公表されているスピーカーは多いが, 指向性はまれに見かけるが,郡遅延まで公表しているメーカーは少ない。 確かにどんなにF特がフラットでも位相が回っていれば音楽は成り立たない。 中低音のキャラクタを語る上では郡遅延ははずせない要素になっていくのではないだろうか。 「である」って言い切ってるけど,所詮WEBで仕入れた知識だからな。。信用ならんな。 グランセプターか。仕事をサボってしまった。 世の中すごい人がいるもんだのお。 12:38 2006/06/22 ●最近勉強したのはPA用のPowerAMPについて。 例えば,クラウン,つまりアムクロン。 D-45というアンプをWE超えと称して通販しているサイトがあるのだが, まあ,まんざら嘘でもないと思いつつ,1台導入してみようかとも思いつつ, アムクロン,つまりクラウンのアンプについて調べてみた。 D-45というアンプはさすがにプロ用らしく,公開されている仕様がしっかりしている。 ・4,8,16Ω負荷で20,50,1KHzが連続で何W出せるのか ・4,8,16Ω負荷で20,50,1KHzがサイン波単発ならば何W出せるのか ・4,8,16Ω負荷で20,50,1KHzが40msecのバーストサイン波ならば何W出せるのか これってPowerAMPにとってとても重要な数字で, 連続負荷は電源ケーブルからトランス,整流回路,出力段トランジスタのON抵抗や飽和電圧が効いてくる。 サイン単発の数字は,1kHzでは電源はあまり関係なくて,アンプのヘッドルームが重要になる 40msecサインバーストは音楽信号に近い条件だそうで,電源回路とかコンデンサーにチャージされている電荷が重要になるモノと考えられる。 40msecサインバーストの結果がそのアンプの聴感上の出音の大きさを測る目安だとメモがあった。 このように見てみると製品として,こういった性能をギャランティーしているという事実はとても頼もしい。 コンシューマ用途のアンプでこのようなデータをそろえていて,性能を保証しているモデルは無いだろう。 で,実力はというと,16Ωでは連続出力でも単発サイン波でも出力はほとんど変わらないが,4Ω負荷では1KHzの単発サインで75W出るのに連続負荷では半分しか出ない。 周波数で比べると16Ωでは20Hzの単発サイン波でも1KHzの単発サイン波でも出力は変わらないのに,4Ω負荷では1KHzで75Wでるのに20Hzでは半分強しか出ないのである。 電力は電圧の2乗に比例するので,電圧が約70%下がると出力が半分になる。 トランジスタの飽和電圧は単発サイン波でも連続出力でもほとんど変わらないと考えると, 連続出力では最終段の電源電圧が70%まで低下するということである。 これが通常のトランジスタアンプの特性だとおもう。 このようなダイナミックな特性がアンプのキャラクタを決めるファクターであり,さらにダンピングファクターの周波数特性などの要素が絡んでくると考えられる。 クラウンのアンプはダンピングファクタの周波数特性が仕様に挙げられている。 もちろん,このような最大出力付近の動的な特性はオーバーロードするくらいの大出力を連続して出すときに影響が大きく, 小出力時はあまり関係ないと考えても差し支えないだろう。 小出力時はバイアス電流の流し方やノイズ特性に左右される要素が大きいと考えた方が賢明であろう。 ところでDC-300シリーズという有名なアンプがある。 ロックが爆音時代に突入し,ツアーコンサートではスピーカーが山積みになっていた時代に使われていたアンプでと思うのだが,回路図が簡単に手に入った。 内容は古典的なDCアンプの設計であった。 形状はシンプル。メンテもしやすい。 業務用のアンプの流れを組む硬派なアンプだ。 ただし,設計自体は古典的で現在の視点から見れば情けない回路であった。 特性は低域のダンピングをしっかりと確保し,帯域も十分確保した立派な特性である。 音は聞いたことがないのでわからないが・・・ クラウンはディスコンになった歴代のアンプの回路図を公開している。 例えばよく見かけるリファレンスシリーズの回路図も公開されている。 これがまたカルチャーショックであった。 二つのアンプを内蔵し,ハイサイドは通常のOTL出力だが, ローサイドはOTLの出力をGNDに直結している。 普通に考えると出力がGNDショートしているのだが,NFBをたくみに使用して,本来グランド流れる大電流を電源へ戻すように動作するようだ。 これがどういった利点を生むのかわからないが何か秘密があるのだろう。 某氏のDCアンプの設計はシンプルで明快でまったく申し分ないが,それとは対照的にこういった業務用途のアンプの設計思想は, 何重かにかけられた帰還,巧みに施された位相補償,効果不明の小容量コンデンサ,バイアスの動的な制御,オーバーロードや温度上昇に対するプロテクトなど, 緻密な設計とあらゆる動作検証が必要な,まさに工業製品,音響設備といった趣である。 そういった設計が出音にどのような影響を及ぼすかは想像できないが,緻密な設計と十分に設計検証された動作を考えると 過酷な環境においても安定した性能を発揮できることは想像に難くない。 またこういった大きなエネルギーを扱い,熱や振動を発する機械は筐体設計や実装のノウハウなども相当に必要であり, 業務用とで酷使され,ブラッシュアップされてきた歴史を考えるとアマチュアレベルの浅はかなノウハウとは隔絶した技術世界を構築しているはずである。 ただし,こういった堅牢な構造が出音にどのように影響するかは明言できないが。。 そういった意味ではSR用途の設計ノウハウを持つメーカーが作るスタジオモニタ用のアンプであれば, ステージやライブという苛酷な環境で動作するための余計な贅肉をそぎ落とすことによって, スタジオという穏やかな環境に最適化された質の良いアンプを製造することもそれほど難しいことではないのかもしれない。 つまり言いたいのはD-45はこういった設計がされているのかもしれないということである。。。 とにかくちょっと回路図をあさると色々と出てくるが,アマチュアレベルの発想と業務用途の設計には月と金星くらいの差があり, 開発に必要な手間や蓄積されたノウハウを考えると業務用途に耐えられる設計など,日曜大工程度の熱意では到底及ばないということがよくわかった。 ただし,一品モノといった面ではアマチュアでも一理あり,シンプルで単機能に絞れば業務用途の冗長な設計に太刀打ちすることは難しくない。 名機と呼ばれるものやデファクトスタンダードになっているものも驚くほどチープな回路設計で驚くこともある。 もしくは大量に生産する前提では安価な部品を使わざるを得ずせっかくの回路設計が泣いていることもある。 そういった場面を見ると部品交換病が発症し体が疼くのであるが,しかし, 部品交換の結果,製品としての取れていたバランスを崩してしまうこともあるのは事実であると思うので注意したい。 例えば,5532や5534というOPAMPがあるのだが,なぜこんなに重宝されるのか長年不思議に思っていた。 最近謎が解けたのだが,種はSSLのコンソールであった。 そう考えると,現在世界中にあふれる音楽のほとんどが5532や5534を通過してきたという曲げようの無い事実に今後永遠に縛られ続けることになるのである。 厳密には70年代後半から90年代後半までの時代はSSLがあらゆる音楽にかかわってきたのではないだろうかと思う?? 実際に録音の現場を知らないので偉そうなことはいえないが著名なミュージシャンが使用するスタジオはことごとくSSLを導入していたのではないだろうか。 その70年代後半より以前の古い時代は半導体の黎明期であり,真空管機材も豊富に使われていただろう。 そういう意味では50年代から70年代の録音はSSLの音ではないといえる。 そして90年代以降はPCがレコーディングに使われだしたので,SSLとは無縁の音というものも存在するだろう。 CDという技術が完成した80年代初頭という時期がソリッドステートが広まりつつある時代と丁度一致している。 初期のCDはひどい音だった言われているが,きっとエンジニアも新しい器に新しい道具で音を保存するという作業に習熟していなかったではないだろうか? そういったひどい録音のせいでCDの評価が落ちてしまったのは残念でならない。 個人的に80年代の音楽はまったく毛色が合わず,聞いてもせいぜいパンクくらいなのだが, 真空管にテープレコーダ,媒体はLPという,ある意味成熟したアナログ技術対して 80年代の録音は,半導体機材もCDという媒体も未熟でありそれを扱うエンジニアも不慣れであったがゆえに, 中途半端な聞くに堪えない録音が多く音楽自体も好きになれないのかもしれない。 デジタル録音と半導体機材を組み合わせることによって容易に帯域を延ばすことができるようになったが, 一部の時代遅れの機材が発生するゆがみっぽい高域が広帯域化と勘違いされ,低歪みになり低音の量感が出にくいがゆえに低音がオーバーブーストされ さらにデジタルデータのオーバーフローを防ぎつつ,少しでも音量を稼ぐためにコンプでガチガチに固められた音楽がHiFiとされた時代が確かに存在したのだと思う。 CDとラジカセが普及し,誰でもボタンひとつで音楽が聞ける時代になった。 ウォークマンが登場し,どこでも音楽が聴けるようになった。 そして大量生産され,消費される音楽はドンシャリガチガチのHiFiサウンドであったわけだ。 時代はめぐりピュアオーディオといわれるカテゴリが出来上がる。 録音機材の性能もエンジニアの技量もCDの器にあふれんばかりの音楽を詰め込むことができる時代になった。 CDに詰め込まれた情報を余すことなく再生するために再生装置も進化し,その進化があってLPレコードからも新しい情報を引き出す力を得るに至った。 アナログ技術とデジタル技術が相補的に作用して現在のピュアオーディオという世界を形作っている。 それにもまして録音機材のデジタル化は目覚しく,成長し続ける音楽マーケットに対して豊富な燃料を供給するために録音作業の効率化が図られていった。 しかし,デジタル技術が機能性の高さを武器に普及するがゆえに,フォーマットの限界も自ずから露呈してくる結果となり, デジタルだから音がよく劣化が無いという真理はもはや砂上の楼閣と化していった。 デジタル万能理論は大衆の支持を得たが一部のマニアやレコーディングエンジニアはアナログにこだわり続け, 禅問答の応酬,山篭りの修行僧の様相を呈していたが,やがてデジタル技術が修行僧の境地に追いついてくることとなる。 デジタル音楽も「16Bit 44.1KHz」が「24Bit 192KHz」へと処理できる情報量が多くなると共に精度が高まり, 録音媒体として音楽の表現性に対する存在感が薄くなっていった。 録音した音をそのまま再生することが可能になってきたのである。 歪みやノイズといった性能としてはアナログテープレコーダを凌駕していたデジタル録音であったが, アナログの質感が無く,可聴帯域ギリギリしかカバーしていないがゆえに感じる違和感が, フォーマットを増強し情報量を増やすことでその違和感が薄まっていき,録音媒体としては限りなく無色透明になってきているのである。 そこで再認識されたのはノイズと歪みである。 デジタル技術は徹底的にノイズと歪みを排除してきた。 なぜならばデジタル化を高精度に行なうためには歪みとノイズを徹底的に排除しなければならないからだ。 そういった録音媒体の存在が希薄になるという方向性に対して, 何かが足りない。薄っぺらい。硬い。などという声があがり,歪みとノイズは多いが,アナログ機材が持つ暖かさと存在感が重宝されることなった。 現在のデジタル録音ではアナログ機材は欠かせないアイテムと化しているのである。 デジタル技術が進歩したがゆえに,結果的に現在はソリッドステートもチューブも含めてアナログの天下になったわけだ。 録音媒体という器のキャパシティはアナログ機材の個性をも記録し,再生することが可能になってきているのである。 マイク,マイクプリアンプ,イコライザー,コンプレッサーの類はまさに群雄割拠の戦国時代を迎え, トラディショナルなブランドから,ガレージメーカ,新興メーカーまで多種多様な機材があふれている。 そしてエンジニアは歴史的名機から個性的な最新機種までを自由にチョイスして音を作ることができるのだ。 近年はまれに見るアナログ新世紀とみて問題ない。 しかも,デバイスの真価が問われ,チューブだろうが,半導体だろうが,コンデンサーだろうがトランスだろうが, 値段と性能には関係なく,名声と同意,説得力さえあればどんなにアナログな機械でも認められるので, ちょっとあちこち覗いてみると様々なアナログ機械の可能性が花開いている。 たとえどんなにセオリーを無視していても多くの人が認めればそれが正解である。 それがアナログ技術だろう。 ところでここでふと疑問がわく。 大きくなったデジタルの器はアナログを包含してしまったのか? それは違うであろう。 デジタル音楽には不可避かつ不可逆な2つの要素がある。 ・アナログ信号をデジタルデータに変換する。(AD変換) ・デジタルデータをアナログ信号に変換する。(DA変換) この2つの過程は避けて通れない道であり,どのようなデジタルデータでも1度は通過する。 この2つの過程を制するものがデジタル時代の音楽を制する。 つまりコンバータは究極のアナログ機材,最後に残された唯一の希望であり,架け橋なのである。 AD変換器とDA変換器は高度なアナログ技術の積み重ねの上にのみ成り立ち, しかも感性を必要とする地道な作業と全体をまとめ上げる豊富な経験が必要になる。 つまりアナログ信号をどれだけ精度良く捉えることができるのかという難題に挑戦しながら, 音楽性を失わないという方向性とも一致しなければならないし, 細かいことにこだわりすぎて最終的な出来映えが疎かになってもいかんだ。 歪みとノイズを徹底的に排除しながらも,音楽性と機能美は残さなければならないのだ。 いかにもオーディオ評論家が喜びそうな言葉だな。。 一方次世代の音楽媒体のKeyを握る技術はデジタル信号処理にも存在することも忘れてはならない。 デジタルは所詮,離散化された有限の数値の集まりであるため,演算誤差が必ず存在する。 イコライザや音量調整では演算誤差によるBit落ちが発生しているのである。 最近はAD変換も24Bitになり,演算を32Bitで行なえる環境も整っている。 しかし,32Bitや64Bitなどという多くの情報量をもって演算したとしても, 最終的にはCDなどの媒体に合った情報サイズに圧縮されるのである。 例えば同じデジタルデータを異なったソフトで同じようなイコライジング処理をしたとする。 出来上がったデジタルデータは当然のように異なったものになる。 内部の演算アルゴリズムが異なるからだ。 また,デジタル処理で音量を半分にすると1Bit分のデータが消え,16Bitのデータが15Bit精度になる。 15Bit精度なったデータをデジタル処理して2倍にすると,16Bit精度になるわけがない。 一度失われた情報は2度と戻ってこないのである。 さらにMP3などの圧縮フォーマットの普及により情報はどんどん欠落していく。 再生側では補完できない情報の欠落が発生するのである。 時代はCDの次の器を求め,SACD,DVD-Audioの両規格が策定されている。 しかし,12cmディスクというCDと似た外観はパッとせず,購買意欲をそそらないし, ある程度つくりのよいプレーヤーと再生システムでなければCDとの差がわからないという 致命的な欠陥により普及しているとはいえないし順調に市場が膨らんでいるとも言いづらい。 ビットレートの高い情報量の大きい媒体は準備されているにもかかわらず, 消費者側の環境がハイビットレートを必要としていないので,いまいち普及しないのである。 24Bit 192KHzになると16Bit 44.1KHzとは根本的に音が異なるという記事を読んだことがあるがどの程度なのだろうか? ラジカセ並みの環境でも差がわかるのだろうか?? ましてや,録音と編集の環境はそういったハイビットレートに対応しているのか? CDのときのようにフォーマットを生かしきることができていないのではないだろうか? 疑問はまだまだなくならない。 話を整理するとSSLとCDによってHiFiは身近なものになった。 しかし,デジタル技術の進歩はSSL,CDという過渡期の器に収まることなく,次なる時代へと向かっている。 これからのオーディオを語る上では以下の3つがマストアイテムだ。 1:純粋アナログ機材(録音も再生も) 2:デジタル信号処理技術 3:アナログとデジタルの橋渡し(AD/DAコンバータ) このうちの一つでも欠ければ現在の音楽産業はまったく成り立たない。 もちろん私は業界人ではないが, ただの機材マニアとして意見だし,すごく若輩者なので嘘ばかりこてんこてん・てんこ盛りかもしれない。 まあ,アンテナ張って情報集めて感じたことだから一面の真理はあるのではないかと。。。 忘れちゃいけないのは,機材マニアではない普通の音楽好きにとっては 重要な選択肢が3つほど残されているというこかもしれない。 1:生演奏を聴きにいってみる 2:自ら楽器を演奏し,歌でもうたってみる 3:自分の気に入る音楽を探してみる 1:に関しては本当の生演奏で無い限り,音響機材の音が大きく音楽を支配していることを忘れちゃいけない。 2:に関しても電気楽器が普及している世の中,デジタル楽器のチープな音では満足できないだろうから本物のアナログ楽器がいいだろうし, カラオケのエコーだってアナログの方が気持ちいよいに違いない。(強引) 3:は足で稼ぐか,友人と情報交換するか,ネットで調べるか,いずれにせよ一番人間的なアナログ的な作業なんじゃないかな。 きっと普通の人はこういう風に音楽を楽しむんだろうな・・・ 16:23 2006/06/27 ●今日は強烈に眠いんだ。 14:41 2006/06/29 ●二日酔いは最悪だ。 23:23 2006/07/09 ●さて,今回のプロジェクトの進捗をまとめよう。 2Uのラックケースに収めるわけだが,いろいろと苦労したぞ。 まずはどのような構成で収めるのか? 結局試作品ということで拡張性を重視した構成とした。 ゴム足で回路を浮かせることを考えていたのだが,断念。 真空管だけ浮かせた。 ラックケースに収める場合,真空管をどのように配置するかが難しい。 基板を用意してそこに収めても配線が裏側になるので厄介だ。 基本的に今回はパンチアルミにポストを立てて配線するという方針から代わりはない。 しかし,配線を最短にするためには,真空管を縦置きするのが難しかった。 縦置きしつつ足に配線するのが難しかった。 やはりプリアンプは難しい。 複雑な回路を以下に小さく作るかというテーマがいつも壁としてはだかる。 結局見た目は汚い配線になってしまった。。。 フロントパネルは丁寧に加工したよ。 アルマイトの皮膜がかなり丈夫だったので傷がつかずにすんだ。 LEDはGainとMasterの位置に持ってきてわかりやすくしたつもり。 やはり,回路優先の配置になってしまう。。 今回はロジックもちゃんと組んで3chを自由に切り替えられるようにした。 念願のシステムだ。 部品はXiconのカーボンコンポジットに金皮,一部デールを使おうと考えている。 コンデンサーはSOZOという楽器向けのコンデンサー。 かつてNEVEやMarshallに使われていたマスタードと呼ばれるコンデンサーを復刻したものだそうだ。 ひとつひん剥いてみたのだが,アルミ箔巻きのしっかりした構造だった。 見た目はいまひとつだし,作ってるのはASCなんじゃないかと思わせるような外観だが, どのような音が出るのか楽しみの一つである。 リレーによる切り替え回路を仕込んだが,うまく動くといいな。。 5Vの3端子Regで駆動するのだが,発熱がちょっと心配。 シールド線は一切使わなかった。 シールドが必要なところはフジクラのLANケーブルをひん剥いたツイストペアの裸銅単線を使用している。 皮膜はテフロンか,架橋ポリなどの樹脂だろう。 高周波は表皮効果が顕著なのでメッキできない。 LANケーブルは4対のツイストペアからなっており,太さといい,材質といい音響機材にはぴったりだと思う。 グランドはアース母線方式を採用。 といっても一点グランドに近く,ニアバイアース的でもあるというハイブリッドグランド方式だ。 まとめても影響の無いところはまとめて,から母線まで引っ張る。 グランドに電位差が出来ると影響の大きいところは母線の一点に集中して配線する。 むやみやたらに母線にグランドを落さずステージごとに一点を決めて集中して母線に落す。 つまり一点グランドの点を母線でつないだイメージだ。 点を決めたら後は大電電流ラインや小信号ラインを区別して小信号ラインを優先的に配線していけばよい。 やはりギターアンプは難しい。 一筋縄ではいかない。 ポイントはプレートから出力されるラインはインピーダンスが低く,信号レベルが高い。 グリッドに入力されるラインはインピーダンスが高く,信号レベル低いということだ。 つまり,プレートから出力されるラインは引き回しに強いが,グリッドに入力されるラインはノイズに弱く引き回しに注意が必要ということである。 真空管の入力電圧はカソード,グリッド間に加わる。 カソードのグランドとグリッドのグランドが離れていればグランド間に電位が発生した場合,入力信号に悪影響を及ぼすのでカソードとグリッドのグランドは共通にしなければならない。 例えば,プレートの出力をボリュームに入れて次段のグリッドに入力する場合,ボリュームのグランドは次段のグリッドのグランドにつなぐのが正しい。 前段のグランドにつなぐとグランドにノイズが発生した場合に入力に印加されるノイズが大きくなる。 部品配置が大きく性能を左右する。 合理的かつ高性能な配線方法を未だに思いつけないでいる。 特にハイゲインなアンプになればなるほど難しい。 マーシャルのJCM2000はなかなかよい設計をしている。 入力とかもよく考えられていてこれこそ現代の真空管アンプだと思った。 半導体との親和もよく,あの構成で10万ならば安いとおもう。 むしろマーシャルベースに改造していく方がいいのでは? なんて思ってしまったりするな。 しかし,プリント基板を使用しない!!という方針は変えるつもりは無い。 もちろん,穴あきの配線板も使わない。 使いようによると思うのだが,それが俺のこだわりだからだ。 特に高電圧がかかるプレート周りの配線は中途半端な絶縁物は絶対に使わない。 グランドに対して電位を発生させ,漏れ電流が他の信号に漏れこまないように注意する。 基板も使いようなので,数を作るならば本気で基板化を検討しないといけない。 とにかく高電圧周りには使わない。 ソケットにダイレクトに部品をつけたい。 いろいろと欲望がある。 次のPowerアンプを考えよう。 トランスドライブ。6V6p-p。 トーンは固定をいくつか。 プリアンプをつないで使う仕様。 スクリーングリッドの抵抗切り替え,電圧切り替え 固定バイアス,定電流バイアス,カソードバイアスをセレクトできる。 電源はシリコンでサグレジスタンスを選べる 電源はチョークコイル採用リプルを徹底除去 +-------------------Pre | +P +SG 強力電源-+++--WW--+--WW--+ ||| | | === = = ||| | | ///// /// /// プレートサグ抵抗 SGサグ抵抗 リンクSW(SGをプレート電圧から取る) Preは根元からとって強力にドライブする 世界アンプ紀行 最近新しい仕事のサボり方を覚えた, ギターアンプメーカーのサイトを訪問してデモを聞き漁るのだ。 結構いろいろな個性があっておもしろい。 引用しながら解説するといいかもしれないが,手間がかかるので勘弁を。 ハイゲインなディストーションがやはり流行である。 しかし,ブルース系のクランチも人気である。 やはりマーシャルコピー系とフェンダーリスペクト系が多くて,構造はヘッド型が圧倒的に多い。 サウンドデモの提示の仕方も個性豊かで,オケに載せて弾くものが一番多く,次にソロで弾くのが多い。 面白いものでは左右にチャンネルを分けてコンペチタのアンプと同時に演奏するという大胆なものもあった。 いろいろと聞いてみてよいと思ったポイントをまとめると。 ・目の細かい密度の高いディストーション ・サスティーンの美しさ ・ピッキング時のミチっというアタック感 よくないと思ったポイントをまとめると ・派手なハイ ・透明すぎるクリーン ・ピッキング時のギヂャっというアタック感 マーシャルというと,温度の高い湿っぽいディストーション。 フェンダーというと,透明なクリーンと膨張間のあるクランチ VOXというと,ぎらぎらする高域のクリーン 23:13 2006/07/12 ●訳者記: BognerのサイトでTHDの社長さんが語っているのを発見。 勉強がてら忙しいはずの業務中に翻訳してみる。 うちのプリント基板は最高!!という内容である。 From Andy Marshall: 全ての製品がコスト削減のためにPCBを採用しているわけではありません。 私は値段よりも信頼性のためにPCBを使用していますが,手頃なアンプを作るのためにもPCBは有益です。 私は信頼性が高く,気持ちよく演奏の出来るハンドメイド・アンプを手にするためには,弁護士か,IT長者にならなければならないとは考えておりません。 *訳注:PCB = Printed Circuit Board = プリント基板 *訳注:IT長者(Microsoft Millionaire) 要するに信頼性のためにPCBを使っているが同時にコスト的にもOKよ言っている。 PCBが正しく設計され,正しい部品が使われていれば生産されるアンプの品質は必ず安定するはずです。 音を良くしたり,機能を高めるために配線の裏打ちをする必要はありません。 あなたのアンプに配線の裏打ちを行なう必要を感じたならば,それは量産品ではなく不安定な試作品でしかないということになります。 あるポイントに対して高音域を削ることはアンプの透明感を減らすので,PTPだろうとPCBだろうと許せない安定化のテクニックです。 *訳注:安定する(consistent)文中何度も登場する,一定する,一貫する, 信頼性が高い,製品の品質が保たれている,ということらしい 要するに世の中のほとんどのPCBアンプは中途半端な製品だと言いたいらしい。 部品配置の悪さに起因する発振を止めるためにコンデンサーを入れるのも必要悪だと言っている。 最近私はあるエンジニアから「old Plexi model amplifier」(1990〜1995年に生産していた)がすばらしいという連絡を受けました。 しかし彼は本物の「Marshall Plexi」に比べてちょっ とハイエンドが足りないと言っていました。 彼が言ったことを補足すると,本物の「Marshall Plexi」を我々のアンプの隣においてサイドバイサイドで比較を行なったということでした。 しかし彼が認識していなかったことは,二つとして同じ音がする「Marshall Plexi」は存在しないと言うことです。 「Marshall Plexi」は部品や部品の値のバラツキが大変大きく,配線の引き回しの一貫性にも気を使われていません。 *訳注:「Marshall Plexi」= いわゆるプレキシ・マーシャルと思われる *訳注:「old Plexi model amplifier」はTHDの製品だと思われる PTPもしくはタレット・ボード・アンプの話をすると,ひとつのワイヤーを動かすとアンプのサウンド全体とキャラクターが時にはドラマティックに変化することもあります。 *訳注:PTP = Point to Point = ポイントトゥポイント配線のこと 一方タレットボード(turret-board )は穴あき基板の親玉みたいなもの この現象をよく理解していれば,PCBを使用して音や音の感触を望むままに作ることが出来ます。さらに,全ての製品が同じ音になります。 「old Marshall-50 watt head」にプラグインしてひどい音と感触に非常に落胆したことが何回あるでしょうか? これらはヘタった真空管によって引きこされるかもしれません。 しかし,アンプ内部のレイアウトの少なくとも一部の矛盾した点が重要な影響を担っているはずです。 *訳注:「old Marshall-50 watt head」= JTM-45とかのことかな 要するにPTPでは安定した品質は望めず,オールドマーシャルは手作り的で品質のバラツキが大きすぎると言っている。 →個体差それがロックだろ。 ある部品が隣の部品にどのような影響を及ぼすのか,一つの配線が隣の配線にどのような影響を及ぼすのかを理解していたならば,10個作って一番よいモノをひとつ採用するようなこと はせずに,一発で正い基板レイアウトが出来るでしょう。 心してほしいのは,容量性,誘導性の複雑な相互干渉に対する理解を整理して開発できるようになるには長年の経験が費やされるということです。 かつて私は他の会社で,アンプのオーディオ部分,ミキシングコンソール,信号処理機器などの基板設計を行なう中でこの経験を積みました。 私は未だにほとんどの元顧客の秘密協定に縛られていますが,アメリカやヨーロッパのプロフェッショナルレコーディングスタジオほとんど全てに私がレイアウトしたいくつかのオーディオ回路基板が存在していると言うことができます。 いくつものこのようなプロジェクトの後,配線と部品がどのように相互作用するのかという難解な問題を解明することが出来るようになります。 何年も前に「Guitar Player magazine」が弊社のアンプをレビューしました。 彼らは一般的なルールに則って弊社がアンプの基板に対して気を使っていないと記述しましたが,私は彼らの懸念の全てに対して説明したので,我々の基板の使用法に関して彼らが悪く言う部分はなくなりました。 私たちが何をしているのか,なぜそうしているのかを誰かが理解し始めるというよい出来事でした。 *訳注:一般的なルールに則って(as a general rule) 要するに一般人はわかってない,俺はすげーんだぞと言っている。 ある部品は非常に広範囲に影響(field)を及ぼします。他の部品はそうでもありません。 またある部品は他の部品からの影響(fields)に対して大変敏感ですし,そうでないものもあります。 部品は配線を通る信号に影響を与えることが出来,同時に配線を通る信号は部品を通る信号に影響を与えることが出来ます。 結局,それらはそれぞれの部品間を相互に揺り動かす負帰還と正帰還の大規模なネットワークになります。 これが基板上の特定の部品同士の距離,部品同士の物理的配置(配置の向きと並ぶ場所)が無視できない理由です。 さらに,どの配線どのくらいの距離で平行に走るか,どの配線がどのくらいの距離で直交するか,また,それらの配線間にグランド面がどのくらい存在するかが出音とアンプの完成度に 深刻な影響を及ぼします。 *訳注:「field」を影響と訳したが,誘導ノイズのことと思われる,「電磁場」か? ほとんどの人は基板を行き当たりばったりで設計するか,部品密度が高いか,簡単でもっとも安く製造できるように設計します。 この方法はハイエンドのアンプにも付きまとい,こういったアプローチがプリント基板設計を悪名高いものとしています。 要するに部品配置と配線の引き回しを決めるのは難しいから俺以外が設計した板は信用するなと言いたい。 ご存知かもしれませんが,厚い基板は薄い基板より優れています。 (私たちが採用しているのは3/32"=2.4mm,通常は1/16"=1.6mm)さらに,銅箔を厚くするのも良いです。 (私たちが採用しているのは4オンス=140um,通常は1オンス=35umか1/2オンス =17.5um) アンプに使われる基板が直面しているもっとも深刻な問題のひとつは基板の屈曲です。 基板の屈曲は銅箔の金属疲労を発生させます。 銅箔が破断しないように結晶化が進むと共に多量のノイズを発生させます。 この現象はコンボアンプにおいてより深刻なのはもちろんです。 我々は厄介なのを承知で基板の隅々までサポートしています。 弊社の設計基準は基板上のどの点においても100ポンド=45.4kgの力を直径1/4"=6.35mmのプローブで加えて20/1000"=0.5mm以上たわまないことです。 弊社の製品は全てこの試験を合格しています。 比較して,ほとんどのマーシャルやフェンダーの基板はこのような力を加えると破壊してしまいます。 そして,破壊直前には3/8"=9.5mm以上たわんでしまいます。 *訳注:我々は厄介なのを承知で基板の隅々までサポートしています。 (We go to the trouble to support our boards ever few inches) 両面に半田付面(pad)がある「Through-plated holes(スルーホール)」は絶対必要です。 スルーホール基板を使うことによってリペアマンが未熟だったり,加熱しすぎることによって不注意にもパッドや配線パターンを剥がしてしまうことに対して強くなります。 製造法についてですが,我々は2オンスの銅箔基板に対してスルーホールをメッキする工程でさらに2オンスの銅を追加する方法を取っていることを記しておきます。 この方法は配線には4オンスの銅箔が残り,それぞれのスルーホールには2オンスの銅箔が残ることになります。 3オンスの銅箔に1オンスの銅箔をメッキする人を見たことがありますが,私はこの方法を好みません。 スルーホールがあまりにも簡単に抜けてしまうのです。 要するに特注扱い,一般人には作れない方法で作っていると言いたい。 定説とは逆に,「オレンジ・ドロップ」フィルム・コンデンサは素晴らしくはありません。 オレンジドロップはどこかの回路のどこかの部分ではOKかもしれませんが,個々のバラツキは深刻です。 多分このことがPTPアンプでオレンジドロップを使う多くの人々がリード線の調整が必要になるのに気づく要因の一部であると思います。 こういったことは私が良い部品を使ううえで考慮する大部分を占めます。 *訳注:バラツキ(consistency)多分リード線の間隔の許容誤差が大きいといっている 要するに使用する部品の公差が大きいと,実装時にトラブルになるのでオレンジドロップは使わないと言っている。 PCBのはんだ接合は時間経過に応じて不良が多くなりますが,PTPよりも問題になることはありません。 ストレスを最小限にする良い半田付け方法(正しい部品を正しいリード線の長さで正しく実装する技術)はもっとも長期間で安定した寿命を生み出します。 ソルダーフローマシーンを正しくセットアップし,良い半田,良いフラックス,正しい半田温度,正しいフラックス温度,正しいプリヒート時間,正しい冷却時間などが整っていると仮定すると,ソルダーフロー基板の半田接合は手半田よりも使い出があり,高品質になります。 もし疑わしいのならば,自問してみてください。 どの半田を使うかどのように判断しますか? SN60,SN63,SN96,Savebitなどを選びますか? どのフラックスをどのくらい使うかどのように判断しますか? 半田ごての温度を何度に設定しますか? これらの要素はあなたが半田付けした接合部の品質に大きな違いを生みます。 もしあなたがこれらの問い全てに回答できないならば,あなたには,プロダクツの長期の信頼性と平均寿命に関する手がかりを得ることさえできません。 この点は専門家と趣味人を区別する無数のポイントの一部分に過ぎません。 *訳注:使い出がある(last longer) 要するに実装技術が肝だと言っている。 PTPアンプでは半田接合部全体が空気に曝さる結果,腐食の可能性にも直面しています。 スルーホールを使ったPCBアンプでは表面と裏面だけが腐食の可能性に曝されていますが, 表面と裏面は接触点のほとんどが形成されているスルーホール内の重要な接合部ではないのです。 要するにプリント基板は金属同士の接触面が露出していないので信頼性が高いと言いたい。 弊社はFAAに認可された航空機向けの製造基準に従っているだけです。 こういった基準はこのようなポイントを全て網羅する必要があります。 FAAはミリタリー規格よりさらに厳しいのです。 また,航空機産業はつまみやコネクタのようなシャーシにマウントされた機構部品に接続する電子部品を載せるためにプリント基板を使う唯一の残された産業です。 なぜこんなことをするのかというと,FAAの無数のテストを行なって作ったデバイスは例えまったく関係ないコストがかかったとしても,他のどのような方法よりも使い出に優れ,耐久性 ,信頼性が高いとわかっているからです。 もちろんこういった事情がが弊社が同じ方法を使う理由です。 *訳注:関係ないコスト(out of the picture) 要するに飛行機の操縦室のようなアンプを作りたいと言っている。 つまみの間隔や大きさ,文字の大きさや色,などの視認性や操作性にかかわる部分と, スイッチやPOTの耐久性試験,振動試験,環境試験などなど信頼性にかかわる部分の 両方を高いレベルで満足するのが航空機に適用されるFAAの基準だと言っている。 最後にアンプを量産しようとする場合,レイアウトがよく設計できていてれば,プリント基板を使う製造方法がいつでも一番優れていると私は信じて止みません。 もし信じていなければ私はプリント基板は採用しなかったでしょう。 この方法は趣味で試みるには大変高価で厄介な方法だと考えています。 あなたが基板の設計に精通していなければ結果は思わしくないでしょう。 PTPとタレットボードは趣味人や小さなショップを助けるでしょうし,必要でもあります。 月に50台以上のアンプを作るようになるまでは基板には近づかないのが得策でしょう。 Andy Marshall President, CEO THD Electronics, Ltd. 訳者あとがき 高品質で高音質のアンプを月に50台以上生産したいならば,設計経験を十分積んで部品配置や配線の取り回しによる音の影響を把握した上でそれらに気を使った両面スルーホールの基板を起こせと言っている。 しかも,基材が2.4mm厚,銅箔に至っては4オンスというヘビーデューティー仕様じゃないと駄目だと言っている。 操作性や耐久性は航空機並の基準で作っているので,弊社の製品は高品質です。 となります。 あんまりロックな話じゃないねぇ。商業的すぎる!!!