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回路設計・筐体設計

最終更新日2009-02-19(ちょくちょくと修正)


回路設計

  最初に断っておきますがクローンではありません。ぜんぜん違う回路です。

Pre Amp

  おもいきりネタばれしますが,プリアンプは差動増幅回路を使ってみます。 差動増幅回路はオーディオアンプではよく使われます。 オーディオアンプでは2次歪みがキャンセルできるという効果が重宝されています。 ギターアンプに差動増幅を使う理由はいろいろありますが,ギターアンプによく似合う回路だと思ったからです。 個人的に出力段がプッシュプル形式のアンプの歪みが好きです。 フルアップの感触を再現するためにプリアンプも差動化してみます。 まだ絵に描いた餅なので何とも言えませんが。。

  2009-06-04追記:
差動増幅回路がもたらす福音をまとめておく気になりました。
・ノイズに強い(コモンモードはキャンセルされるのでノイズに強い)
・電源リップルの影響を受けない(デカップリング・コンデンサーを小さくすることができる)
・1芯シールドではなくツイストペアで配線できる(GNDの落とす位置を考えなくてすむ,低容量で配線できるのでハイ落ちが少なくなる)
・パワーアンプの歪みを真似できる(プッシュ・プルの歪みを無理なく作り出せる)
・信号ループを小さくできる(GND経由で流れる信号が減るので共通インピーダンスの影響を低減できる)
・GNDの取り回しが楽(GND配線が劇的に少なくなるのでいろいろと考えなくて良い)
以上です。

  2009-06-04追記:
といろいろと恩恵にあずかることができます。もちろん欠点もあります。 POTはDUALを使わないといけないし,ほとんどの部品が2倍必要です。 まあ,作るのは大変だけど,出音はノーハムでローノイズです。

  入力インピーダンスは1MΩです。標準ですかね。 初段は12AX7です。電流を低く押さえ,プレート負荷抵抗を大きくしてゲインを稼いでいます。 クリーンチャンネル設定の場合は初段の出力はトーンコントロールへ入ります。 そして2段目へ入力します。2段目の出力はそのまま出力管へつながります。 フェンダー系のアンプではプリアンプで2段増幅して,フェイズインバーターに入力され,出力管へとつながります。 合計で4段の増幅段を通過します。 今回は3段になります。 増幅段数を一つ減らすことでクリーンチャンネルはできるだけシンプルにしました。

  オーバードライブチャンネル設定の場合は初段の信号をゲインコントロールしてオーバードライブ段へ入力します。 オーバードライブ段は2段増幅ではなく,1段増幅です。その出力をトーンコントロールへ入れます。 そして先ほど"2段目"と称した増幅回路へ入り,マスターボリュームを経て出力管へつながります。 合計で4段の増幅回路になります。 オーバードライブチャンネルは,マスターボリュームを出力管のすぐ手前に持ってきてみました。 ドライブ段を含めてプリアンプトータルでの歪みを重視しています。 トーンコントロールはOD段の出口にあり,その後もう一段増幅するので, プリイコライザー型でもポストイコライザー型でもなく,ゲイン配分によってはどちらにもできるという設計です。 ちなみに位相反転段は存在しません。あえて言うなら初段が位相反転段です。 ちょいと下の「BLOCK DIAGRAM」の項でもう少し説明します。

BRIGHT DEEP ROCK MANUAL ACCENT
VOLUME JAZZ TREBLE MIDDLE BASS PEDAL OVERDRIVE LEVEL

  まずツマミの説明です。 「VOLUME」はクリーンチャンネルの音量を決めます。 DumbleだとこのツマミがODチャンネルにも影響しますが,独立にコントロールできるように設計しました。

  TONEは通常の「TREBEL・MIDDLE・BASS」の3-TONEです。

  「OVERDRIVE」がODチャンネルのゲインを決め,「LEVEL」で音量をコントロールします。

  続いてスイッチの説明です。 トーンコントロールには「JAZZ/ROCK」というMODEスイッチがついています。 これはダンブルアンプ特有の回路です。面白いので採用しました。

  「JAZZ」モードではゲインが下がり,フラットな特性でミドルが強く出ます。 「TREBLE」で高音域,「BASS」で低音域を独立してコントロールできます。 一言でいうとシェルビングイコライザーに近い特性になります。

  「ROCK」モードではミドルをカットした特性になり,伝統的なフェンダーのトーンコントロール回路に近くなります。

  その他に「BRIGHT」スイッチと「DEEP」スイッチがあります。

  「BRIGHT」スイッチは通常のブライトスイッチと同じですが,よりミドルに近い帯域まで強調するように調整しています。

  「DEEP」スイッチは低音域を調整するスイッチです。 OFFにすると低域の深い部分がカットされてブーミーさが抑えられます。 低音の出具合は人によって好みがありますので,切り替えられるようにしています。

  「ACCENT」はミッドブーストとして機能するようにしました。トレブルの250pFを1000pFとかそんな値に切り替えるスイッチです。 ミッドブーストとして使えます。かなり優れもののスイッチです。

  「MANUAL/PEDAL」スイッチは「MANUAL」でODチャンネル,「PEDAL」ではペダルが接続されていなければクリーンになります。

  「ACCENT」とチャンネルの切り替えはペダルを接続して,ペダルで切り替えることができます。


TONE STACK SIMULATION


ROCKモードのトーンカーブです。ミドルをゼロに固定して,トレブルとベースのツマミの位置がそれぞれ100%,50%,25%,10%,5%の5点をプロットしています。ツマミの位置はBカーブの場合です。5x5で25パターンの組み合わせでカーブを描いています。 縦軸はゲイン比で対数をとっています。負荷は1Megオームです。
低域は5%まで絞ってもあまり下がりません。5%というとAカーブでは9時くらいの位置です。9時より下げると急激に低域が失われます。
一方,高域の変化は素直で,ボリューム位置に比例した音量が得られそうです。ミドルの谷がトレブルの位置によって変化するのがよくわかります。


JAZZモードのトーンカーブです。同じくミドルをゼロに固定して,25パターンの組み合わせをプロットしています。
JAZZモードでは低域をリニアに補正できるような特性になっています。
ベースのボリュームの位置によってミドルの谷が移動しているのがわかります。


( ̄Д ̄)定数が変だ!090212

  スロープ抵抗にぶら下がるスロープキャパシタとでも言うのか?の値がおかしい。。
どうもハイの抜けがイマイチだと思ってきたが,確かに。ミドルが効かないと思ってきたが,確かに。
どうやら定数を間違えていたようだ。どこでどう思い込んだのか知らないが・・・


これがROCKモードの狙いのトーンカーブです。ミドルの谷が低周波側に降りてきてハイ上がりの特性になりました。


こちらはJAZZモード。しかし,以前の定数で音を作りこんでしまったぞ。それは無駄か?いや。。。そんなことはないんじゃないか。
いっそのこと切り替えスイッチでも仕込もうか。。


BLOCK DIAGRAM

  ギターアンプのブロック図について下記で簡単に説明します。

 ->-{1st}-{TONE}-{VOLUME}-{2nd}-+---{Phase Inverter}----{Power tube}--+
                                |         |                           |
                              {3rd}       |                          OPT --- Speaker
                                |         |                           |
 ->-{1st}-{TONE}-{VOLUME}-{2nd}-+   {Phase Inverter}----{Power Tube}--+

  フェンダーのアンプをブロック図で示すと,バンドマスターやツインリバーブ,デラックスリバーブは上記のようなブロック図になっています。 {1st}が初段の真空管増幅。{2nd}が2段目の真空管増幅で,{TONE}や{VOLUME}はそのものずばりです。 {Phase Inverter}で逆位相の信号を作り,{Power tube}をPush-Pull駆動しています。 入力は二つあり,ビブラートチャンネルはリバーブも効きます。 リバーブをミックスするために{3rd}増幅段があり,その出力はノーマルチャンネルの{2nd}出力とミックスされます。

 ->-{1st}-{VOLUME}+{2nd}-{TONE}-{Phase Inverter}----{Power tube}--+
                  |                   |                           |
 ->-{1st}-{VOLUME}+                   |                          OPT --- Speaker
                                      |                           |
                                {Phase Inverter}----{Power Tube}--+

  ベースマンは上記のようなブロック図になっています。 {2nd}はトーンドライバと呼ばれ,カソードフォロアになっています。 入力の片側はブライトチャンネルとなっていて音色が異なります。

 ->-{1st}-{TONE}-{VOLUME}-{2nd}-+--------------------+-{Phase Inverter}----{Power tube}--+
                                |                    |       |                           |
                             {GAIN}-{OD1}-{OD2}-{MASTER}     |                          OPT --- Speaker
                                                             |                           |
                                                       {Phase Inverter}----{Power Tube}--+

  DumxxeのOVER DRIVE SPECIALはこんな感じです。 {2nd}と{Phase Inverter}の間にODプロセスがあり,ゲインとマスターがあります。 {OD1}と{OD2}の間にVRがあるらしいです。 後期のものは{OD2}の出力にトーンコントロールが存在するそうです。

 ->-{1st}-----------------{TONE}-{VOLUME}-{2nd}----------{Power tube}--+
      |                                     |                          |
      |                                     |                        {OPT}---{Speaker}
      |                                     |                          |
    {1st}-----------------{TONE}-{VOLUME}-{2nd}----------{Power Tube}--+

  さて,,今回作ったOVER DIRVE SINGERのクリーンチャンネルはこんな感じです。 初段で位相反転して,差動信号を生成しています。{TONE}と{VOLUME}も差動回路です。 {2nd}が従来のPhase Inverterを兼ねており,そのままPower tubeをドライブします。

 ->-{1st}-+ +-{GAIN}-{OD}-{TONE}----------{2nd}-{MASTER}-{Power tube}--+
      |   | |         |                     |                          |
      |    X          |                     |                        {OPT}---{Speaker}
      |   | |         |                     |                          |
    {1st}-+ +-{GAIN}-{OD}-{TONE}----------{2nd}-{MASTER}-{Power Tube}--+

  OVER DRIVE SINGERのODチャンネルはこんな感じです。 位相を合わせるために途中でクロスしています。 {2nd}の出力にマスターが入ります。

  クリーンチャンネルはできるだけシンプルにしています。 ODチャンネルは増幅段を1段追加して,マスターを出力管の入力に入れています。 クリーンとODの音量は完全に独立してコントロールできます。 トーンは共通ですが,ODチャンネルは「クリーンチャンネルをよりプッシュした音色」になるように調整されています。 できるだけシンプルに煩雑にならず,シンプルになるように考慮しています。 ただシンプルなだけでは望む音色が得られないこともあります。 3-TONEは最低限必要と考え,スライドスイッチと組み合わせると細かな音色調整が可能です。


Power Amp

  出力管は6L6GC系を考えていますが,EL34も使いたいのです。 いろいろ使えるってのはなんか気分が良いです。気分によって好きな出力管に交換できるようにしておきます。 EL34はPINの接続が若干異なるのでちょっとケアしてやらないといけません。

  プレート電圧はそれほど欲張らずに420V位を狙いました。 整流はシリコンです。整流管はインピーダンスが高く,電源電圧の変動が大きくなってしまいます。 まあそれが,ギターアンプの味にもつながるといわれているのですが。

  しかし,電源のインピーダンスを高くするには抵抗をかますという方法があるのを忘れちゃいけません。 整流管のインピーダンスは制御できませんが,抵抗をかます方法ならば自分の好きな値にすることができます。 制御できないパラメータに頼って偶然いい音が出ても,普遍的なよい音には近づけないと考えています。 ということでON/OFFできるSAG抵抗を入れています。


Power Supply

  電源回路には別の工夫もしています。ゴーストノートを取り除くためにチョークコイルを搭載しました。 ゴーストノートこそ,ギターアンプのうまみだという主張をする人がいるようです。 <Key Word:AC Ripple Class AB Power Amp>
確かにその通りかもしれません。しかし,楽器である以上は変調をかけるような要素は取り除いておくべきと考えています。

  出力段を設計するということはエンベロープの動きを設計することだと言えると思います。 ゴーストノートを取り除くのも,サグ抵抗で電源電圧を変動させるのもエンベロープを制御するためです。

  ピークが高く,アタックが速いエンベロープは,音の粒立ちやピッキングニュアンスの良さにつながり,躍動感がでてきます。 一方,アタックが遅く,エンベロープの変動が少ないと平面的で硬い感触につながります。 デカップリングコンデンサーの容量と電源インピーダンスでここらへんの特性が決まります。

  上記のようなことを考慮して設計方針を決めました。 インピーダンスが低くてリップルの少ない電源を作り,そこから自由に特性をいじれるという電源という方針です。

  シリコン整流器を使うとリカバリーの際に発生するスパイクノイズが問題になることがあります。 ファーストリカバリ・ダイオードなどを使用しても多かれ少なかれスパイクノイズが出ることに違いはありません。 リターンパスをちゃんと確保してノイズを放射しないように最適化された部品配置にするのは最低限のマナーです。 それにもまして,SBD(ショットキーバリアダイオード)を使用するとリカバリータイムが少なくなるのでノイズの悩みから開放されます。 しかし,真空管アンプに使用できるSBDは限られており,値段も高いので手が出ません。 SBDを使えばなんでもOKみたいな最近の風潮には乗りたくもありません。 ですので,一工夫して汎用のSBDを使えるようにしてみました。 効果のほどはよくわかりませんが,原理的には効果があるはずです。090216


  追記:最終的に1200V耐圧のSiC(シリコンカーバイド)SBDを使用しています。


FET Booster

  プリを差動化したので若干ゲインが落ちます。ゲイン低下を補うためにFET Boosterを積極的に使おうと考えました。 ダンブルアンプのFET入力は,一説によればエレアコ用らしいです。 ピエゾピックアップなどのハイインピーダンス用らしいです。 今回はこの回路をアレンジしてFET Boosterにしてみます。

  入力インピーダンスは1MΩにしました。オリジナルは3.3MΩだったかな。FETは普通のソース接地です。 FETのドレイン出力を抵抗でIVしてPNPバイポーラで受けて反転します。 PNPはエミッタ接地動作で,コレクタは抵抗負荷です。 負荷抵抗の出力にNPNのエミフォロをかまし,適当に分圧してFETのソースに負帰還をかけます。 最終的にはゲイン20倍の非反転アンプとなるように帰還量を調整します。

  電源電圧は30Vとして,最大で10Vp-pくらいの信号が取り出せる回路になりそうです。シミュレーション上ですがね。 ギターアンプは信号が反転すると違和感があるので,位相が反転しないように設計しています。

  Boosterの初段はノイマンのコンデンサーマイクの初段にも使われているFETを使用しました。 ちょいと高いですがCAN PKGを奮発しました。 FETの重要な特徴として入力ゲートの漏れ電流が少ないという特徴があります。 しかし,ドレインにかける電圧が高いと漏れ電流が多くなります。 温度が高くなっても漏れ電流が多くなります。 今回はちょっと電圧をかけすぎたらしく,漏れ電流が発生し,ノイズも発生しました。 回路を大胆に変更するにはちょっとモチベーションが足りず,小変更でお茶を濁しました。 わかる人にはわかる表現ですが,1石追加してミラー容量が見えなくなるような回路にしました。090216


回路図

60s ODS 50 Schematics

  よい具合に黒塗りアンド見づらくしてみました。 おそらくスイッチの切り替えがどうなっているのかわからないと,実際の動作はわからないと思います。 (意地悪いやつだなお前)
まあこれは基本コンセプトということにして,今後少しずつ改良していく予定です。 まったく初めての試みなので,うまくいくかどうかはわかりませんし。。。

  かなり変更が入りました。FET回路は初段が耐圧オーバー。ホワイトノイズが波打ち際に寄せる波のような感じで出ました。 1/fノイズというやつかな?ホワイトノイズは癒されるけどアンプとしては失格。悲しいかな。ちょいと改造を加えました。 ODの入力に入るゲイン調整用VRは500kに交換。回路も若干変更しました。090216


筐体設計

シャーシ

  戦車のような造りと称されるダンブルアンプですが,シャーシは4mmくらいの厚さがあるようです。 今回はシャーシは出来合いのものを使いますのであまりわがままは言えません。 シャーシ厚は2mmくらいです。これでもたいていは大丈夫です。1mmはまったく駄目で1.5mmだと不安になります。

  基板の固定方法や,部品の固定方法も吟味してやります。 基板は2mmのベーク板を使用しますが,長すぎると振動しますし,強度的にも不利になります。 部品が振動すると音を汚す可能性があります。 ということで,基板を4点止めではなく6点止めにしたりと強度確保に努めます。

  真空管ソケットはショックマウントにするのがベストです。 サブシャーシに真空管ソケットを載せて,クッションを介してサブシャーシをメインシャーシに固定する方法が簡単で確実です。 今回はそこまではしませんでした。最近のアンプを見ているといろいろと工夫しているようです。 真空管はトランジスタと違い,電極の面積が大きいので振動の影響を受けやすくなります。 電極が振動すればコンデンサーマイクの原理でノイズが出ます。 マイクロフォニックノイズもこの類です。ハイゲインアンプでは発振に至ることもありますので,注意が必要です。

  もしかするとシャーシの鳴りが出音にも影響しているかもしれないけどね。 響きのよいシャーシを作ることを真剣に考えるのもよいと思いますよ。


キャビネット

  ヘッドのキャビネットはAKGさんが作ってくれることになりました。 AKG工房のAKGさんとは3年ほど前からの付き合いになりますが,とうとう本格的に木工ができる工房を建設しました。 記念すべきファーストロットのキャビとしてハードウッド(アッシュ)仕様で作ってもらえることになりました。 製作の経過はAKGさんのHPで見ることができます。 引っ越したら送ってもらいます。でき上がりが楽しみだ!!

  基本的な形状はダンブルアンプの中でもアンプ・スピーカがセパレートのタイプです。 シャーシとフロントパネルの間には真一文字に桟が走ります。これが基本形。 アクセントとしては前ツラの上部,シャーシのつまみ部分にカットアウトが施されます。 マッチレスなどにも見られる加工です。シャーシが良く見えますので,つまみの位置がわかりやすくなります。

  カットアウトは長穴を半分にした形状にしてもらいました。1/4の円弧を食い込ませたような形です。 トーレックスを貼る場合はこの形に加工してしまうと貼りづらくなります。 トーレックスを貼る場合はナナメにしてお茶を濁しますが,せっかくのハードウッド仕様なのでこだわってみました。 セクシーに仕上げてもらい大満足です!! バックパネルの穴も長穴です。バックパネルの穴は平行四辺形が一般的ですが,あえて長穴にすることでレトロな感じを出してみました。 かなり良い具合に出来上がりつつあるようなので楽しみです。到着したらば写真をUPする予定です!!

  完成した様子はこちら


グランド周り

  今回,グランド方法には多点接地を採用してみます。シャーシという導体をグランドとみなして接地していく方法です。 ポイントは確実な導通ですから,菊座金を多用します。真空管のシールドカバーもすべて取り付けます。 シャーシには音声信号を流さないようにします。直流電流が流れる経路もバイパスを兼ねて銅線でも配線します。 それでも各所でグランドをシャーシに落とします。

  グランドループができてしまうので良くないように思いますが,アンプ内を通過する電磁波を少なくすることでグランドループの影響は軽減できます。 つまり,シャーシ内を外部からの電磁波に対して完全にシールドする必要があるということです。

  電子機器を収納する筐体の基本で重要なのは完全にシールドすることです。信号の出入り口などの開口部は極力小さくします。 コネクターのグランドは直近でシャーシに落とします。 まずは外来の電磁波を内部に侵入させないことです。そうすれば筐体内部はクリーンに保たれます。

  微小な電流が流れる部分は機器内部の配線でもシールドします。機器内部でも整流回路などからノイズが放射されていますので油断できません。 シールドは両端でシャーシに落とします。今までは片側接地を基本と考えてきましたが,片側接地ではシールドがアンテナになってしまう可能性があります。

  片側接地にこだわる理由はなんだったか思い返すと,グランドループの発生と音声信号をシャーシに流さないためでした。 音声信号も低周波ならばもっとも直流抵抗が小さい経路を流れます。しかし,10kHzを超えてくると徐々に高周波の様相を呈してきます。 100kHzくらいになると高周波の特性になります。 往復の信号は近づこうとしますのでシャーシの直流抵抗が小さくても同軸ケーブルを流れる信号のリターンパスはシールド線を多く流れるようになります。

  ベタグランドによる多点接地は低周波と高周波どちらに対してグランドとして有効に機能します。 しかし,GND経路の直流抵抗が見えてくるような大きな電流が流れる部分は特別な配慮が必要ですが,基本的にグランドは最短経路でシャーシに落としていきます。 微小な電流が流れる回路などはサブシャーシを用意してサブシャーシをグランドを落としていきます。 こういった場合,ベタアース付きのプリント基板も有効に働きます。

  もっとも敏感な部分は筐体内にシールドボックスを設置してその内部に仕込めばよりノイズ耐性が上がります(今回はそこまでしません)。

  もし,シールドの両端を接地してハムが出るようならばシールド両端のグランドに電位差が発生していることになります。 片側の接地をコンデンサーによるハイブリッド接地にすることでハムは防止できますが,完全な対策とは言えず,行き当たりばったりの対策と言えます。 ハムのような低周波の信号の誘導を根本的に解決するには,2点間の電位差を解消するために直流抵抗の低いパラレルアースコンダクタ(Parallel Earth Conductor : PEC)を使用するのが根本的な解決策です。 同一の筐体内で考えるのならば,最も低い抵抗値を示すシャーシを使うのが賢い手段と考えられます。090216


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