最終更新日2011-06-08
前回改造したFET BOOSTERですが,,,どうもノイズが増えてしまったようです。 リベンジ!!
一番重要な性能として低ノイズを謳っている割にはノイズが大きくなってしまいました。原因は??
基本的に初段のノイズが支配的で,2段目以降のノイズはNFBによって抑圧されると考えていました。 しかし,そうでもないようです。
改造した回路をスパイスでシミュレーションしてみると今までの回路よりノイズが多くなっています。
改造はアクティブロード化がメインでした。 つまり,定電流回路による高抵抗負荷でゲインを高めるというものです。
改造ではカレントミラーで折り返してからグランド側に定電流負荷を設けました。
しかしこの「カレントミラー」はノイズが大きいようです。一番単純な2石のカレントミラーなのですが。。。 カレントミラーで折り返してから定電流負荷とするとカレントミラーが発するノイズも増幅されてしまいます。 初段のノイズにカレントミラーのノイズが加算されるのです。
所詮カレントミラーとタカをくくっていましたが残念な結果です。
ということで,低ノイズにするには初段の負荷を直接定電流源で受けてやるのがよいようです。 回路を書いてびっくりしましたが,真空管でいうところのSRPPです。 まあ,SRPPは3極管で構成することが多いので定電流源と言えるほど内部抵抗は高くないですが。
定電流回路で受けてそのまま出力すればいいんですが,へそ曲がりなのでPNPで受けて反転させエミフォロをかますのは従来どおりです。
ということで,ほぼ,元の回路に戻りました。
元の回路からの変更点は下記です。
・初段の負荷が470Ωだったのを定電流負荷にする
・2段目のエミッタに4.7kを入れる
これで定電流回路は5V程度のヘッドルームで動きます。
定電流回路はJ-FET1発で,カスコードは無しです。
最初の回路は2段目のエミッタに抵抗を入れておらず,ゲインを稼いでいました。 改造後は2段目のゲインは3倍程度に抑えられ,代わりに初段のゲインが上がっています。 その分ノイズは減っているはずです。
弊害としてヘッドルーム電圧が減ってしまうのですが,それでも15Vp-pは取り出せます。 最初の回路では30Vp-p出せる設計でした。。そんな電圧いらないってばね。
EVM-12Sを使っているとハイのおいしいところがもう少しほしくなります。 VINTAGE30は結構パリっとしているので不足はあまり感じませんが。
特にクリーンの場合はブライトを入れたくなってしまいます。 フェンダーアンプの「ブライトスイッチ」は非常によくできた機能です。 ゲインが低いときほど効果が大きくなり,ゲイン(ボリューム)をあげると効果が薄くなります。 そして,プリイコライザー的に効くので,オーバードライブ回路を通しても耳障りになりません。
プレゼンスも似たように高域をキラキラさせます。 しかし,ポストイコライザー的に効くのでオーバードライブ回路がついているアンプではジョリジョリと 耳障りになってしまいます。
ということでODS+Sもブライトスイッチは装備しています。 定数も吟味していますので,痛いだけでなく分厚いきらめきが追加されます。 とはいへ,ブライトスイッチは誤魔化しみたいであまり好きではありません。 パリっとお化粧した美人もよいですが,すっぴんの素肌美人に仕立て上げたいのです。
しかし,ゲインに1dBの余裕も無い設計になっているので,高域をブーストする手段がありません。。。。
手段が無いわけではなく,,,禁断の一手,PFBを試すことにしました。 ポジティブ・フィードバックです。正帰還です。
名付けて「アクティブ・ブライト」です。
このアンプ,初段から差動なのですが,初段はアンバラ受けなので逆相入力はGNDに落としています。 そこで,遊んでいる逆相入力に正相側のプレートから帰還をかけてやると位相の関係で正帰還になります。
追加するパーツはわずか3つです。(470pF,470kΩ,VR10kΩ)
早速試してみました。 EVM-12Sとの相性が非常によく,高域を6dBくらいあげると非常に気持ちのよいトゥワンギーなトーンになりました。 VINTAGE30との相性はいまいちで,ギャキっとした耳障りな音になります。
ですので「スピーカーに応じて分量は加減してください」ということになります。
しかしながら・・・すばらしいトーンですな!!ということで採用です!!
先回の改造でリアパネルに二つのつまみを追加しました。 Boostゲインです。OD用とCLN用に二つ設けました。 しかし,OD用は常に全開なので不要と判断しました。 OD用のBoostゲインつまみを撤去して,アクティブ・ブライトを仕込みました。 お気楽な空中配線です(汗)。
つまみ名をおもむろにマジックで書き込みました。「PRS」と。。。
せっかくかっこいい名前「ACTIVE・BRIGHT」を考えたのに,効果は「PRESENCE」と同じだったのです。。。
今回の回路は初段に追加しました。プリイコライザー的な効果を発揮します。 PRESENCEはパワーアンプ内に位置するのでプリアンプにオーバードライブ回路が入ったアンプではポストイコライザー的に効きます。 効果は違うわけです。やはり「ACTIVE・BRIGHT」かな〜
でも,BASSMANを考えるとパワー管で歪みを作っているので,PRESENCEもプリイコライザー的に効きます。 「PRESENCE」でいいか。
完成か?というむなしさを乗り越えて簡単にシミュレーションしてみました。
通常のプレゼンス回路の特性
アクティブ・ブライト回路の特性
グラフの色,緑と赤が入れ替わっちゃってるのですが,ブーストされ具合を見れば一目瞭然なので不問とさせてください。
通常のプレゼンス回路の特性は高域が異常に延びていますが,モデルに使ったトランスの特性がそのような特性になっているためです。
アクティブ・ブライト回路は負荷抵抗が大きいこともありフラットな状態でも10kHz以上の帯域が減衰を始めます。 正帰還をかけてブーストすると4kHzにピークを持つ特性になりました。これこれで都合がよいです。
シミュレーションの結果,通常のプレゼンス回路のブースト量は8.5dBになりました。 通常回路というのは5F6Aのことです。アンプが違えば特性も違います。 あくまでも実測ではなく,シミュレーション結果です。
通常のプレゼンス回路を参考にアクティブ・ブライト回路のブースト量も8.5dBになるように調整しました。 また,絞りきった状態では,逆に高域が落ちる特性になるので,その現象も補正しています。
今回追加したアクティブ・ブライト改めプレゼンス回路は,とても自然に高域の美味しい輝き成分を強調してくれます。 おそらく,4kHzにピークをもつブースト特性がよい結果をもたらしているのだと思います。 オーバードライブさせてもプリイコライザ的に効くので,ハッシュな成分が出てこないため,通常のプレセンスよりも上品です。 クランチにした場合も痛くならず粘りがでてきて気持ちのよいトーンになります。
素性のよいスピーカーをつかうことでもクリーントーンならば似たような結果を得られるかもしれません。 しかし,スピーカーはポストイコライザーですので,オーバードライブさせると粗くなってしまいます。
VINTAGE-30ではプレゼンスとの相性がいまいちで高域のハッシュな成分が強調されてしまいます。 EVM-12Sのようなミドルが強く,高域が自然にロールオフしているスピーカを使用して,アクティブ・ブライトを入れるとよいようです。
個人的にブライトスイッチやプレゼンスは好きではありませんが,ロベン・フォードのような音を出すために高域の強調は必要みたいです。 ネットで見れるロベンのセッティングもプレゼンスをややあげてありますね。