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Analog Block

最終更新日2006-02-04


Design Concept

 アナログ部のテーマは「DACが出力する情報に何も足さない,何も引かない」です。(ありがちですね〜) ノイズと歪みの発生を抑えると同時にDACの出力信号を一滴漏らさず搾り出すために,オーディオ帯域をはるかに越えたMHzオーダーの信号までも余すところなく積分することを目標に設計しています。

IV段

 PCM1704は電流出力ですので,なんらかの方法で電圧に変換する必要があります。 PCM1704を使いこなす上でおそらくもっとも影響の大きい部分ではないでしょうか? 例えば抵抗一本でIV変換するのが理想的だとか,トランスでIVするのがいいとかいろいろな議論がつきません。 最近のDACは電圧出力のものもありますが,単に内部にIVアンプを内蔵しているだけの話でしょうから,影響の大きい部分を自分の手中に収められる電流出力のDACの方がいろいろと遊べるでしょう。。

 スルーレートの足りないIV段はDACが出力するエネルギーを後段に伝えることができません。 LPFで帯域制限された信号は入力と出力でトータルのエネルギーは変わりませんが,スルーレートで帯域制限された信号は入力されたエネルギーの一部を失います。 DACは最高で96kHzの8倍,768kHzのサンプリングレートで動きます。出力信号は24Bitといってもあくまでもデジタルの階段状ですから,理想的には信号の立ち上がりは垂直で,立ち上がり後は暴れがないはずです。 しかし,現実では立ち上がりはナナメであり,リンギングも発生します。

 PCM1704のセトリング時間は仕様上は200nsecです。IVアンプのスルーレートはフルスケール信号が200nsecで立ち上がるだけのスルーレートで足りるでしょうか? 私は足りないと考えています。実際の信号の立ち上がりはセトリング時間の1/5〜1/10くらいの速さ,20nsec程度で立ち上がっているはずです。 また,IV用に使用するOPアンプは信号が入力されてから出力されるまでの時間が無視できれば,帰還が正しくかかりOPアンプ本来の理想的な動作を行います。 しかし,入力信号の立ち上がりに対する出力信号の立ち上がりまでの遅延が無視できないとOPアンプとして正しい帰還がかからなくなり,本来の動作からかけ離れていきます。 実際のOPampではnsecオーダーで出力が遅れるのは当たり前ですので,立ち上がりが早い入力信号に対しては帰還が正しくかからなくなります。 そういった意味でも今回のコンセプトである「余すところ無く積分する」ためにはIV段はできるだけ高速である必要があります。 IVアンプという負帰還技術を使う以上はできるだけ高速なOPアンプを使用しないとパルス入力に対してとんでもない動作をさせてしまう可能性があります。

 今回は電流帰還OPアンプをIV段に採用します。 電流帰還OPアンプを使用すると高域のポールがひとつ消えるため,電流出力を高速にIVする用途には電圧帰還OPアンプより有利になるそうです。(アナデバのOPAmp本参照) しかも,電流帰還OPアンプはスルーレートが強烈に速いものが多く,DACの出力を余すところなく電圧として取り出すことができます。

LPF

 デジタルフィルター搭載のDACはアナログフィルターは軽くてもよいといわれています。 しかし,実際は可聴域を越えた周波数帯にノイズが存在しますので,ノイズを撒き散らさないためにもできるだけ早めにノイズをLPFに通しておくことが重要になります。 増幅器は非直線性を持ちますから,振幅の大きい高周波喰らうと変調を起こして低周波の信号にも悪影響をを及ぼします。 伝送系で高周波ノイズを撒き散らすのはいかがかと思いますので,高周波ノイズは抑えるに越したことはありません。

 通常LPFというと,OPアンプを使った2次のLPFを通すことが多いようです。 しかし,OPアンプの帯域はたがが知れています。数百kHzのノイズまでは効果がありますが,MHzオーダーの高周波では効果が落ちてきます。 ですので,今回はLPFには負帰還を使用ない方法はないものかと考えました。 しかし,1次のLPFでは高周波ノイズが抑えきれないので,2次に以上にする必要があります。 そこで,IV段を積分器にしてしまい,まず1次のローパスをかけます。と考えました。。。

 ここは見事に失敗しました。 OPAmpがやたらと熱くなると思ったら,50MHzで発振していました。 電流帰還のOPAmpは帰還回路にコンデンサーを入れてはいけないそうです。(アナデバのOPAmp本参照)

 数十MHz以上のノイズを抑えるためにパッシブ動作のLPFを3種類入れます。 まずはコモンモードフィルターとしてグランドに対してLPFをかけます。 続いて差動出力の間にコンデンサーをはさみノーマルモードに対して高周波まで理想的なLPFをかけます。 高周波ではリード線の長さがインダクタンスとして効いてきますので,できるだけ小さく作る必要があります。 せっかくのLPFもリード線が長いと効果が出ません。 よって,以上の二つのコンデンサーは高周波特性の良いチップセラミックコンデンサーを最短距離の配線で使用しました。 この二つのコンデンサーで数十MHz以上のノイズを落とします。 そして3つ目のメインのLPFコンデンサーにはディップマイカなどの音質的に定評のあるコンデンサーを使用してみようと思います。

出力バッファ

 デジタル部ではノイズの輻射を気にしましたが,アナログ部では外部からのノイズを如何に避けるに注目して設計を行いました。 増幅器のノイズ以外に外から飛び込んでくるノイズを減らすためには信号のループ面積をできるだけ小さくするのが効果的です。 チップ部品を使用してできるだけ小さく組むことで外部からの外乱をできるだけ減らすように努力しました。

 アナログ部分はベタアースは使用していません。 広い面積のベタ面はコンデンサーマイクと同じで,振動によって筐体との間の浮遊容量が変化して,振動が加わったときに電位の変動がおきる可能性があります。 また,ICとIC直下のベタアース面も浮遊容量を持ちますので,ICと基板が別モードで振動したりするとチップには何らかの電位変動が発生します。 ここまで来ると相当にオカルトチックです。 オーディオ機器を見ていると基板のレジストをはがしてみたりといろいろと工夫をしているようです。 ベタアースは高周波には有効ですが,低周波ではそれほど効果はありません。 一点アースなどのように整理されたグランドのほうが信号が混ざったり,共通インピーダンスを持たないため,信号の純度を維持できそうです。 ですので,バッファアンプ部分はベタアースを設けていません。

 ちなみにバッファには,ノイズが小さく,広帯域で,CMRRが高く,UnityGainStableのオペアンプを使用します。 ふたつのPCM1704から出力された信号は差動増幅回路で同相ノイズをキャンセルしたうえでバランス出力で出力します。

DCサーボ

 DCサーボはやめました。 かといって大容量のコンデンサーでC結するのも気が引けます。 今後は直結で行こうと思います。 そもそもPCM1704の直流特性は優秀で,温度ドリフトも数uV/℃程度です。 さらに同じ石を差動で受けていますので,温度ドリフトが同じ傾向であれば,キャンセルできます。 出力にドリフトの少ないOPAmpを使えばオフセット調整をするだけでDCの出力は防げます。 メーカー製品では故障時にスピーカーを破損するなどのことが考えられますので,通常はDCサーボかC結を行っています。 ここはアマチュアイズムを発揮して直結で行こうと思います。


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