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PCM1704 DAC

最終更新日2006-02-04


Design Concept

 PCM1704は各チャンネルあたり2個使用しました。 差動で動作させてコモンモードノイズに対してできるだけ強くしたかったからです。 また,コモンモードノイズ以外のノイズも相対的に 1/√2 になります。

 なんといっても今回はPCM1704に水晶のクロックを直接入力しているという点が一番のポイントです。 水晶発振器とPCM1704を同一基板上に配置してクロックにはしっかりガードを入れ,リターンパスを確保しています。 純度の高いクロックをバッファも1つはさまずに供給することでPCM1704の底力を引き出せればと考えました。

 電源と基板配置は細心の注意を持って設計に取り組みました。 できるだけノイズを減らすことを最優先に考えています。 また,電源はアナログ系とデジタル系で電圧に差ができるとICを破壊する可能性があるので,DC的には同じ電源から供給するようにしています。 アナログ・デジタル電源の電圧差は動作状態だけでなく,電源投入から電源を落とすときまで全ての場合で±0.1Vに抑える必要がありますので,現実的に信頼性の高いDACを作りたかったら同じ電源から取るしかありません。

 しかし,ノイズ対策を怠ると,後段がどんなに優れていてもDACの出口ですでに信号が汚れているという状態に陥ります。 デジタル・アナログそれぞれの電源には数十MHzの高周波まで効果が落ちないように部品配置と基板パターンを工夫したπ型LCフィルターを挿入しました。 このフィルタでデジタル系のノイズがアナログ系に漏れこまないようにしています。

 一方,グランドはアナログとデジタルを分けることはせず,デジタル・アナログそれぞれの電源カップリングコンデンサーを最短距離でグランドに落とすように配置しています。 また,IC下面と基板裏面はベタアースをできるだけ広く取り,電源のインピーダンス上昇を抑え,ノイズの輻射を押さえています。 デジタル信号の配線には全ての信号にガードパターンを設けてシグナルの迷走を防ぎ,ノイズを撒き散らしたりしないようにしています。

 ノイズを抑えるためにはノイズは外に漏れないように閉じ込めて,ノイズに敏感な部分はできるだけ遮蔽することが重要です。 デジタルノイズのような周波数の高いノイズにはベタアースが効果的に効きますし,デジタル信号はリターンパスを確保することで他に漏れ出すことを防ぐことができます。

 DAC周辺は高周波回路の設計を取り入れて,とにかくグランドのインピーダンスが上昇しないように設計を行いました。 DACのデジタル部分はオーディオ信号に一番近くて最も影響の大きいノイズ源ですので,ここで如何にノイズを抑えるかが重要になると考えています。 ノイズはグランドを通過します。グランドのインピーダンスが低ければノイズが発生源に戻っていく際に外部に撒き散らすノイズが抑えられます。 とにかく電源pinとグランドpinはカップリングコンデンサーを通じて最短距離で接続することが一番重要になります。


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