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FENDER FAT3 Mod.

最終更新日2009-07-03


  これは記念すべきHRL最初の作品なのです。このアンプをいじっていたのは1997年は冬頃だったと思います。10年も前になります。 そして「Reverberation Lab」と名前がついたのもこのアンプのお陰です。 クリーンの透明感と奥行きのあるリバーブが持ち味です。当時は「エロエロ・リバーブ」ともてはやされました。

  FENDERのFAT3とは,80年代後半から90年代後半に市販されていた6V6GTを2発搭載したギターアンプです。 FENDERといっても実際はFENDER JAPANが販売していたようです。 海外でも販売していたかどうかは不明です。 よくよく見てみると「ELK」という記載がありますので,「ELK」が作っていたようです。 若輩者が最初に手にした真空管アンプが「Echo」というものでした。 これは「MIYUKI産業」だかなんとかが作っていたようです。「Echo」は「ELK」の前身といわれていますので,2台続けて同じ会社のアンプにお世話になったわけで感慨深いものがありました。

  当時のFENDER JAPANのカタログにはFAT3とFAT1が記載されていて,FAT1が6V6GTシングル,FAT3が6V6GTプッシュプルというラインナップでした。 FAT3はオールチューブ回路で,Boost回路を内蔵し,アキュトロニクスのスプリング・リバーブを搭載し,エミネンスのスピーカーを採用するなどかなり本格的な内容のアンプでした。

  そもそも,このアンプを入手したいきさつについて一言述べます。 当時,ギターアンプ用のスピーカーはセレッションのスピーカーがヤマハ経由で入手できる状況でしたが,値段が高く,学生の時分には手が届きませんでした。 プレーヤーの「売ります・買います」欄に「故障したギターアンプ買い取ります」と広告を出してエミネンス搭載のこのギターアンプを手に入れたというわけです。 しかし,実際に入手してみると,スピーカーのマグネットがずれて,ボイスコイルがギャップに噛み込んでいる状態でした。。。 音は出ますが,低音がまったくでず・・・

  スピーカのために入手したFAT3ですが,スピーカーは使えませんでした。 早速中身を見てみると愕然・・・オール・チューブのはずが,リバーブ・ドライバとリバーブ・リターンがトランジスタとOPアンプなのです!! オールチューブに偽り有りということで,あっという間に改造されることになりました。

  プリント基板を撤去して,ラグを取り付け,ソケットに直接配線する方法をとりました。 POTも24ミリのモノを仕入れました。ただし,悲しいかな当時はチキンヘッドやフェンダーアンプに使われる数字が書いてあるノブは手に入りませんでした。 仕方ないので,秋葉原でそれっぽいノブを購入しましたが,なんとも間抜けな絵面となってしまいました。

  部品は当時の秋葉原で手に入るオーディオ用のものを使いました。 抵抗は主にシンコーのタンタル抵抗を使用しました。 水色のコンデンサは双信のQPコンです。ブルードロップなんてあだ名が似合いそうです。 錫箔巻きコンデンサーです。NTKのディップマイカも多用しています。 電解コンデンサーもエルナーのセラファインを使用しました。

  シールド線はMOGAMIのモノを使っています。当時ですでに部品に対する基本的なスタンスは確立されていたようです。 そのほかの線材には日立のLC-OFCを使っています。 POTはCOSMOSのRV24です。いまだにガリは出ないことを考えると信頼性は高いと思います。

  オーディオ用の部品ばかりを使ったせいなのかはわかりませんが,クリーンがとても透明でクリスタル・クリアーと形容しても恥ずかしくなく,お前は随分すごいアンプを作ったものだとサークルの先輩に褒められたのを覚えています。

  整流ダイオードはMB-1という名称だったと思います。缶パッケージのいかついダイオードです。これもいまでは入手できません。 バイアス電圧生成回路は蛇の目基板で作り直しました。理由はGroove Tubeの「6V6GT-HD」という真空管を買ってしまったからです。 普通の6V6GTよりもバイアスが深く,当初の回路では電圧が足りませんでした。

  最終的な回路は,Deluxe Reverbのような2段増幅にマスターボリュームとリバーブの音量コントロールを追加し,その後1段増幅してPK分割のフェーズインバーターとなっています。 リバーブはドライブが12AX7の片側でトランスドライブ,リターン側も12AX7の片側で済ましています。 ミックス回路などを工夫したお陰か,かなりクリアーなリバーブが得られました。

  当初ついていたトランスは外して,TANGOのCRD-8を載せています。 理由はと言いますと,高域が耳障りで低域が薄かったことです。 トランスの大きさが小さくコアボリュームが不足していそうでした。 フルアップとしたときに低音が出ず,高音が耳障りでした。 当時はギターアンプ用のトランスなんてものは入手できず,秋葉原で買える一番小さなプッシュプルトランスがCRD-8でした。 リバーブドライバのトランスもそうですが,トランスの入手が一番手間がかかりました。 トランス屋の親父は何も教えてくれず,自分で調べるしかありませんでした。 何とか動いたときはうれしかったと思います。


  さて,思い出話はいい加減にして今日的な視点でこのアンプを分析してみますか。

  まずはノイズがひどい・・・マスターを絞るとノイズが消えるのでプリでノイズが載っていることがわかります。 「ジー」がまじった「ブー」ですので,整流回路からくるハムと思われます。 5年ぶりくらいに電源を入れたのでゴソゴソと音がしました。おそらく電解コンデンサーから発したノイズを思われます。 ゴソゴソノイズはしばらくすると消えました。

  バイアス回路以外は完全にPTP(ポイント・トゥ・ポイント)配線なのでGNDの引き回しでノイズの出具合が変わります。 接地点をどこにとったのか忘れてしまいましたが,入力ジャックのようです。 もう少し接地点を増やすか,コンデンサーによるハイブリッド接地にすればノイズが減ると思われます。

  音色は透明でハイの伸びが良いです。ただし,ノイズが大きいので最近作ったアンプのクリーンとはちょっと感じ方が違います。 トーンコントロールは独自の定数になっています。トレブルの効きが特殊でフェンダーのような明るさは出せず,AC-30に近い効き方をします。 トレブルを上げると輝きが増すというような雰囲気です。 16ミリのPOTを使って無理やり追加したハイカットもVOX的な思想と考えられますから,当時からフェンダーだけでなくVOXの設計も取り入れていたことがわかります。


  押入れに入っていたアンプを引っ張りだしてきたわけですが,この10年の進歩がなんだったのか・・・ いや,そんなことは言いません,配線の引き回しやGNDの処理,そこらへんは確実にスキルアップしています。 そして,最新のODS60はノイズがほとんど出ません。当時このアンプを普通にライブで使っていましたので,そんなにノイズがひどいとは思っていませんでした。 音色も普通で,工夫を凝らしたトーンコントロール回路などはもう一度じっくり考えてみてもいいかと思わされました。 結論から言うと,音色作りのスキルはこの10年でほとんど変わっていないですね・・・


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