LINE6 DL4 EXTREME MODIFY

初稿:2012-06-15:てか工事中


DL4の全体構成

LINE6 DL4 Block Diagram REV6A

REV6A基板のブロック・ダイアグラムを示します。

アナログ部分の説明

入力信号はジャックを通じてリレーに入ります。リレーはラッチング・タイプのリレーが二つ使われています。 エフェクト・オフで入力と出力が直結になり,その他の回路は切り離されるので,トゥルー・バイパスとなります。

一方,エフェクト・オン状態ではTL072を使用したプリアンプを通過した後,CS4223というICに入力されます。

CS4223は48kHz-24Bitのステレオ・コーデックです。つまり,ADCとDACを集積したICです。

メーカーはシーラス・ロジックです。割と安価なADCやDACを数多く作っています。 シーラス・ロジックのADCやDACは消費電力が割と少ないのでコンパクトエフェクターによく使われています。

プリアンプではプリ・エンファシス処理を行い,高域を強調してからADCに入力します。

ADCの入力は差動入力方式ですが,回路の複雑化を避けるためなのか,より簡単なシングル入力方式で済ませています。

DACの出力は差動出力ですので,シングルに変換する必要があります。 差動・シングル変換回路は2次のLPF(Low Pass Filter)を兼ねており,TL072が使われています。

最終段のTLC2272はデ・エンファシス処理とケーブル・ドライバーの役目を受け持っています。

デジタル部分の説明

CS4223でADCされたデジタル信号は「FREESCALE」TI(テキサス・インスツルメント)のDSP(Digital Signal Prosesser)に送られます。

DSPはプログラムに従ってデジタルデータを演算し,ディレイを発生させます。 図には記載していませんが,DSPには外付けもメモリも用意されています。

DSPはNXP(元フィリップス)の8ビット・マイコンで制御されているようです。 プログラムはAK(旭化成)のEEPROMに格納されているようです。

もう一つ,取り外し可能なEEPROMが搭載されていますが,おそらくユーザーが組んだ音色設定のプログラムを保存するものだと思います。

もし,修理が必要で基板交換を行ってもユーザー・データーはEEPROM入っているので,EEPROMを差し替えれば設定を復元できるのだと思います。

デジタル回路はマイコンに取り付けられた11.98MHzという中途半端な周波数のクロックで駆動されており,CS44223のサンプリング周波数は約46.8KHzです。

図示していませんが,つまみの設定を読み取るADが搭載されており,マイコンに接続されています。


電源部分の説明

電源の説明です。

LINE6 DL4 Power Supply Diagram REV6A

電源は電池かACアダプターを選べるようになっています。

電源ICはMAX887というDC-DCコンバータを搭載しています。

入力電圧範囲は3.5V〜11Vです。

アダプターを接続した場合,11V以上になってしまうので,ツエナーダイオードによるドロッパーが入っています。

電池駆動の場合は単2電池を4本使います。 最低でも3.5V以上の電圧があれば動きますので,電池の容量を目いっぱい使うことができます。

MAX887はスイッチング・レギュレーターです。設定電圧は3.3Vです。 入力された電圧をスイッチングして3.3Vになるように調整します。

スイッチング・レギュレーターはノイズを発しますが,MA887は300kHzという比較的高い周波数でスイッチングしていているのでノイズ対策は楽です。

3.3Vはマイコン,DSPなどのデジタル回路の電源として供給されています。

アナログ電源は±5Vが用意されていますが,作り方がユニークです。

+5Vは3.3Vを2倍昇圧のチャージ・ポンプIC(ボルテージ・ダブラともいう)で6V程度に昇圧されます。 その6Vから低ドロップアウト・リニア・レギュレータで5Vを生成しています。

−5Vは+5Vをチャージ・ポンプICで反転させて作っています。

レギュレートされた3.3Vを基準にして動いているので電源電圧変動の影響を受けません。 回路の効率も高いので優れたやり方だと思います。


プリント基板

基板は箱の内部を覆いつくすほどの面積を持ち,すべての部品が基板上に実装されています。 非常に組み立てやすい構造です。

両面基板になっていて,部品面が主に配線層,裏面はベタ・グランドとなっています。 一応,アナログ・グランドとデジタル・グランドの区別があるようです。

ジャックには金属の部品が取り付けられていて,コンデンサーを通じてグランドに落とされています。 筐体と基板上のグランドは右端のリレー付近のネジ穴で1点接続されています。

プリント基板のパターンは非常に稚拙です。

回路図から単にパターンを引いただけで,部品配置や配線の引き回しの粗雑さからは信号品質を維持しようという気持ちは全く見えません。 ノイズや干渉を少しでも減らそうなんて考えは頭の片隅にもないようです。

重要なラインが奇妙なルートを通っていたり,パスコンの位置がとんでもないところだったり,もしくは完全にパスコンが抜けていたり,右へ行ったり,左へ行ったり,迂回したり,引き返したり,太すぎたり,細すぎたり,挙句の果てに謎のミアンダ・パターンがあったり・・・

意味不明です(^ー^)

pics


アナログ回路の説明

基板のパターンを追って読んだ回路図です。間違いががあるかもしれません。 抵抗の数値はチップ抵抗の値を読んでします。コンデンサーの数値は基板から外して測定しないとわからないので不明が多いです。

プリアンプ

LINE6 DL4 Schematics

プリアンプ

こんな感じです。シンプルです。TL072を使った非反転増幅回路です。増幅と同時にプリ・エンファシスをかけています。

このままADCに接続します。

DACアンプ

LINE6 DL4 Schematics

DAC出力をLPFします。ほぼCS4223の仕様書に記載されている回路通りです。

2段目の反転増幅回路でデ・エンファシスしています。

プリ・エンファシス,デ・エンファシス

SNを稼ぐためだと思いますが,DL4ではエンファシス処理を行っています。

アナログ・レコードやテープ・レコーダーのイコライザーと同じ原理です。

もう少し暇なときに説明を追加します。


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