ギターアンプ用のスピーカーケーブルの音質を比較してみる


趣旨

配線材は適材適所なのだと断言してはばからないのだが,スピーカー・ケーブルではどんな具合なのだろうか?

太けりゃいいジャンと思っていたのだが,そうでもないらしい。でもどうしよう。

環境

用意したそれぞれの配線材にノイトリックのフォーンプラグを取り付ける。
半田の量は最小限にすること,熱し過ぎないことに十分注意しながら半田づけを行った。

アンプは自作「Over Drive Special +Singer 60s」真空管はいつもの組み合わせ。設定もいつもの設定。(PRS12時)
主にストラト。ピックアップはFENDER TEXAS SPECIALを搭載。
スピーカーはEVのEVM-12Sっぽいやつ。主にオーバードライブ状態で比較した。

線材の容量測定は秋月で購入した容量測定器を使用した。 できるだけまっすぐ引き伸ばして,フローリングの床に這わせた状態で測定した。


評価項目

低域中域高域
低音弦のヌケのよさ
低域の存在感
ゴリッとした荒さ
ミドルの音圧感
高音弦の抜け
ハーモニーと倍音

結果

ワイアGAUGESQ
mm^2
静電容量
pF/m
長さ低域中域高域Comment
WE 12AWG Stranded12AWG
?x?AWG
3.3sq67.6pF/m2m高域もしっかり出るが,中域の表情が豊かでバランスがいい
BELDEN 8470 Stranded16AWG
19x29AWG
1.3sq52.3pF/m3.1m全帯域がしっかりしてバランスが良い
AT6173 Stranded≒15AWG
0.1mm x 196
1.54sq80.9pF/m2m×滑らかだけど,元気がなく暗い
CVVS 1.25sq QUAD≒16AWG x 2
7x0.45mm x 2
2.5sq211.7pF/m2.3m×太いだけ
MOGAMI 2514≒20AWG
19x0.18mm
0.5sq48.3pF/m2mブライトで高音弦がよくでる,見通しがよいが細い
WE Enamel Solid
Black/Red
20AWG0.52sq53.3pF/m2m2514と同等のイメージ
WE Enamel Solid
Yellow/Green
20AWG0.52sq47.1pF/m2m前者より高域が出ていない
Cloth Covered Wire22AWG
7x30AWG
0.42sq52.9pF/m2m2514と同等だが,中域の雰囲気が明るい
TEFLON Stranded
Twisted Pair
24AWG
19x38AWG
0.15sq48.6pF/m2m×2514よりさらにブライト

×:だめ
△:がんばろう,よわい
○:ふつう,中庸
◎:よい,強い


左から,AT6173,WE 12AWG,8470,CVVS 1.25 QUAD


総評

ストラトのブリッジ側のローコードで高音弦の出方を比較 ネック側の7フレット付近で低域の出具合と中域の表情を比較

本当に低いところ(6弦開放)よりも,B(6弦7フレット)辺りのほうが低域の表情の変化がわかりやすかった。 100Hz付近はスピーカーのインピーダンスが高く電流が流れにくいからかもしれない。

音の違いは微妙ではあるが,無視できない程度の違いが出ている。 特に高域の伸び具合や暴れ具合はわかりやすい。

違いにつながる要因としてはトランスの高域特性とのマッチングがまず考えられる。 むろん,トランジスターアンプならば傾向は全く異なるのは容易に想像できる。

また,スピーカーによっても最適解が異なるだろう。


線材の紹介

AT6173

オーディオテクニカのスピーカーケーブル。量販店で余剰品が安く出ていたのでGET。 ここ10年くらい使っていた。

そう考えると,自分がいかにスピーカーケーブルに興味がないことがわかるな。

裸銅の撚り線で芯数は多いため,しなやかで扱いやすい。 太さも手ごろ。透明シースで見た目もよい。

1.5sq相当の太さがあるので低域が出るのはうなずける。

被覆のせいか,高域はおとなしい。暴れがないぶん滑らかといってもいい。

WE 12AWG

最近入手した。再生産の線材が好評らしく,前から興味があったので買ってみた。 再生産品でもNOSでも結構な値段がするのでホイホイ使うわけにはいかない。

錫メッキの撚り線で芯数は数えていないので不明・・・

被覆は全て布かと思っていたが,樹脂の絶縁体層の外側に布が巻かれている。 表面にはなんだか文字が書いてあるが判読不能・・・

太くてしっかりしている。古い配線材だが半田のノリもよく,腐った感じはしなかった。

明るい音色で低域もしっかり出ているのでギターにはよく合う。

BELDEN 8470

スタンダードなスピーカーケーブル。 見切り品が安かったのでGET。

錫メッキ撚り線で,被覆は薄く固い。撚りも固い。

すごくしっかりした作りになっており,音色も同様にしっかりしている。

CVVS 1.25 QUAD

これも見切り品(汗)すごく安かった。 電力用ケーブルで,シールド付,しかも4芯なのでスタークアッド接続できるので購入。重かった。

裸銅7芯の同心撚りで,被覆はビニール,介在はクラフト紙で樹脂テープの上に分厚い銅箔が巻かれている。 すごく固くて取り回しが大変(汗)

4芯なのでスタークアッド接続としている。1.25sqが2本なので2.5sqとなる。

スタークアッドはインダクタンスも減るし,インピーダンスも下がるし,いいと思ってたんだけど,結局音が太くなるだけやんか。

オーディオにはよいが,ギターには不向き。ベースならいけるか?

その他

細い線材は内部配線用に作ったモノを流用した。

細い線材は低域がでない。その分,薄っぺらな印象を受ける。 低域のよく出るキャビやスピーカーと組み合わせるとマッチングが良いかもしれない。

高域の表情は線材によって変わるが,低域が薄いこともあってでどれも繊細(神経質)な印象になる。

フォーンプラグ

ノイトリックのフォーンプラグを使用した。

アンプ側がアングルで,スピーカー側はストレート。 型番はそれぞれ「NP2RX」「NP2X」。

AT6137のアングル側は「NP*RCS」を使っているのは大昔に作ったから。

「NP*RCS」はプラグ部分とハウジング部分が一体のダイキャストでできていた。 「NP2RX」はプラグ部分は「NP2X」と同様の構造でハウジング部分は別部品。

ノイトリックのフォーンプラグは半田づけする部分の面積が大きくて太い配線材でもしっかり半田づけできるのがよい。 スピーカーケーブルには専ら使用している。

スピーカーケーブルに求める気持ち

大電流が流れるので太くあってほしい。

単線は引き回しが大変なので,結局撚り線になってしまう。

最近の傾向では被覆は硬い方がいいんではないだろうかと思っている。

そういう意味で,ふにゃふにゃの塩ビ(PVC)被覆は避けたいが,BELDENのPVCは固くて別格。

被覆は薄い方がいいという説もある?気がする。気のせいかな。

電力用ケーブルが安くてコストパフォーマンスがよさそう。

「エコ」系の電力ケーブルはポリエチレン被覆だったりするのでよさげ。

CVケーブルにもう一度チャレンジしたい。結局はMOGAMIの2515や2516で充分という結論になりそうだが・・・。


スピーカーケーブルの太さはどの程度必要か

音が良けりゃそれでいいんだけど,結局どのくらいの太さが必要なんだろう。

アンプを壊したり,火災になったりするのは嫌だから,ある程度の太さはあったほうがいいと思うのだが。

ググってみると強電系の電力ケーブルでは10A/1sq程度の目安となっているようだ。 環境温度は30℃〜40℃くらいみたい。つまり屋外ってことか。 機器内ではもう60℃か70℃まで見たほうが良いと思うが,スピーカー・ケーブルはアンプとスピーカーを結ぶわけで,屋内配線と考えられる。 だから,40℃の定義でも大丈夫かなと。

1本だけ単独て引き回すのか,複数本で引き回すのかで許容電流は変わる。

ちなみにプリント基板でよく言われる配線幅1mmにつき1A(35um厚)の基準を換算すると,1sqでは28Aになる!!

ちなみに代表格のBELDEN 8470は1.3sqで7.1A @25℃ となっている。5.5A/sqなのでかなり余裕がある。

電線の耐圧はというと,100W 8ohmでは40V位の電圧がかかるので100V程度は必要。太めの電線ならば大抵は大丈夫だと思う。 被覆の丈夫さを考える場合は,ハードな取り扱いに対して破れたりしないだけの強度があるかどうかの方が心配。

■最大電流から見積もると

100W - 8ohmの場合
28Vrms,3.5Arms

0.5sq(20AWG)あれば行けそう

50W - 8ohm
20Vrms,2.5Arms

0.3sq(22AWG)あればいけそう

状況としては,アンプをフルアップにしてずーっと使い続ける状態になるだろう。

■ボイスコイルショートを想定する

真空管1本あたり最大で500mAの電流が流れると仮定する

シングル・プッシュプルの場合,トランスが「4k:8」であれば電流は22.4倍で「11.2A」になる

1.25sq(16AWG)あればいけそう

パラレルプッシュプルの場合,トランスが「2k:8」であれば電流は15.8倍で2本分なので「15.8A」になる

2.0sq(14AWG)あればいけそう

ボイスコイルショートは短時間と考えていいと思うのでかなり余裕がある数字となる。

結局は・・・

結局ギターアンプのスピーカーケーブルの容量としては,8470の「7A」に敬意を表したい。

太さはというと,電力ケーブルとしては1A/1sqと考えると,18AWGが0.8SQでよいところ。

HRL的な結論としては18AWG(0.8SQ)あればOKとしたい。 50W以下の小型のアンプならば20AWG 0.5SQでもOKと思う。

まあ,電力のことしか考えていないので,細い線材を使う場合は引き回しには気を使ったほうがよかろう。 つまり,温度の高いところを這わせたり,長い分をまとめてしまったりすると想定以上に過熱するの危険がある。 挟み込んだりするとショートの危険がある。まあ自己責任ということでしょう。


なんかこの盛り上がらない感じ。ダメだね。最近「おいて行かれている感」をひしひしと感じる。


追記2013-03-25

CELESTIONのVINTAGE-30に接続してCVVSクアッドとWE12AWGを比較してみた。 エレボイではCVVSクアッドは太いだけという評価だったが,VINTAGE-30の場合,ハイが落ち着いて相性がよい。

結局,スピーカーとの組み合わせじゃんか。ということを一言付け加えておきたい。


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