GE FIVE STAR

★★★★★

TUBE DESIGN

GE FIVE-STAR TUBE

失われた技術

勝手に訳す

GEの高信頼管に関する文献、12AX7:5751、12AU7:5814、12AT7、6201、12AY7:6072

元ネタはこちら



GL-5751の断面図
ゼネラル・エレクトリックは基本的方針として真空管の信頼性は検査できないと考えています。 検査工程と特殊選別工程だけに頼ると、均一な品質と高い信頼性を持つ製品を提供することは難しく、経済的な観点からも非効率的です。 GEのエンジニアは真空管に高い信頼性を作り込むと共に、既知の真空管故障原因を最小化して克服するため、多くの設計的工夫を仕様に盛り込みました。 これらの設計的工夫は一般的に二つのカテゴリに分類されます。 衝撃や振動の影響を軽減するための工夫と真空管の電気的信頼性を高める工夫です。 これら全ての設計的工夫が標準品はもちろん全てのFIVE-STAR管に組み込まれているわけではありません。 特定の管では不要になる場合があります。例えばGL-5670は実用上は低インピーダンス回路に使われますので電極間の漏洩電流は問題なりません。 したがって,この管には17ページで説明されている漏洩電流を低減するためのスリットは設けられていません。 GE FIVE-STAR管が標準品と構造的にどのような違いがあるのかを示すためにいくつかの拡大図を次のページに示します。

1枚ではなく上下それぞれ2枚のマイカ・スペーサーで内部構造を支えます。 これらの追加マイカはガラス筒との接触面積を大きくし,振動や衝撃に対する強さを生み出します。
ゲッター・フラッシュ・シールドは管内のマイカに落ちてくる導電性の堆積物を防止することにより,初期の漏れ電流特性を改善してプレート・グリッド間の漏れ電流を最小限に抑えます。
FIVE-STAR管のヒーター・ワイアは屈曲によってひびが入り剥がれる可能性がある場所にも電着によって絶縁材料を堆積させた特殊な二重コーティングとしています。 これは一般的な故障であるヒーター・カソード短絡をの危険性を最小化します。 写真は特殊処理前後のヒーター・ワイアの拡大写真です。
FIVE-STAR管は短く頑丈なケージが特徴です。 これによる重量軽減と剛性増加により衝撃や振動に強くなます。 さらに,大口径のカソードは変形に対して強いです。
FIVE-STAR管の重要なグリッドは金か銀でメッキされています。 これによって使用中のグリッド・エミッションを防止します。
ゲッターをマイカに二段積みすることで衝撃や振動に対して強力に支えます。
内側マイカのロッド穴とカソード穴の周囲に設けられた隙間は逃げ道を塞ぎ、熱伝導を低減します。 写真は内側マイカが外側マイカに支えられていることを示します。 大きな逃げ穴があるのが内側マイカです。
FIVE-STAR管のマイカ・スペーサーに付けられた漏洩電流対策のスリットはプレートと他の電極間の絶縁距離を長くします。
写真はFIVE-STAR用(下)と同じ品種で原型となった民生用(上)のマイカスペーサです。 FIVE-STAR管は管壁にピッタリフィットするためより多くの接触点を持ったマイカで組み立てられています。 これにより衝撃や振動の影響を低減します。
FIVE-SATR管のヒーター・バーは質の良い組み立て溶接を保証し,構造的な剛性を与えるためにボトム・マイカにしっかりと固定すると共にベース・リードに溶接されています。
グリッドの足はマイカ・スペーサー貫通部分をしっかりと留めるために滑らか(刻みがない)です。 これによりマイカとのノコギリ動作によるグリッド振動とマクロフォニック・ノイズを防止します。 写真はFIVE-STAR管のグリッド(右)と標準的な受信管のグリッド(左)の比較です。
垂直支持タブの留め具はFIVE-STAR管の構造的強度を高めるために溶接されています。

FIVE-STAR管には他にも拡大写真では表現できない機械的・電気的な設計的工夫がいくつかあります。 例えば,グリッド・ロッドの穴サイズとこれらの穴同士の間隔は電極同士が完全にフィットして正確な間隔を維持できるように保証するため,非常に小さな公差で作られています。 ヒーター・ワイアは組み立てられたヒーターがカソードによってしっかりと保持されるようにより厚いコーティングが施されています。 この追加コーティングはヒーターとカソードの短絡も最小限に抑えます。 高グレードのマイカは表面と厚さの均一性を厳しく検査しています。これらのマイカは剥離や割れが少ないので真空管の強度アップに寄与します。 多くのFIVE-STAR管は広いヒーター電圧範囲において信頼性の高い動作を可能とするためにヒーター電流定格が大きくなっています。

あなたの球ライフの一助となれば・・・


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