チョイラボその8

TIのオペアンプ特集


LINE6 DL4の改造をしている最中にオペアンプ選定をしておった。 アナデバ,TI,ナショセミ,リニア・テクノロジーあたりを物色することが多い。 海外メーカーは何と言ってもデーター・シートが充実している。

最近リリースされたTIのオペアンプ群は性能がよい。みたい。 THDに関してはナショセミの測定方法が数字として良い数字が出るのでナショセミを買収したTIもそれにならったということだろう。 実際はAD797やNE5534なんかも案外いけてるらしい。

OPA16xxシリーズとでもいうのだろうか・・・わからんが。 工業用の高価なオペアンプを規格緩和して民生向けに展開しているらしいのだが,なんとなくラインナップがそろっていて面白かったので表にまとめてみた。

あと,出力段にクロス・カップルド・フィード・フォアードという回路が使われていて,低消費電流ながら低歪み率という背反する要素を満たしているのがすばらしい。


P/NGBWSRNoiseEnInVosIbIosVcm+Vcm-AolIqTHDInput ImpINPUT
2個入りHzV/uSV
@20Hz
to 20kHz
VAVAAV
V+
V
V-
dBA@1kHz
RL=2kohm
3Vrms
Diff/Comm
Ohm||F
OPA160235M202.5u2.5n1.8p+-0.1m+-20n+-20n-2+21202.6m0.00003%20k||2p/10^9||2.5pNPN
OPA161240M271.2u1.1n1.7p+-100u+-60n+-25n-2+21303.6m0.000015%20k||8p/10^9||2.5pNPN
OPA164211M204.3u5.1n0.8f1m+-2p+-2p-3.5-0.11341.8m0.00005%10^13||8p/10^13||6pJFET
OPA165218M105.4u4.5n0.5p+-0.5+-10p+-10p-2+0.51142.0m0.00005%100M||6p/6000G||2pFET
OPA166222M172.8u3.3n1p+-0.5m600n+-25n-1+0.51141.5m0.00006%170k||2p/600M||2.5pPNP
参考
TL0723M134u *118n0.01p3m65p5p0+3.01061.4m0.003% *210^12/***JFET
TLC22722.25M3.67u *39n0.6f0.3m1p0.5p-0.8-0.3942.4m0.0011% *310^12/10^12||8pFET

*1 : RS=20ohm, 10Hz-10kHz
*2 : 6Vrms, RL=2kohm, 1kHz, Av=1,Rs=1kohm
*3 : 1Hz-20kHz(Figure 53)
*4 : 4.6Vpp, 20kHz, RL=10kohm, Av=1

おーばーびゅー

OPA1602とOPA1612はNPNバイポーラ入力で電圧ノイズと歪み率が低いのが特徴。

OPA1622という型番は存在しない,OPA1632という型番は差動アンプなので別枠(後述)。

OPA1642とOPA1652はFET入力で,電圧ノイズもそこそこ低くて,入力バイアス電流が少ないのが特徴。

OPA1662はPNPバイポーラ入力で消費電力が少ないのが特徴。

OPA1602とOPA1612の比較

OPA1602はIosの変動が少ない。温度範囲とコモンモード電圧を広範囲に考慮するとOPA1602の方が変動が少ないのが読み取れる。

OPA1602は入力容量が小さい。OPA1602はOPA1612に対して1/4となっている。

OPA1602は消費電流が少ない。OPA1602はOPA1612より1mA少ない

OPA1602はUnity Gainでの安定度が高い。 OPA1612はOPA1602よりも安定度が悪いのでゲイン1以上で使ったほうがよさそう。 容量性負荷の場合,OPA1612はCfが必要。OPA1602にOPA1612と同じCfを取り付けると容量負荷でもオーバーシュートが出ない。

ゲインが1以上で容量性負荷をドライブしない回路の場合,特にノイズ特性を重視するならOPA1612が適している。 ゲインが1で容量性負荷をドライブする場合はOPA1602を選んだ方が無難。

以上より,OPA1612は入力のトランジスタを4倍にして低ノイズ化を図ったと推測できる。 結果,消費電流が増えてかつ,ゲインも上がったので安定度が落ちていると考えらえる。

OPA1642とOPA1652の比較

OPA1642は「J-FET」と明記してあるが,OPA1652はただ「FET」と記述されている。等価回路図はMOS-FETとなっている。 MOS入力でこれだけ低ノイズなアンプはなかなかなかった(低電圧ならあったかも)。

ところが,入力のインピーダンスを見るとOPA1652は低い。バイアス電流も一桁多い。バイポーラに比べると6桁少ないけど。電流ノイズもOPA1652は多い。

OPA1652の等価回路には入力保護ダイオードが入っているので,このダイオードが影響しているようだ。 とはいえ,バイポーラと比べるとバイアス電流は少ない。

FET入力の場合は入力保護ダイオードはあまり入れないのと思うのだが,ダイオードがないとラッチアップでも起こすのだろうか・・・

ここまで見ていくと何も考えずにOPA1642を使うところだが,入力のコモンモード電圧の制限が厳しい。

OPA1642はJ-FET入力のおかげで負電源以下の入力まで許容できる。しかし,プラス側は正電源マイナス3.5Vに制限されている。5V電源の場合,入力電圧は1.5Vまでしか許容できない。

FETオペアンプを反転増幅に使う意味はあまりないので,非反転で使うだろうが,入力電圧が大きく,電源電圧が低い場合にはOPA1642は使えない。 そもそも,低ノイズオペアンプなのだから扱う電圧も微小なはずなので通常は問題ないと思うが。

OPA1662の立ち位置

OPA1662の特徴は低消費電流だろう。同等の性能をわずか1.5mAで実現している。1mAを切ると低消費電力オペアンプと呼べるのでこの性能でこの数字は驚異的といえる。

OPA1602やOPA1612は入力バイアス電流が±の規定となっているので入力バイアス電流キャンセル回路を装備していることが予想できる。

OPA1662は入力バイアスの定義が600nAとなっておりPNP入力段を持っていることがわかる。

入力段をPNPとしつつ,バイアスキャンセル回路を省き低消費電流を実現しているのではないだろうか。


完全差動アンプ比較

P/NGBWSREnInVosIbIosVcm+Vcm-AolIqTHDInput Imp
DIFFHzV/uSVAVAAV
V+
V
V-
dBA@1kHz,RL=2kohm,3VrmsDiff/Comm
Ohm||F
OPA1632180M501.3n0.4p+-0.5m2u+-100n-1+1.57814m0.000022%34M||4p/***
THS4520620M4902n2p+-0.25m6.5u+-0.2u-3.25-1.311214.2m2nd=-115dB,3rd=-123dB
@100kHz,RL=1kohm,8Vpp
7.5k||0.31p/2.67M||0.77p
THS4521145M4204.6n0.6p+-0.24m0.7u+-30n-1.3-0.21161.14m2nd=-122dB,3rd=-140dB
@1kHz,RL=1kohm,1Vrms
THD=-112dB
@1kHz,RL=1kohm,5Vpp
100k||0.7p/***
THS453136M22010n0.25p+-200u160n+-5n-1.1-0.21140.25m2nd=-122dB,-3rd=130dB
@1kHz,RL=2kohm,1Vrms
200k||1.2p/200k||1p

OPA1632は消費電力が非常に大きいので注意が必要。 その分,非常に広帯域でノイズが少ない。THDはオーディオ帯域のみの規格なので単純に比較できないが,高周波でもそこそこの性能が期待できると思う。

THS4520はOPA1632をさらに広帯域にしている。OPA1632と同様に消費電力が非常に大きいので注意が必要。 SRも非常に早く,THDは100kHzで規定している。入力容量も小さいのでよりOPA1632よりも高周波を意識していることがわかる。 ゲインも高いのでDC性能もそこそこ期待できる。

THS4521は消費電流を減らして帯域もそこそこにしてるのでオーディオ用と考えてもよいと思う。

THS4531はさらに消費電流を減らして帯域も絞っている。ノイズが増えていること,バイアス電流が減っていることから考えておそらく初段の電流を減らしているのだろう。 この程度のノイズなら現状の24BitADCのノイズフロアを考えれば十分と思う。


Contact Info
Copyright(C) Since 1999 Y.Hosoya. All rights reserved.
inserted by FC2 system