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真空管アンプの安全設計:対策

6:配線・実装技法


6-3:感電・火災を防止する秘訣

感電も電気火災も絶縁不良が原因です。 まずは絶縁不良がどのような状況で発生するのか原因を考えてみました。

■半田付けや圧着端子が外れて配線がブラブラしてしまう
■異物が侵入してショートが発生する
■配線同士の絶縁距離が不十分で絶縁不良につながる

それぞれ詳細を考えてみました。


■半田付けや圧着端子が外れて配線がブラブラしてしまう

半田付けは強固な締結手段と思われますが,金属の拡散と結晶化という不安定な現象に依存しています。 使用時に温度ストレスや機械的ストレスが加わることによってクラックを発し,破断する場合があります。

半田付け時の温度管理も結晶状態に大きく影響してきます。 温度が高すぎると脆くなって破壊しやすくなります。

ファストン端子や圧着端子は決められた工具で適切に圧着してやらないと配線が抜けてしまったり,ストレスが加わって金属疲労で破断することが考えられます。

ネジ止めしたとしても振動や温度変化で徐々に緩んできて外れることが考えられます。

よって,配線は接続端子部分から外れるものと考えて,外れてしまってもブラブラしないような工夫が必要になります。

カーバーを取り付けてショートを防止する

端子部分の金属が露出しないように熱収縮チューブや専用のカバーを取り付けるということが対策になります。

ファストン端子は専用のカバー付き金具がありますし,無ければ熱収縮チューブをかぶせます。

FASTON

メジャーなメーカーのアンプは内部配線にファストン端子が使われていますが,すべての端子にカバーがついています。

ファストン端子はタイコエレクトロニクスの商標で,電源周りは「205」や「250」がよく使われます。 それぞれ,端子幅が0.205インチ,0.250インチを示しています。

半田付けのテクニック

半田付けの場合は長めに被覆を剥き,端子部分にしっかりからげて,手を放しても外れない状態にしてから半田を流します。 異常過熱した際に半田が溶けても端子から外れないようにするわけです。

大きな端子には大きな半田ごてを使います。 よく言われるように表面がピカピカ光る状態が最良です。

一度半田付けした部分を再び半田付けする場合は古い半田を丁寧に除去してから新しい半田で半田付けします。

半田付けした端子はさらに熱収縮チューブを被せて絶縁を強化することで半田付け部分が破断した場合の安全を確保出来ます。 面倒な作業ですが,断線して内部でブラブラするとどのような事故につながるかわかりませんので必要です。

最後に配線同士を束ねておくと安定しますのでブラブラしません。 ただし,きつく束ねると被覆に徐々にダメージが入りますのであまりきつくしないことです。


■異物が侵入してショートが発生する

外部から進入してくる異物としては,金属ではペンなどの金属棒やネックレスなどの鎖,ギターアンプではギターの弦が考えられます。

液体,埃も絶縁不良につながります。 リハーサルスタジオが飲食厳禁なのは飲み物をこぼすとアンプが故障するからです。

とはいえ,飲み物をこぼしたり,埃の多いところに放置することはよくあることです。

開口部に注意

筐体の開口部(穴)の位置を吟味することで対策するしかありません。 特に電源周辺には穴を開けないことです。

また,安全な場所であっても指が入るような大きな穴を開けてはいけません。

液体の侵入に対しても考慮が必要です。 フェンダー・ツイード・デラックスのリイッシューものは, 電源スイッチにゴムカバーがついていますが,液体の侵入による感電の防止と火災の防止の二つの役目があると考えられます。

液体だけでなく埃が堆積して湿気を持つと電気を通して絶縁不良につながります。 上に向いた開口部(穴)は埃の進入経路になります。 開口部の直下に高圧の回路や重要な回路が来ないようにすべきです。

冷却ファンを内蔵しているアンプでは風が流れる部分に埃が堆積します。 吸気ファンとして吸気部にフィルターを設けると内部への埃の侵入を制限することができます。

猫の小便でFAXが発火する事故が発生したそうです。

「アンプの上に猫」などと検索するとかわいらしいネコちゃんがアンプの上でゴロゴロしている写真がわんさとヒットします。

お気に入りの寝床で粗相する猫がいるかどうかは知りませんが・・・

高電圧部はカバー

トランスの1次側配線などの重要な部分は,電極がむき出しにならないようしておきます。 電極部分にカバーや熱収縮チューブをかぶせておけば,万が一の事故を防ぐことができます。 シリコン樹脂など熱に強いパテ状の樹脂で固めてしまってもよいと思います。


■配線同士の絶縁距離が不十分で絶縁不良につながる

高電圧部分の配線は耐電圧が高い配線材を使い部品配置にゆとり持って配置します。

部品配置は余裕を持って

さまざまな原因でショートは発生します。例えば,,,
・ シャーシ加工のバリや半田のひげ
・ 配線材のほつれ
・ 熱による配線材被覆のダメージ
・ 部品のリード線の切り忘れ
・ ブラブラしている部品,配線

込み入った場所では半田ごてが触れて配線材の皮膜が溶けてしまったりして予期せぬショートが発生したりします。

予期せぬショートを防ぐためには部品同士の間隔や配線の間隔に余裕を持たせて配置設計することが重要と考えています。

自分の経験談ですが,電源部分の抵抗器がシャーシに触れていたので抵抗の表面塗装が絶縁破壊して放電が発生したことがあります。

熱収縮チューブで絶縁強化

電源トランスの1次側配線は熱収縮チューブやガラススリーブをかぶせると絶縁を強化でき,熱にも強くなります。

熱収縮チューブやガラススリーブは電線の皮膜に使われるビニールよりは熱に強いので配線の上にかぶせておくと安心です。

電源トランスの1次側配線は他の配線と区別して引き回すことも必要です。 もし他の配線とまとめて引き回す必要があるならば,やはり熱収縮チューブを被せておくと絶縁の強化になります。


リード部品の取付

取り付けの際に足の根元にストレスを加えてはいけません。 クラックが入るとそこから腐食が進行して故障の原因になります。

ラジオペンチで正しくフォーミングしてから取り付けます。 特にコンデンサーやバリスタは壊れやすいので,ストレスが加わらないように足の曲げ方に注意します。

リード線の半田付けは表面のメッキと半田が馴染むことによって成り立っています。 腐食して半田のノリが悪くなっている場合は使用しないのが基本です。

どうしても使いたいなら,銅リードならば生地の表面が露出するまで丁寧に磨いて使うのが良いと思います。 鉄リードの場合,メッキを完全にはがしてしまうと半田のノリが悪くなります。 フラックスをたっぷり塗って予備半田を行い酸化被膜を除去するか,スチールウールで表面が光る程度まで磨いてやるのが良いと思います。


ネジ止めの定石

ネジ止めは自作アンプの中では非常に重要な位置を占めます。 市販のキットの中にはネジを締めれば完成というものもあります。

ネジはなじみ深いものですが,奥が深いものでもあります。 使用方法について知っていることを簡単におさらいしてみます。

ワッシャーは必ず使用します。緩み止めの働きがあります。

ワッシャーは「座金」とも言います。 種類は「平ワッシャ」「バネワッシャ」「菊ワッシャ」などがあります。

通常は平ワッシャとバネワッシャを使います。 バネワッシャは回転しない側に入れるのが定石だそうです。

M3ネジとワッシャ

ネジの長さは,M3の場合,固定する板金の厚さ+5mmがぴったりです。 プラス2mmくらいのマージンはあってもよいと思います。

歯付き座金

シャーシとの電気的な接続を確実にしたい場合は菊ワッシャを使います。 別名は「歯付き座金」「外歯ワッシャ」「内歯ワッシャ」などといいます。

電気的な接続を確実にするためにはシャーシの塗装をしっかり剥がしてから使う必要があります。

歯付ワッシャ

緩み防止

ネジは案外緩みます。

ワッシャを使うことはもちろんですが,ネジロックなどを使うと緩み防止になります。 わざわざネジロックでなくてもボールペン用の修正液でもOKです。

ネジを締めるときはネジ穴に合ったドライバを使います。小さいものや大きいもので無理やり締め付けるとネジ山をつぶしてしまいます。

最後に,,,締めすぎはよくありません。適正なトルクがあります。


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