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真空管アンプの安全設計:対策

6:配線・実装技法


6-4:配線材の選定

配線材はただの電線ですが用途によって様々な種類がありますので適材適所で使い分けます。

電源には太い配線材を使おう(電源配線の電流容量)

配線材の許容電流を考えるときは,正常動作時の電流値ではなく,異常時に流れる電流を想定する必要があります。

例えば消費電力100Wの機器ならば,電源トランスの1次側配線には1Aの電流が流れます。 設計としては1A流せる配線材を選べばよいように思います。

しかし異常事態が発生すると配電盤のブレーカー容量に制限されるだけの電流が流れます。 15Aのブレーカーから配線されているコンセントならば15A以上流れます。 このように異常な電流が流れた場合に配線材が溶けたり燃えたりしてはいけません。 配線材が溶けると内部の配線がむき出しになり,ショートや感電の恐れがあるだけでなく火災の恐れもあります。

ですから電源の配線は少なくともヒューズの容量と同じか2倍以上の電流が流れると想定する必要があります。

配線材に流せる許容電流を制限する制約は配線材の温度です。 ですから熱い場所で使うと許容電流が下がります。 また,配線材を束ねると許容電流が下がります。 もちろん,太い配線材ほど抵抗値が低く,熱の発生が少ないので沢山の電流を流せます。

様々な条件を考えると真空管アンプでの目安としては,電源やヒータのなど大きな電流が流れる配線は太さが18AWG以上の配線材を使う必要があります。

電源以外の配線は24AWG〜22AWGでよいと思います。

真空管アンプの配線材は耐電圧にも注意

耐電圧は被覆の材料と厚さでほぼ決まると考えられます。 耐電圧が明記されている電線を選ぶと安心して使えます。

電源トランスの1次側配線はコンセントから供給される100Vの交流です。 しかし,コンセントの源流は電柱に来ている6600Vという高電圧です。 供給側で事故が起きると高電圧がかかる危険があります。 ですからアンプの1次側配線は100Vでは物足りず,AC電源専用の配線材か600V以上の耐電圧を持った被覆が厚い線材を使う必要があります。

電源以外の配線で電圧が100V以下であれば耐圧はあまり気にする必要はありません。 100Vを超えるような配線は的確に区別して配線材を吟味したほうが良いと思います。

特に500V以上の高電圧配線には耐圧が2kVや5kVといった高圧専用の配線材を使ったほうがよいと思います。

最高使用温度も「85℃」などとしっかり規定されていること,できれば105℃以上であることが目安かと思います。

航空機や人工衛星に使われている,テフロンやシリコン,ポリイミドといった樹脂は耐熱性に優れているため安心です。 半田ごての熱でも溶けにくく作業性がよいです。

通常のはPVC(塩ビ)を使用していますが,耐熱性が低く,燃やすと有害なガスが出ることからエコ素材(ハロゲンフリー)の線材が使われるようになりました。 ポリオフィレンやポリエチレンが使われていますが音が良いというハナシもあります。

ビンテージ線材を電源の配線に使うのは危険です。

布被覆線材は湿気により絶縁不良を起こすことがあります。 ビンテージ線材は絶縁が悪くなっている場合がありますし,昔の樹脂は難燃性ではなくよく燃えるものがあります。

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電源配線の色分け

AC電源に直接つながるトランスの1次側は配線色に決まりがあります。

配線名
黒(茶) AC電源活線:Live
白(青) AC電源中性線:Neutral
緑/黄色 アース

欧州で採用されているIEC規格(カッコ内)では配線色が異なるようですが,まあそこまでは考えません。


電源ケーブル

電源ケーブルの自作が流行っていますが,事故がおきても自己責任です。

AC電源専用の電線とプラグを組み合わせて正しく工作して使えば危険は少ないと思います。 しかし適当な電線を持ってきて工作すると火災などの事故の可能性があります。

電源ケーブルは,モノに挟まれたり,過熱したり,火災で焼けたりなどという様々なストレスに対して安全性を考慮して作られています。

アメリカ,ヨーロッパ,日本,中国,オーストラリア等の各国にもそれぞれの安全規格があります。 電源ケーブルは火災の原因になることが多く,厳しい安全基準の下に製造されています。

意外なことに海外規格に準拠しているからといって,その電源ケーブルをそのまま国内で使用することはできません。

日本国内であれば「PSE」と明記された既成品の電源ケーブルを使わなければなりません。

電源ケーブルとして作られたものだからといってビンテージものの古い電源ケーブルを使うのもよくないです。

今現在なにも不都合がないからと言って古いモノに安住していると老舗の蕎麦屋が燃えてしまったりするわけです。

古い家屋に使われている木材を楽器に使えばよい具合かもしれませんが,電線の被覆は人工物ですから確実に劣化が進行しています。 劣化した音が良いのかもしれませんが,燃えてしまえばタダの灰になります。

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