真空管ギターアンプの回路設計
パワーアンプの話(真空管ギターアンプを自作したい人に知ってほしい)
2007年頃初稿
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参考文献「自作に役立つ書籍」はこちら・・・
1:動作方式による違い |
2:バイアス方式による違い |
3:バイアスとは? |
4:パワー管の動作 |
ギターアンプ用のパワーアンプについて動作方式や用語,各部品の働きについて日々の考えをまとめてみました。
一般的にパワーアンプ(電力増幅器)とは単純に電圧を増幅するだけではなく,スピーカなどの負荷を大電力で軽々と駆動することができるアンプを言います。 エフェクターやプリアンプに直接スピーカーをつないでも音が出ない,パワーアンプが必要だよ。という話です。(最近はコンパクトなパワーアンプもありますが)
真空管ギターアンプのパワーアンプを実際に設計・製作する時,様々な迷いが発生すると思います。 そのようなときに手引きになればと思い,浅はかな知識ですが,まとめてみました。
後半はパワーアンプに限らずアンプ全体の部品配置や部品選定などより実物に近い話になっています。 こうやってまとめてみると案外考慮すべき点が多くてややこしいですね。。
より専門的な話や動作理論の話を説明するのは苦手ですので先達に譲ります。 真空管アンプの設計に関しては良いサイトが沢山ありますのでそちらを参照してください。
最初に一言漏らしておきますが,パワーアンプを設計・製作する場合,電源の設計も含めて欲しいアンプの回路をコピーするのが一番無難です。 理由はいくつかありますが,規模が大きいので失敗したときのリスクが高くなることがまず挙げられます。 500V近い高電圧,5Aにもなる大電流を扱いますので,個々の部品を含めてアンプ全体の消費する電力が大きくなります。 高電圧に対する配慮や消費電力などを誤って設計すると思わぬ大事故が発生することもあります。
例えばトランスが発煙する,真空管が赤熱する,コンデンサがパンクする,抵抗が燃えるなど様々な事故が考えられます。 これらの事故を未然に防ぎ,万が一の場合,自分だけではなく近所にも被害が及ばないように部品を選定し,対策を講じなければなりません。 電力計算を行ない,部位品配置を吟味するなど,設計にも製作にも細心の注意を払い,調整の際にも各所にヒューズ入れるなどの万全の対策で望むことが大切です。
感電やショートのようなうっかりミスでも高電圧かつ,低インピーダンスな回路が多いので大きなショックや派手なスパークに見舞われます。 感電やショートが恐ろしいのは,電撃自体はもちろんですが,ビックリして手をぶつけたり,アンプをひっくり返して足に落したりなどして怪我をすることも含めてです。
また,設計自体の難易度も高く,設計を誤ると,例えば電源トランス自体を丸々交換しなければならなくなったりします。 そのような自体に陥るとシャーシを再加工する必要が発生したり,途中まで製作したモノが無駄になったりします。 部品代もトランスが数千円〜数万円,真空管もコンデンサも大型のものほど高価になります。 このようにリスクもコストも大きいので,実績のあるアンプの回路図,部品を流用するのが一番安全で確実な近道だとお勧めするわけです。
プリアンプやエフェクターならば日曜大工程度の心積もりで十分楽しめると思います。 しかし,パワーアンプの製作はそれなりに手間と出費が必要になる立派なモノ作りです。 シャーシ加工は板金加工ですので苦行でしかないという人もいます。 半田付けも大型の部品が多いので難しく,半田付け箇所も多いので大変です。 部品点数も多く組み立てにも手間がかかります。 音作りも一筋縄ではありません。 失敗も多く満足するものはなかなかできません。
こんなことを書いたら作りたい意欲が損なわれてしまいますね。。。ただし,,,その代わり達成感も十分味わえます。 一般人の感覚なんてものは忘れてしまいましたので,うまく説明できませんが,修行みたいなものです。 何が楽しいのかわからなくなることもよくあります。でかい音でギャン!ギュイーン!!と鳴らす快感ですかね。
ギターアンプの設計について勉強するのに参考になるサイトはなかなか少ないので,浅知恵ですが書き溜めてみました。参考になれば幸いです。 正しい知識が広まりアンプを正しく評価できる人が増えれば,よいアンプが世の中に普及して,ギターアンプの地位向上につながるのではと。。。
最近サボりすぎて大分内容が陳腐化してしまいました。 最新の情報はネットから得てください。 海外のフォーラムを覗いてみることをお勧めします。
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