真空管ギターアンプの回路設計


パワーアンプの話,まとめと要点

設計・製作についてまとめます。

安全対策をしっかり講じて実績のある回路を組んでみる

怪我をしないように注意しましょう。

シャーシをしっかり固定して作業するなど,製作時にも注意が必要です。 部品や配線を間違えると部品が燃えたり派手な火花が散ったりすることがあります。

ヒューズを各所に入れるなど安全対策を慎重に施してください。

オリジナル設計の回路や部品もよいのですが,様々な危険を想定できるまで経験を積む必要があります。 実績のある作り方を踏襲するのが安心です。

部品配置,配線の引き回しで勝負が決まる

部品配置と配線の引き回しの違いでノイズの出方,音質が変化します。

つながってりゃいいや,という配線ではダメです。全ての部品配置と配線に意味があります。 よい方向・悪い方向,よい位置・悪い位置を見極めて最適化を行なっていく必要があります。

実態配線図を描きながらじっくり考えてみるのがよいと思います。

抵抗の消費電力,コンデンサーの耐圧をしっかり計算する

油断すると思わぬところから煙が上がったり,部品が破裂したりします。

定格計算をしっかりおこない,十分なディレーティング(安全率)を持たせることが重要です。 電力定格の安全率は2倍〜4倍以上,電圧定格の安全率は1.2倍〜2倍以上とります。

温度が高くなる部品はさらに大きな安全率が必要です。 厳密にはそれぞれの部品の仕様書に記載されている安全率に従わなければなりません。

また,配線材にも耐圧がありますので高圧配線には適した配線材を使用する必要があります。 大電流ラインには太い線材を使うことも必要です。

音が出てからが勝負!!

真空管アンプは回路が単純なので簡単に音が出ます。 最初は自分の作ったアンプですからよい音に聞こえるのは当たり前です。

ここからが勝負です!!理想の音を追い求めましょう。

わたしの基本方針は定数変更です。次は引き回しや部品配置の変更,続いて部品変更(メーカー違い)と行っていきます。

大前提として正常に動作していることが必要です。発振していていたりノイズが出るなど不安定な挙動を示すようでは駄目です。

最後の音決めでは部品の個性を把握して適材適所に配置してやります。

使用する部品の組み合わせは無限ですので方針をはっきり持たないと発散してしまいます。 そういう時は1週間とか1ヶ月とか放置しておきます。


総括

ここまで書いてみてやっぱりギターアンプはパワーアンプ部が重要だと思いました。

色々考える要素が多くて全てをよい方向へ持っていこうとしていますが,なかなか全ての条件がよくなりません。

奥が深いのです。でも音を出すだけなら割りとすぐたどり着けます。

パワーアンプは回路図を見ただけではどのような音がするのか想像がつきません。 同じ回路図でも部品が異なればまったく異質の音質になりますし,部品が同じでも構造や部品配置が異なればやはり音が異なります。 そういった意味ではプリアンプよりも難しいと痛感しています。

10年弱前にライブハウスで見かけたのですが,自作真空管パワーアンプをRolandのGP-100というデジタル・プリアンプで鳴らしていました。 それが製作者の答えだったのでしょう。

わたしの答えは模索中です。いろんな意見を持った人がいます。 出音を思い通り操れるようになればいいのでしょうか??


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