真空管ギターアンプの部品選定


ヒューズの選定

「電源トランス」の項で簡単に触れましたが改めて整理しておこうと思います。 ヒューズの選定に関しては私はまだ勉強中で経験も浅いです。参考までに。。

詳しくは「真空管アンプの安全設計」を参照してください(現在準備中)。


種類と定格

ヒューズは溶断特性によって区別されます。 安全規格に拠るところが大きく,厳密な定義は知らないので,ざっくり,ざっくり今知っていることを説明してみます。

大きく分けて,標準(速断:Fast Act),遅延(タイムラグ,タイムディレイ,スロウ・ブロウ)の2タイプがあります。 溶断にいたる電流と電流の継続時間の関係が異なります。

#誤記訂正:「標準」=「速断」だそうです。「標準(速断)」に対して「超速断」が存在するようですが一般的でないので省きました。

例えば2種類それぞれ10Aの定格のヒューズがあったとします。 無限大時間の耐量はいずれも10Aになります(追記:実際は何割か余裕があるようです)。 しかし例えば10msecの時間だけ発生するパルス電流に対する耐量は,この数字も例えですが,標準では100A,遅延は1000A,というように変わってきます。

また,電源投入時のラッシュ・カレントに耐えられる回数もヒューズの品種によって異なるようです。

10Aの定格のヒューズならば,10AのDC電流をON/OFFした場合,無限回数のON/OFFに耐えられます。 これはどのタイプのヒューズにも言えることです。 ラッシュ・カレントを仮に10msecのパルス電流と過程すると,あるヒューズでは,100Aのラッシュ・カレントを加えると1回目で切れますが,ラッシュ・カレントが50Aならば10回目で溶断,ラッシュ・カレントが20Aならば100回で溶断というような特性になるようです(数字はあくまでもたとえ話です)。

ラッシュカレントが加わるとエレメントが加熱し膨張します。電源を切ると冷却されて収縮します。 その繰り返しでエレメントに金属疲労が発生し,その結果いつか溶断に至るというのが原理だそうです。


実施例

速断(標準)ヒューズはパワー管の保護用に,遅延ヒューズはラッシュ・カレントの流れる電源周りに使用します。

パワー管の保護には500mA〜1Aの速断(標準)ヒューズ,ヒーター巻き線の保護には10A程度の速断(標準)ヒューズ,トランス2次側の高電圧タップの保護には1A程度のSLOW-BLOWを使うようです。

電源トランスの1次側に入れるヒューズは容量が指定されている場合もあります。 もし,指定がなければトランスの全容量の2〜3倍の容量を持つヒューズを使います。

作ったばかりで素性のわからないアンプには小さめのヒューズをつけておき,頻繁に切れるようならば少しずつ容量を増やせばよいと思います(私はそうしています)。 無駄に大きいヒューズを使うとアンプが燃えて大変なことになるのでそれだけは避けるようにします。

ざっくりした例ですが,50Wのアンプだと2A〜3Aの遅延ヒューズでOKです。


設計・検証

ヒューズに必要な機能は,下記の2点に集約されます。
@日常的な使用で切れないこと
A異常時に切れること

まずは,通常使用時にヒューズの定格電流以下であること。

続いて,電源投入時のラッシュカレントで切れないこと。 これは繰り返しの試験が必要です。

そして最後に,異常時に確実に切れること。

つまり,設計時に必要なのは通常・異常の区別と想定です。 どういった動作が通常動作で,どのような状態が異常なのかということです。 次の項目で少し考えてみようと思います。


安全性について

詳しくは「真空管アンプの安全設計」を参照してください(現在準備中)。

真空管アンプのヒューズ容量を決める上での安全性の確認方法を考えてみました。

起き得る様々な異常を想定して,「トランスが燃えない」ことが最も重要になります。 トランスが燃えると1次側と2次側の絶縁が破れ感電の危険があります。 もちろん火災につながることも考えられますので絶対に燃えてはいけません。

トランスが燃えないことを確認するためには,通電中のトランスの2次側巻き線をショートする試験を行うそうです。 実際に自分でやってみたことはないです。。

B電源,ヒータ電源,C電源などのタップがあると思いますが,それぞれ順次ショートしてヒューズが切れることが確認していきます。 2次側をショートしてもヒューズが切れない場合は,温度上昇を計測するようです。ま,燃えなければよいわけです。

もう一歩踏み込むならば,2次側をショートしたときにヒューズに流れる電流を測定しておくとヒューズ容量の選定に使えます。 ヒューズは定格電流の2倍以上の電流で確実に切れるように作られています。 トランスの2次側をショートしたときに流れる電流を測定して,その半分以下の容量のヒューズを使えばよいというわけです。

実際の製品ではトランスだけでなく様々な部品が故障した場合を想定して実際にショートさせたりオープンにしたりする試験を行います。 いわゆる「短絡開放試験」です。秋葉原で購入したスイッチング電源の仕様書には試験結果が記載されていました。

真空管アンプでは,プレートやSGとカソードがショートした場合,バイアスが失われた場合等が想定できると思います。 他にもアウトプット・トランスの加熱によるレアショート(Layer Short:層間短絡)も考えられます。 そんな悪夢のような状況では,大きな電流が流れるのが想像できると思います。


メーカーと供給

よく使われる大きさは「5mm x 20mm」と「6.3mm x 32mm」の2種類のサイズがあります。

海外を含めると「LITTELFUSE」「BUSSMAN」が有名です。 国内メーカーはいくつかあるようですがよく知りません。

楽器用として楽器店で販売されているものは高いので,真空管アンプ用として販売しているものがよいと思います。1本100円〜200円が目安です。

一般的に使われる「6.3mm x 32mm」のSLO-BLOタイプの名称は,,,
「LITTELFUSE」では313シリーズ,
「BUSSMAN」ではMDLシリーズ,MDQシリーズです。


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