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2-2:初めて作る直熱管アンプの駆動段設計

211(VT4C)シングル・ステレオ・アンプの自作


駆動段は相当悩む

送信管の駆動方法と言えばA2級

高周波用の送信管は大出力を絞り出すためにグリッド電流を流すA2級の動作が基本になります。

グリッド電流の流れ方はダイオード的な一方通行の流れなのでグリッドがプラス領域に入ると急激に電流が増えます。 この急激に増加する電流に対してリニアリティを維持してドライブすることが駆動段の役割です。

トランス・ドライブの結合方法

直熱管と言えばトランス・ドライブです。これは選択肢から外せません。

211 single end driver circuits
トランスドライブ基本回路

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クラーフ結合

2次側,つまり出力管のグリッド側は必ず直結します。Cを挟んでしまってはトランスドライブの価値が失われます。 2次側にダンピングのRもしくはC+Rを挿入するかしないかは高域の特性次第で調整するものと思っています。

1次側の結合方法と言えば「クラーフ結合」という方法があります。これはプレート側にコンデンサを入れ,直流を切ってトランスを接続します。 LC共振によって低域にピークが発生するので注意が必要なのでCを大容量にするべきと思っています。

クラーフ結合以外は1次側に直流を流すのが一般的です。

ところがトランスは直流に弱いのです。 ドライバトランスに多くの直流を流せば容易に飽和して歪みが増加するとともに1次インダクタンスが失われ低域が消えます。 許容できる直流はトランスに明記してあるので,これを守らなければなりません。

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プッシュプルドライブ

変態的な方法としてはこの図のようにプッシュプルで駆動する方法があります。 そうすれば直流を最小限にできるのでトランスの負担が減ります。

ドライバー・トランスの流通状況

値段が高いという致命的な欠点があるので,勉強不足でまとめ切れません。

管球用のドライバ・トランスはトランスの中でも専門性が高い分野です。 タムラ,タンゴ,ハシモトが代表的だと思うのですが,それ以外にも選択肢があると思います。

カソフォロ(カソードフォロアー)・ドライブ

回路派と部品派という派閥があるかどうかは知りませんが,トランス・ドライブは仕上がりの特性も音もトランスに大きく左右されますので部品派代表でしょう。 シンプルな回路でアレコレ違いを楽しみたい人は部品派が良いでしょう。 一方,凝った回路が好きな人,複雑な回路を意にも介さない器用な人はカソフォロドライブを考えるでしょう。

カソフォロの特徴

211 single end driver circuits 真空管にはグリッド,カソード,プレートの3つの電極があります。 通常はプレートから出力を取り出しますが,カソフォロはカソードから出力を取り出します。 増幅度は1以下ですが,出力インピーダンスが低くなり次段のグリッドと直結することで直流を流せるようになります。

カソフォロに使う球はカソード電圧が大きくスイングするので直熱管ではヒータ回路の処理が課題になりますので通常は傍熱管を使います。

カソフォロ・ドライブには負電圧電源が必要

カソフォロ・ドライブ回路にはマイナス200V程度の負電圧電源が必要です。作るのにひと手間かかります。 負電圧に対してバイアス抵抗で引っ張りますが,できるだけ高抵抗にすることが重要で,定電流で引っ張るのが最良です。 また出力管のアイドリング電流を調整するためにカソフォロ段のグリッド電圧を調整する回路を組まなければならずこれもまたひと手間かかります。

カソード耐圧

ヒーター・カソード間耐圧が±100V程度しかない球もありますのでカソフォロに使えるか確認が必要です。 耐圧を超えて使用した場合,絶縁破壊が発生してしまうと漏れ電流によるノイズ発生が懸念されます。 耐圧が不足するならばヒーター・バイアスを与えます。 通常はカソードよりもヒーターをプラスにバイアスしておく方が無難です。

カソフォロ+チョークでカソード・チョーク

カソフォロのカソードにチョーク・コイルを挿入するカソード・チョークと言う方法もあるようです。 負電圧電源が不要になるので回路をシンプルにしてくれるスマートな解決方法です。 チョークコイルに直流を流すので飽和しにくくインダクタンスの高い専用のチョーク・コイルを使う必要があると考えています。

グリッド・チョーク

211 single end driver circuits 出力管のグリッドに抵抗ではなく,チョーク・コイルを挿入する手法です。 グリッドの直流はコイルのDCRで制限されますが,通常はDCRは100Ω〜1kΩ程度です。 音声帯域ではコイルのインピーダンスが充分に上昇してドライバ段のプレート負荷となります。

通常の抵抗バイアス回路は100kΩ程度を使いますので,比較してチョークコイルのDCRが低い分グリッド電流を多く流すことができます。

専用のチョーク・コイル

最近は専用のチョーク・コイルが市販されています。インダクタンスが100H以上ある小型のチョーク・コイルです。勉強不足で紹介しきれません。 部品に大きく左右されるので部品派の一派と考えるべきでしょう。

半導体によるドライブ回路

もし,±100Vという高出力電圧の壁を突破できるなら半導体アンプで駆動してもよいです。 ただし,それは真空管アンプなのか?という倫理的議論がついて回ります。

ではA1級で我慢すると・・・?

グリッド電流を流すA2級をあきらめ,A1級で我慢するとどうなるでしょうか。 まず,出力が減少します。そして,,,それだけか?

回路は非常に簡単になります。作りやすい。調整も楽。壊れにくく信頼性も高い。と良いことばかりです。

高価なドライバ・トランスが不要でその分,コストセーブできます。

部品点数が減れば音質向上も期待できます。 どんなに高級なドライバ・トランスでも所詮はトランスです。

出力は10Wあれば充分なのでA1級で我慢して,色々とラクに進めようという魂胆です。部品派でも回路派でもなく,日和見派か妥協派とでもいいますか。

211に必要な駆動電圧

-60Vでバイアスされている211のグリッドを低歪みで十分に駆動するためには2倍p-pの駆動電圧が欲しいです。 これはギターアンプを作ってきた経験上の数字です。出力管をしっかりとドライブするには2倍の電圧が欲しいです。 つまり,-60V0-pは120Vp-pなのでこの2倍である240Vp-pの駆動電圧が目標となります。

回路設計としては駆動段のプレート抵抗の電圧降下分を120Vに設定することで対応します。

CR結合のA1級とグリッド電流によるブロッキング現象

通常はマイナス電圧でバイアスされているグリッドには負電荷をもった電子は流れ込みません。 ところがグリッドがゼロボルトに近づくとカソードから熱電子が飛び込んできます。 これがグリッド電流です。

グリッド電流が流れる領域まで電圧を振り込むとグリッド・バイアス抵抗に電流が流れるのでバイアスが深くなってゆきます。

グリッド電流はダイオード的な一方通行の電流なのでCR結合の場合はカップリング・コンデンサにDCがチャージされて逃げ場がなくなります。 チャージされた電荷はグリッドバイアス抵抗を通じて放電されますが,通常可聴域以下のゆっくりとした時定数が設定されています。 一度チャージされた電荷抜けるまでバイアスが深い状態が続きますので,カットオフに近づくことにより歪みの増加とGmの低下を引き起こします。 これがブロッキング現象です。

こうして連続正弦波では歪みの増加により最大出力が制限されてしまいますが,一方バースト・サイン波ではこの限りではありません。 一瞬ならば連続出力よりも大きな出力電力を取り出せます。

CR結合によるA1級でも悩みは続く

連続的な大出力をあきらめてA1級で我慢するとしても悩みはまだまだ続きます。

SRPP駆動

211 single end driver circuits
高ゲイン・低インピーダンス出力を実現する二階建て真空管の肩車駆動です。 DC安定性に難があり,CR結合とする必要があります。 そして二階建て上側の球はカソード電圧が高いのでヒーターバイアスの実施が必要不可欠です。

SRPP1段でドライブ電圧が稼げる場合はかなりシンプルにできます。

今回はカソードをスイングさせる回路を減らしたいという思惑もあり採用は見送りました。

強力なドライブ段を求めて

では最終段を強力にドライブするにはどの様な方法があるでしょうか。 「強力」なドライバーとはスイング電圧に余裕があり,歪みが少なく低インピーダンスといったところかと思います。

そんな強力なドライバーを実現するためにドライバ段の出力から初段へ負帰還をかけます。 出力インピーダンスの低下と歪み率の低下を同時に狙います。

今回は出力トランス2次側からのオーバーオールの負帰還には頼らないことにします。

211 single end driver circuits
図1:基本回路
(電解コンが多い)
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図2:応用回路
(電解コンを減らす)

図1はフツーに設計するとこんな感じという回路です。1980年代の風を感じます。 負帰還の取り出しポイントはドライバのプレート出力,帰還ポイントは初段カソードです。

図2は自前のこだわりにより気にくわない部分を改善した回路です。

カソードのパスコンなどは特に何も考えず入れてしまうものですが,カソードのパスコンは音質的に影響が大きいため,できるだけ省きたいものです。 低域の極が追加されてしまうことも気になります。 スタガー比を十分に確保するためには大容量としなければならないため電解コンデンサを使うことになり悩みの種となります。

帰還回路の電解コンデンサも大容量高耐圧が必要なので邪魔です。帰還回路のコンデンサは音質的影響が大きいことも気になるポイントです。 できるだけ負荷に近いポイントから負帰還をかけたいので負帰還の取り出しポイントはファイナルのグリッドとしました。 ファイナルのグリッドはドライバのプレートと交流的には同電位です。 こうすることによってコンデンサを省いて初段のカソードへ直結することができます。

初段,2段目のカソードにコンデンサを入れればオープンループゲインを上げる効果がありますが,負帰還を実施後の仕上がりゲインが定まっているならば結果に大差はないので オープンループゲインの低下に目をつぶり電解コンデンサを撲滅する道を選びました。

ドライバー管の選定

多極管の三極管結合

ギターアンプで使われるような6L6系などの多極管は選択肢も多く,値段も品質も安定しています。 そして,スクリーン・グリッドをプレートに接続する三極管結合にすると案外良い特性が得られると言われています。 2A3にそっくりとかPX25によく似ているとか言われると魅力があります。

EL-34,KT-66,6L6族はギターアンプでも使われるので入手が楽です。 少し小型でもよければ6V6GT,EL-84が挙がってきます。

ECC99で200Vp-pスイング

次に比較的大型の双三極管を考えていきますと,まずは12BH7が古くからドライバとして使われています。 しかし,12BH7は直線性が悪く歪みが多いと言われています。我慢するのかもしくは逆転一発的に歪みの打ち消しを期待することになります。 しかし,歪みの打ち消しと言われると圧縮伸張処理を連想させるので期待しません。211素の特性を期待することにします。

GT管では6BX7GTや6BL7GTなどの双三極管も視野に入ります。

MT管では6FQ7,5687,7119も候補に挙がってきます。

12AU7 5814 ECC99

同じくMT管のJJのECC99を外すわけにはいきません。 というかこれで決まりです。負荷は5kΩとして2ユニット並列で20mA程度流そうという魂胆です。 これで211の-60Vのバイアス電圧に対して200Vp-pの電圧スイングが期待できます。

ECC99は1999年頃に登場した新しい球です。見た目は7119に似ています。ピン配が使い慣れた12AX7や12AU7と同じなので仲良くなれそうです。 同じピン配でも大型なので数値上は12BH7に近いのですが,直線性が良く,内部抵抗も低く,電流が流せるので小型のパワーアンプに出力段として使用する例もあります。

グリッド周辺

グリッド・バイアス抵抗は220kΩとしておきます。 信号レベルが大きいので熱雑音の影響は少ないと思います。 結合容量は0.47uF以上がうれしいのですが,部品の大きさと手持ち部品の都合で0.22uFで我慢します。

マイクロフォニック・ノイズの発生と寄生発振対策

実際に動かし始めたところECC99のマイクロフォニック・ノイズが異常に大きいので困ってしまいました。 特に電源投入直後がひどいです。オシロで見ていると不安定なノイズが発生したり,時には数MHzで発振が発生しています。 割りばしでつつくと「ボン」とか「ビリビリ」といった不快なノイズを発生します。

グリッド・プレート間に22pFを入れてみましたが発振が安定化するだけで改善しませんでした。

数日間途方に暮れて,新しい球を購入しようかと考えました。 売れ残りや返品をつかまされたか・・・それなりに信用のある店で手に入れたのですが・・・ ECC99は作例は多いですが入手が容易というわけではありません。選別品を海外から取り寄せたほうがよかったか・・・

数日後ふと神の啓示が・・・「パラったからパラってる」・・・

・・・「パラレル(並列接続)によるパラスチ(寄生発振)ではないか」・・・

今回は双三極管の各ユニットのカソード,グリッド,プレートをそれぞれ最短距離で結線して2ユニットを並列接続しています。 それが一番確実と思ったからです。双三極管をパラで使うことはよくあるし,疑問を挟む余地はありませんでした。

「寄生発振(Parasitic Oscillation)」はプッシュプル・パワーアンプでよく取りざたされる現象です。 高Gmな高性能管で発生しやすく,グリッドのソケットに1kΩ〜10kΩを入れることが寄生発振対策の常套手段です。 「パラ止めのためにグリッドに抵抗を入れる」とくればそれは「寄生発振」の防止です。 まあ,酔っパラいが飲むウコン飲料みたいなものです。

もうひとつ有名な例がFETパワーアンプです。 多数のFETを並列接続したときに寄生発振が発生すると聞いたことがあります。 パラレル出力段のFETアンプを作ったことが無いので経験がありませんでしたが,よくある現象のようです。

「寄生発振 並列」のキーワードでググると東芝とルネサスのAN(アプリケーションノート)がかかります。 FETを並列接続するとグリッドの配線インダクタンスと電極間容量およびGmの大きさによって寄生発振が発生するとのことです。 それはまさにコルピッツ発振回路の原理そのものだそうです。

なんと,並列接続は発振原理を隠し持っていると!!!

FETと真空管は血のつながらない親戚のようなものなので,同じ現象が起きていると考えてよいでしょう。

高Gm管の寄生発振対策

Parasitic Oscillation Grid Stopper

対策としてグリッドに100Ωを入れてみます。左の図のようにR1/R2の2本入れたいところですが,スペースがありません。 原理的に考えて1本でも充分抑制効果がありますので右図のR3のように挿入しました。100Ωならば音声帯域には影響しないと考えています。

結果,,,見事にマイクロフォニック・ノイズが消えました。 おそらくとても高い周波数の寄生発振が発生し,100MHzのポンコツ・オシロではとらえきれなかったようです。 振動によって電極が微小に動き,容量が変化することによって発振周波数にFM変調が発生し,検波されてマイクロフォニック・ノイズとして現れていたようです。

ECC99のGmはカタログ上では9.5mA/Vです。これが高Gmといえるのか知見がありません。 「高Gm管」とググるって出てくる6DJ8(E88CC)はJJのデータシートで12.5mA/Vです。 したがってECC99の9.5mA/Vという数値はGmが高いと言えるのかもしれません。 参考までにJJのECC82のGmは2.2mA/Vです。

JJ DataSheetGm[mA/V]
ECC999.5
ECC88(6DJ8)12.5
ECC82(12AU7)2.2

まとめますと,高Gm管であるECC99を並列接続して使用する場合,「パラ止め」としてグリッドに抵抗を挿入しないと, 寄生発振(parasitic oscillation)が発生します。グリッド抵抗は100Ωで効果がありました。

転ばぬ先の杖と言わんばかりに闇雲に1kΩをグリッドに挿入する人もいるようです。 これだけ苦労するとそんな気持ちもわかります。でも不要なモノを入れておくのは気持ち悪いです。 帯域をロスする上に熱雑音も加わります。

カソード周辺

カソード・バイパス・コンデンサは音質的影響が大きいのでできるだけ使いたくないと考えています。 ゲインが減少してしまうのが問題ではありますが,2段増幅で必要なゲインを稼いでいます。 カソード抵抗を小さくしてグリッドに負電圧を与えるという手もありますが,負電圧電源を用意する手間を考えるとあまり得策ではないと考えています。

直熱管アンプを初めて設計しながら感じたことは電子を放出するカソードは真空管のエネルギー源であり,グランドに縛り付けておくべきだということです。 カソフォロやSRPPのように音声信号でスイングさせてはいけないのではないか・・・

傍熱管であってもヒーターとカソードは微小な容量で結合していますので,クロストークや意図しない帰還経路,ヒータからのノイズ混入があるのではないかと・・・妄想したわけです。

直熱管の場合はもっと深刻です。 電源トランスの異なるタップを使って点火すれば問題ないように思いますが,トランスは浮遊容量の塊ですのでヒーター回路経由の結合が発生してしまいます。

グリッドに負電圧を与えてカソードを接地する古典的回路にもそれなりに意味があると感じました。

真空管アンプはカソードの音を聞いているようなものだと思いませんか。

プレート周辺と電源

負荷抵抗を5kΩとして20mA流すことを目標にカソード抵抗を設定しました。 これで200Vp-pの駆動電圧を得ることができます。 ところが,プレート抵抗の消費電力が2Wにもなってしまいます。 そこで,3Wの巻き線抵抗を2本パラレルにして対応しました。

電源は300V〜350Vを目標にします。 ECC99のプレート電圧の最大値は400Vまでのようですが,イマイチはっきりしません。 電圧が高いと発熱も大きくなりますので,低めにしておきます。

電源のドロッパ抵抗も消費電力が多く,このアンプでの一番の悩みどころになっています。 3.3kΩ10Wのメタルクラッド抵抗をアルミ板で放熱させて使っています。 この10Wのメタルクラッド,WEBでポチったのですが小さい!とてもかわいらしいメタルクラッド抵抗です。 本来はM2のネジを使うようです。 M2は小学生のころミニ四駆で使っていましたが,今どきは持っていないので,M2.6が入るように穴を拡大して固定しました。

駆動段の電源はクロストーク対策のために左右チャンネルで別電源としています。

電圧増幅段

使用部品

ソケットはベルトンの袴付き。通販サイトにはマイカと記載がありますが,メーカーサイトにはPPSと記載されています。

抵抗はREYの1/4W。1/2W,1Wを使っています。REYの1Wはごつくて好きです。 ECC99のプレート負荷抵抗は巻き線抵抗10kΩ3W(TE:CGS)を使っています。

コンデンサーは20年前に三栄無線で入手したQPコン0.22uFを使いました。錫箔無誘導です。でも鉄リードなのが惜しいところです。

増幅回路は極めてシンプルで部品点数も少ないので部品にはこだわりたいところです。


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