/ HOME  / DIY  / 60's ODS

試行錯誤

最終更新日2009-06-29


回路変更

  バイアス電圧供給回路の変更を行いました。

  ことの発端はハム退治でした。パワー管のバイアス調整中に気付いていたのですが,出力段の電流バランスが悪いとハムが出ます。 原因は+B電源のハムだと思いコンデンサーを追加しました。もちろん電流バランスが取れていればハムは出ません。 しばらくはそれで我慢していたのですが,プリアンプに使用している12AX7のプレート電圧を見るとハムが乗っています。 リップルフィルターは最低限にするというのが設計方針なので,まあこんなものかと半ばあきらめていました。 差動回路ではコモンモードのノイズは全てキャンセルされるので出音にはハムがまったく無かったからです。 「ハムが出ない」のに「ハムに悩む」とはなかなか哲学的です(笑)

  ハムの原因はバイアス用の負電圧を生成する回路にありました。 この回路は出力段のバイアス電圧を生成するだけでなく,プリ段の差動増幅回路の共通カソード抵抗の接続先にもなっています。 ココがリップルでゆすられていました。

  ここの回路はといいますと,整流はコンデンサーインプットで容量は100uFです。 その後,ドロップ用のシリーズ抵抗が入り,GNDに向けてシャントする形でツェナーダイオードを入れ定電圧化しています。 トランスタップ電圧は50V,整流器出口の電圧は-70V弱,定電圧出力は-60V,シリーズ抵抗は330Ω,ツェナーダイオードは20Vのものを3本使っていました。 ツェナーにはバイパスコンデンサー2.2uFが接続されていました。

  問題点@:整流後のリップルが2Vp-pくらいみられる
  問題点A:ツェナーによる定電圧回路の出力にリップルが200mVp-pほど見られる
  問題点B:ツェナーが熱い!!

  -60Vで動く回路の全ての電流を合計すると11mAほどになります。当初はもう少し多い電流を考えていたこともあり,ドロップ抵抗を330Ωにしていました。 330Ωでは7V〜10Vのドロップするので,電流にすると21〜30mAほどになります。 10〜19mAツェナーに流れることになります。ツェナー電圧が20Vだと200〜380mW消費することになります。 これはさすがにちと熱いです。

  2Vp-pのリップルが200mVp-pになっていることを考えると1/10に圧縮されていることになります。 リップル電圧が330Ωとツェナーの動作抵抗で分圧されていると考えると,ツェナーの動作抵抗は33Ωということになります。
  当初,ツェナーとパラにつけているバイパスコンデンサーを増量してリップルを取り除こうとしましたが,33Ωに対して1/10程度のインピーダンスを狙って3.3Ωと仮定して計算すると, リップル周波数を100Hzとして単純計算した場合,470uFと大きな値になってしまいます。また,電圧の立ち上がりが遅くなるという問題もあります。
  整流器出口の100uFを増量するとリップルが減りますのが,スペース的に厳しいのと,100V耐圧の電解コンデンサーの手持ちが無かったことからあきらめました。 当初からわかっていれば,470uF程度の値にして対策としたかもしれませんが,方針として大容量の電解コンデンサーは使わないと決めていたので,見送りました。

  330Ωを680Ωにするとツェナーに流すブリーダー電流が減ってちょうど良い設計になりそうだったのですが,手持ちがないのと,効果が薄いのでこれも断念しました。

  最終的に,定電流ダイオードを使ってツェナーを駆動してリップルの少ない定電圧源をつくり,PNPトランジスタ1石のバッファでリップルフィルタとしました。
  電圧降下はVBEの0.6V程度なので動作にはほとんど支障ありませんし,リップルはほぼゼロと言える値にまで減少します。
  問題点は,トランジスタの故障時にバイアスが失われるキケンがあること位です。330Ωを定電流ダイオードに置き換えれば,部品点数の増加もトランジスタ一つだけになります。

  負電圧の立ち上がりが遅いと出力管のバイアスが浅くなる危険があります。 少なくとも+Bよりも早く立ち上がる必要があります。 真空管は温まるまでは電流が流れませんので,上記の場合は,真空管が温まった状態で電圧が立ち上がるという最悪ケースですが,考えられないわけではありません。
 定電流ダイオードは2.7mAtypのものを使用しました。一方ツェナーにはノイズ吸収の気持ちを込めて22uFを抱かせています。 PNPトランジスタのベースに流れる電流を無視すると,22uFに60V印加するので1.32mCの電荷が必要で,2.7mAでまかなうと約500msecかかります。ちょっと遅いかな〜やばいかな〜まあいいか。。。 やばそうだったら22uFを外しましょう。

  てな感じで,リップル対策は終了です。出音は確認していません。


 / HOME  / DIY  / 60's ODS

inserted by FC2 system