おまけ:ドイツ製ビンテージ・スピーカーの能率
Sound pressure level of the German vintage speaker : (Schalldruckpegel des deutschen Vintage-Lautsprechers) vs American speakers !
How about efficiency ? of your own...
ドイツのフルレンジ・スピーカーがオークションで高値で取引されているのを見ると。 複雑な気分になる。ビンテージ相場なので基本的には右肩上がりだが,これにそれだけ出すか?という疑問がふつふつと湧いてくる。 たしかに欲しいユニットもあるのだが,高くて買う気になれない。まあ,買う必要もないのだが・・・ さて,能率についてのメモをLOG.txtには残しておいたのだが,htmlで公開しておいてもよいと思い直した。
ISOPHONのスピーカーとしての能率(音圧レベル)
能率は効率とか感度とか言われる。 スピーカーにある電圧を加えた時にどれだけの音圧が発生するかという指標だ。 90dB/W/m以上で高能率だろうか。定義はあいまいだけど。現代のスピーカーは90dB/W/m以下が普通だ。 能率が低いとフラットな特性を作りやすい。能率が高いと音作りが難しい。という事情がある。
ISOPHONのカタログはWEBから引っ張れる。 カタログには周波数特性が示されているが縦軸が謎だった。 絶対的な能率が不明なので他国のユニットや現代のユニットと比較ができなかった。
そこでドイツ語のカタログをひも解いていくと,測定について記載を見つけることができた。
1975年のカタログに測定は無限大バッフルで1W/1mであり,12dB=1μbarと記載があった。
いっぽう,現代の標準単位「SPL(Sound Pressure Level)」は20μpaが0dBだ。
よし。これで換算できる。
バール | isophon | パスカル | Sound Pressure Level -------------+---------+--------------+----------------------- 1.0u[bar] | 12dB | 100,000u[pa] | 74dB[SPL] 1/5000u[bar] | -62dB | 20u[pa] | 0dB[SPL]
以上よりISOPHONのグラフの縦軸に62dB足すことで換算できる。
つまり,イソフォンのカタログのグラフ上の40dBのラインはSPLで102dBであり,グラフ上限である50dBのラインはSPLで112dBとなる。
ISOPHON単位 | Sound Pressure Level ---------------+---------------------- 50dB | 112dB 40dB | 102dB 30dB | 92dB 20dB | 82dB
ISOPHONのフラッグシップ・フルレンジスピーカーであるところの「Orchester」 は40dB付近なのでSPL換算では102dB/W/m近辺となる。
スピーカー・システムとして流通している比較的新しいTS8001,TS7002,TS5006はSPLでは88dB程度の能率であることがわかった。
さて手持ちのP1318は1975年のカタログに派生モデルの音圧グラフが示されておりSPL換算で100dB程度を示している。 やはり能率は高かった。
ところがD130とパラにつなぐとイソフォンの方が圧倒的に音圧が高いと感じた。 超高能率と言われるD130より圧倒的に音が大きい。
原因はインピーダンスが4ohmと低いためで,8ohmのスピーカーと同じ電圧を加えると4Ωなので2倍の電流が流れ,4倍2倍のパワーが入り,音圧は106dB/m103dB/mとなってしまうからだ。
実際は5.6ohmでアッテネートして,D130に比べてざっくり-3dBしていることになり,これでバランスが取れている。
現状はD130ではなく,2220をコイルによるハイカットを通して使っているのでもう少し元気が良くてもいいかもしれないと思っており,カットオフを下げたらバランスが良くなった。
なんにせよGerman Vintage Speakerは結構な能率を持っていることを再認識した次第。以上。
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