Wah Pedal VOX V-847 Mod.
ワウペダルの改造にはまる話:Blogへ
各素子の働き、トーンへの影響、音作りのコツなど
最終更新日2010-07-25
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工事中な気がする
ウチのワウペダルはVOXのV-847だった。かつてはね。 いろいろ改造したけどエフェクターの改造には興味が無く・・・ 長い間オリジナルのまま使っていた。
ここにきてムラムラと改造欲が・・・ 目標は低ノイズ。痛くないハイ。効きのよい中域。ぶっとい低域。それからバッファー内蔵。
ワウペダル。しかし,,,かなり深いものがあるよ。コレは。 改造するに当たって,ベースとしたのはだいぶ長い間使ってきたGarretteAudioの基板キットです。
<やったこと>
1:出力バッファ取付
2:入力周りの定数変更
3:ゲインUP
4:トランジスタ交換
5:中心周波数のシフト
6:低域の拡大
7:Qの変更
8:POTカーブの変更
9:配線と配線材の変更
10:電解コンデンサ−の変更
1:出力バッファ取付
トランジスタ1石,抵抗2本,コンデンサー1個を追加して「Output Buffer」を追加。 ワウの後ろにFUZZをつないだとき,ゲインが下がる現象を解消。
部品を4つ追加すればいいので簡単にできます。回路図は下のほうにあります。
部品点数は少ない方が出音への影響が少なくなりますので,できるだけ簡単な回路にしました。 他にもワウ用のバッファー回路は公開されていますが「HRL wah buffer」に比べると複雑です。 これ以上単純化することは困難なので,もっともシンプルなバッファー回路と言えます。
バッファーを挟むとFUZZがFUZZらしくなります。 また,ワウの出力側に接続するシールドケーブルの静電容量の影響がなくなるので,かかと側の低域のQが立ってが太くエグくなります。
2:入力周りの変更
これはやばい。影響が多方面に出る。 元々入力インピーダンスを上げたかった。 伝統的な定数は「68kΩと1.5kΩ」だが,これを「100kΩと2.2kΩ」もしくは「220kΩと4.7kΩ」に交換する。
入力インピーダンスが上昇するとともに,低域のレスポンスが向上,中低域のQも上昇する。また,フィルターとしての切れもよくなる。そして高域はマイルドになる。
この2本の抵抗は45:1という比率を守れば全体のゲインはほとんど変わらない。 ただし,1.5kΩはWahのノイズ特性に支配的な影響を持っている。 1.5kを大きくするとノイズも大きくなるので,入力インピーダンスとはトレードオフの関係になる。 4.7kにするとさすがにノイズが大きくなりすぎて気になるので「100kΩと2.2kΩ」を採用。
入力インピーダンスが高くなると全体的に音に張りがでる気がする。 できるだけ低ノイズにしたいのでここには金皮を使用。巻き線にしたらいいかな〜なんて妄想している。
余談ですが,高域のQを落として中低域のQを上げることでハイが痛くなく,かつ表情豊かなエグいワウを狙っています。 この場合,インダクターのDCRは小さいほうが中低域のQが高くなります。そういう意味ではFaselの赤はDCRが小さいです。
3:ゲインUP
割と一般的な改造だが,ドライブ段のエミッタ抵抗を470Ωより小さくする。 470Ωにパラレルに1kΩを追加して320Ω程度に設定。
ゲインが上昇するので,可変範囲が広まる。しかしノイズが増えてしまう。 音的にはより暴れる方向かなと思います。
4:トランジスタ交換
トランジスタをBC109Cからビンテージな測定器から外した2SC型番3桁のものに交換。 手元にあったトランジスタを8種類くらい色々と挿してみたのだが,これが一番倍音がでる。
倍音の出方を確認するには同じ音程(もしくは半音差)の音を同時に発して唸りが大きいものが倍音が多い,つまり変調が深いと判断した。 今回の試行錯誤で倍音も変調も同じようなものだと悟った。本当にそれでいいのかはわからんが。
高耐圧な品種ほど肩がなだらかで低電圧で歪むようになると思うのだが,どうもよくわからない。 やはりいろいろ交換してみるのがいいみたいだ。
ノイズ特性はどのトランジスタでもほとんど変わらないが,一種だけノイズがひどく大きくなるものがあった。 高周波用の缶入りのものだ。高周波用は低周波のノイズが大きいものがあるのかもしれない。いわゆる1/fノイズだ。 トランジスタは2SC1815でも何の問題もなく使える。ちなみに2N5172と2SC1815ではほとんど差が無い。 まあ,後は気分の問題。BC109Cは缶パッケージなのでうれしかったけど,しばらくはお休み。
hfeも動作に影響を及ぼすが,ドライブ段の増幅率は470Ωによる局部帰還がかかるので,それほど変化しない。 むしろ,hfeが変化するとベース電流が変化することによってバイアス点が変化し,ヘッドルームが変化する。 ヘッドルームを少なくすると歪が出やすくなるが,突然サチったりすると音が汚くなりよろしくない。
5:中心周波数のシフト
昔のワウはインダクターのインダクタンスが高いものもあったらしい。 ということで,周波数のセンターをシフトしてみた。 中心周波数を低域側にシフトするために共振用の0.01uFに1000pを2個パラ付け。 シーメンスの1000pFスチコンがあったので使ってみた。
周波数をシフトさせるにはコイルのインダクタンスを上げる方法もあるが,共振回路のインピーダンスが上がるので,Qは下がりやすくなる。 どちらかというとコイルのインダクタンスは減らして,キャパシタンスを増やしたほうがQはあがる。 SIM上で理想的なコイルの場合は。。。
6:低域の拡大
入力の0.01uFを2倍にして低域を拡大。 入力インピーダンスを大きくすれば低域は強くなるけど,ノイズが増えてしまうので,できなかった。 代わりにコンデンサーの容量を増して低域を増強。低域の太さを出すにはいいと思う。
「神栄」だったかな。の緑色のコンデンサを使ってみた。海神で買ったやつだ。
7:Qの変更
インダクタンスとパラに入れてる100kΩは踏み込んだときのハイが痛かったり,単音フレーズがコントロールできないので33kΩに決定。 ここは高音域のQに効く。つまり踏み込んだときの痛さに効く。踏み戻したときの低域のQにはあまり効かない。
8:POTカーブの変更
POTを変えてもたいした違いにならないので抵抗を追加してカーブにひねりを加えた。 急激に変化する部分が広く使えるようになり,操作しやすくなった。 踏み戻したときの低域レンジが減少する懸念があったが,それほど気にならなかった。
クラロスタットのPOTは愛着があり気に入っているので換えるつもりは無い。
この部分は回路図には書き込んでいないので,写真を参照のこと。
追記101004:ペダルを踏み戻したときのゲローって感じが弱くなった気がしたので検証してみた。 POTに100kを追加すると半音程度ピーキングの周波数が変わる。 ゲインもやや低くなるようだ。 確かにカーブが変わって制御しやすいのだが,低域のゲインが下がるのは本意でないので,しばらくは外した状態にしてみようと思う。
9:配線と配線材の変更
配線材はLANケーブルの中身をバラしたものを採用。 ツイストペアなのでHOT側とGND側があるが,GND側はすべて接地した。 これに伴いGNDの引き回しを変更。いろいろやったので結果がどうなったのかは忘れた。 スイッチ付近で一点アース的になっていて,基板でも一点アース的になっている。 入力ジャックと出力ジャックも考えると多点アースでもある。なぞなぞみたいだな。
トゥルーバイパスの接続方法にも何パターンかあるが,スイッチの接点を通る回数が少なく,かつバイパス時に入力をGNDにショートさせる方式を採用している。
10:電解コンデンサーの交換
忘れていた項目を追加だ。
元々BPの4.7uFがついているのだが,これを色々と交換してみた。
本当に色々。例えばOSコンはくっきり系。積層フィルムは普通。ROEのBP 20uF。 シーメンスの青いやつ。これが案外不調。漏れ電流が多かった。 WESTCAPのOIL 1uFとか。これは独特な音だった。日本ケミコンの固体電解47uFも試したかな。TOAのMF 1uFも。 WIMAのMKP 2.2uFとか。これは大きくて入らなかった残念。。。0.1uF以下も試したな。
容量が100uFを超えると電源を入れてから音が出るまでに時間がかかるようになる。 容量があまりに小さいとワウの効きが悪くへんな音になる。 最終的に採用したのが積層セラミックで2012サイズのチップ・コンデンサー 2.2uF。 特に理由は無くて,なんとなく(汗)あえて言うなら「性能が悪そうだから」かな(失礼)。。
追記101004:現在はGE製の無極性タンタル・コンデンサにしてある。
なんか縦に圧縮されているように見えるのは絞りの関係です。
抵抗器の上にまたがっている見慣れないトランジスタ(3つのうち真ん中)が出力バッファ用。
基板の上のほうにある見慣れない水色のコンデンサーがバッファ用。
斜めに基板に取り付けてある見慣れない抵抗がバッファ用10kΩ。
スイッチにとりけられている見慣れない抵抗がバッファー出力シャント用の1MΩ
取り急ぎの回路図
取り急ぎ1石 Output Buffer 付の回路図を・・・
Simple Output buffer circuit ( Only 4 parts ! ) for Wah-Wah Pedal.
全体は現状こんな感じに落ち着いています。
バッファーのトランジスタはSIMの便器上2N5172になっていますが,実際は違うもの(2SC1815)を使っています。
ODS+Sで録音しなおした。
130810_wah1.mp3
ODS+Sで録音しなおした。
130810_wah2.mp3
ODS60で録音。ワウといえばこの曲ですか。
うーん,こんなもんかな。おいしいレンジがコントロールしやすいワウになりました。
ストラトのセンターピックアップ,アンプはクランチ設定です。
100801midnt.mp3
追記2018/11/05:最近改造にはまっている。
秘密のワウ・ローブースト・レシピを発見!かかと側のQがとてつもなく高くなり,ものすごくエグくなるが,,,やりすぎると発振する。
合わせて低域のQと高域側のQを別々に調整する方法も見つけた。
それから,ジミヘンのワウ接続方法には知られていないコツがあることに気づいた。
Web上では話題に上がることはないがステージの写真を見て気づいた。実際やってみるとナルホドと納得。ファズとの兼ね合いですかね。
挙句の果てにインダクターを自分で巻きたいと思い始めた・・・泥沼だ・・・
Wah Peadlの原理
原理を理解すれば,改造の方針も明確になるわけで。少し解説したいとおもいました。
ワウのつまりは「ミラー効果(miller effect)」を利用しているということです。
入力から説明していくと,,, 入力の68kΩと1.5kΩでいったん信号を減衰させて,「ドライバ段」と呼ばれる初段のトランジスタで増幅を行います。 この減衰と増幅の加減が絶妙なのです。 68kΩと1.5kΩで信号は1/45に減衰し,470Ωと22kΩで約47倍に増幅されます。 これの数値がワウ・マジックのタネです。
増幅された信号は100kのVRをとおり,減衰量を調整します。 その後,インピーダンスを下げる「バッファー段」と呼ばれるエミフォロ接続のトランジスタを通過します。
エミフォロで低インピーダンスとなった信号を初段に帰還します。 そこにはコイル(インダクタ)が待ち受けています。 このインダクタと帰還回路のコンデンサ(10000pF)が共振を起こして周波数特性にピークを発生させます。 このピークがワウの効果を生み出します。
VRで調整された減衰量にしたがってエミフォロ経由で帰還されるゲインが変化します。 このゲインに比例して10000pFの容量が大きく見えるようになります。帰還による容量増大効果をミラー効果と呼びます。 帰還ゲインが2倍なら10000pFが20000pFに見えます。等価的にです。 実際は47倍まで増幅するので最大で10000pFは470000pFに見えます。 その分,インダクタとの共振周波数は下がることになります。
10000pFと500mHの共振周波数は約2.25kHzになります。これはワウを踏み込んだときの共振周波数です。 かかと側に踏み戻したときに,入力信号に対してミラー効果を47倍と見込むと,コンデンサーの容量が47倍になります。 共振周波数に対してコンデンサーの容量はルートで効くので踏み戻したときの共振周波数は約330Hzになります。
この2.2kHzと330Hzという数字が実に気持ちのよい,ワウワウ効果を生む数字になっています。 これもワウ・マジックです。
1/45に減衰させて,47倍に増幅するという数字が実にアメージングな数字です。
47倍という増幅率をルートすると可変範囲周波数の比になるからです。
踏み込んだときのQはインダクタに並列に入れる抵抗値で決まります。
踏み戻したときのQは共振回路にシリーズで入る抵抗,つまりコイルの直流抵抗で決まります。 それ以外に入力の68kΩと1.5kΩ,その他回路によるロスの影響もあります。
入力の10000pFは全体的な低域のレスポンスに影響しています。
その他,ここに登場しない部品はトランジスタのためのバイアス電圧生成用です。 つまりそれなりの役目はありますが,ワウの機能に対して直接的には寄与しません。
Wah Peadlの原理図
いつものことですが,言葉だけでは説明してもわかりにくいので原理図を作ってみました。
三角形のやつはオペアンプではなくて,理想増幅素子です。ここではゲインが−45倍に設定されています。
上記の回路の周波数応答はこんな感じになります。
68kΩと1.5kΩの分圧回路に500mHと10nF(10000pF)の共振回路がぶら下がっています。
分圧され,1/45に減衰した信号を45倍に増幅して出力していることになります。
周波数が十分低ければ500mHのインピーダンスが低く見えるので単なる分圧回路に見えます。
同様に,周波数が十分高ければ10nFのインピーダンスが低く見えるので単なる分圧回路に見えます。
共振周波数では1.5kΩとシリーズにLC共振回路が接続され,減衰率が小さくなりf特にピークが発生します。
これならば理解できます。自分もこれで納得しました。 まずはこれが理解できないとワウは理解できません。残念。。
同じ回路でコンデンサの容量を450nFにすると↑こんな感じになります。
共振周波数が変化しました。うむ。できる。
コンデンサの容量を連続的に変化させるとこんな感じです。うむ。できた。
共振周波数がコンデンサの容量によって変化するのがわかります。わうわう。
つまり,最初に示した回路図において,コンデンサの容量を連続可変できればワウが実現できることになります。
さて,次の一歩。コンデンサの容量を変化させる働きが「ミラー効果」です。
原理図に・・・ |
ミラー効果を生み出す帰還回路を付け足すとこうなる |
ドライバ段の出力信号をVRに入れて,バッファーを通じて共振用のコンデンサに供給します。
VRを絞りきれば最初の回路と同じになります。なぜなら,三角のやつは理想増幅素子なので出力インピーダンスがゼロ, つまりコンデンサはグランドに接続された状態と同じになるからです。
そしてVRを開けばミラー効果が発生します。
VRを連続的に変化させるとこうなります。
先ほどと異なり,ピーク周波数を低くすると高域が減衰するのは逆位相で駆動している影響だと思います。
ミラー効果はとは何か? 電気回路の中でLPFの働きをしているコンデンサを考えてみます。 コレに,入力信号とは逆位相の信号を加えた場合,コンデンサは「逆位相信号の入力信号に対するゲイン(増幅率)」に比例した電荷を吸い込みます。 多くの電荷を吸い込むということは,等価的に容量が増えたように見ます。これが「ミラー効果」です。
以上,これがワウの原理です。単純化してしまえば不親切なほどシンプルです。 登場人物は68kΩ,1.5kΩ,500mH,10nFこいつらが主役です。次に470,22kが脇役。 それ以外は必要不可欠ではありますが,おまけです。
これ以上のことを考え始めると底なしの泥沼にはまっていきます。 そこまではわたしは関知しませんのであしからず・・・自己責任で・・・Good Luck!
インダクターの比較
21:23 2018/12/24
THE EFFECTOR BOOKにも触発されました。ワウペダルは「泥沼」って言われてますが,どの程度の深さなんでしょうか。。
どーしても気になってきたのでインダクターの比較をしてみました。沼にはまってきました。
ワウペダルは好きですが,改造にはあんまり興味なかったんですけどね。パーツ交換は基本中の基本なのでやってみなきゃわからん!
反対側から撮影
4つのワウ用インダクタを持っています。インダクタンス(inductance)とDCR(DC resistance)を測定してみました。
インダクタの説明 |
インダクタンス |
直流抵抗 |
VOX V846 90年代に搭載 |
564mH |
16.1ohm |
FASEL YELLOW 2003年ごろ入手 |
132mH |
19.5ohm |
FASEL RED 2003年ごろ入手 |
635mH → 605mH |
13.2ohm |
HALO Replica 2005年ごろ入手 |
521mH |
28.2ohm |
FASEL YELLOW(以降YEL)はインダクタンスが132mHしかありません! 公称値500mHのざっくり1/4しかないのでコントロールする周波数が1オクターブ高くなってしまいます。 この状態ではキャンキャンいう感じでファンキーなカッティングには向くかもしれません。 後日いろいろといじっていたら壊れてしまいました。カップコアの接着が甘くなっていたようです。
VOXのインダクターは90年代に中古で入手したワウに取り付けられていたインダクターです。 当時,ペダルを蹴とばすとゴソゴソノイズが出るのが気になり白いシリコンで固めました。 今考えればワックスポッティングすればよかったと思います。 インダクタンスも546mHと公称値に対して+10%以内に収まっています。 コアはカップコアです。
FASEL RED(以降RED)は2003年ごろにリプレース用として入手してしばらく使っていました。 インダクタンスは600mHを超えています。不思議なことに測定を繰り返すと630mHから610mH以下まで徐々に値が減少していきます。 コアがトロイダルコアなので測定時の電流でコアの飽和が発生し透磁率が徐々に下がるのだと思います。
HALOレプリカ(以降レプリカ)はFASELよりも後に入手しました。 レプリカは何種類かありますがどのレプリカなのか忘れました。また時期によっても違いがあるかもしれません。 インダクタンスは521mHです。コアは大型のカップコアですが,抵抗値は少し高めの28ohmでした。 コイルは黒い樹脂で固められています。
比較結果です。
VOX V846 90年代に搭載 |
磁気ノイズ,メカノイズが大きい |
FASEL YELLOW 2003年ごろ入手 |
壊れていたので比較してない |
FASEL RED 2003年ごろ入手 |
静かでおとなしい。ノイズが少ない。 |
HALO Replica 2005年ごろ入手 |
磁気ノイズが大きい。 |
アンプの上にペダルを乗せ,インダクタを交換しつつ手で位置を操作しながら比較しました。 アンプからハム(磁気ノイズ)が出ていてコイルがそれを拾いました。 コイルの向きによっても変わりますが,カップコアはノイズを拾いやすく,トロイダルコアのREDは磁気誘導を受けにくいので非常に静かでした。
磁気ノイズだけでなく,VOXは指ではじくとゴソゴソ音がします。 いわゆるマイクロフォニックノイズという,メカの振動が電気信号に変換されて発生するノイズです。 コイルが振動するとノイズになってしまいます。コイルをポッティングして固めれば改善するはずです。
かかと側ではVOXはレスポンスが弱く感じます。 REDのみ倍音が出てゴリっとします。トロイダルは効率が良い分,飽和しやすく,高調波が発生して倍音を感じるのだと思います。 レプリカはブリンとしたまとまりの良いローミッドが出ます。
踏み込んだ時にはVOXのみ耳に痛い成分がでます。 VOXのみ全体的にガチャガチャした印象である意味ヌケはいいのですが,うるさいです。 REDとレプリカは歪かた含めて非常に似ています。
ペダル中間位置ではインダクタ値が異なるとピークがずれてしまうため比較が難しいのですが,REDはどの位置でも静かでおとなしめ,レプリカはノイズがあるせいか太さを感じました。
足で踏むためにペダルを床に置くと磁気誘導によるノイズが消えました。通常は床置きなので普通に使う分には磁気ノイズは気にしなくてよいはずです。
実際に踏んでみるとレプリカのみピッキングに反応したコリっとした感触があります。 REDはレプリカに非常に近いのですが,より静かですっきりしています。 VOXはやはりうるさく感じます。
VOXのうるささはメカノイズの大きさとも関連するかもしれません。ポッティングするとよいかもしれませんが,白いシリコンを剥がすのが大変なので興味なしです。
FASELのREDとレプリカはよく似ています。 トロイダルコアによるノイズの少なさ,かかと側の倍音が欲しいことを考えるとFASELのREDを使おうかなという結論です。
200kΩのワウポットも試したみたいな。100kを200kにすると可変範囲が2倍になるわけではなく,かかと側のピーク周波数が半音だけ低くなります。計算上はですね。
計算上は470Ωの抵抗に4.7kΩをパラ付けすると同じ状況になります。もしくは10kΩを11kΩか12kΩに交換するとか。
あと,インプットバッファを取り付けたな。シンプルで高性能なバッファね。 それから,ノイズを半分にする回路ってのも考えてるんだけど・・・実験してないな。
ここまでたどり着いた猛者はきっと満足できる。もっとマニアックな情報はこちらへ