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2:初めて作る直熱管アンプの設計

211(VT4C)シングル・ステレオ・アンプの自作


全体的なコンセプト

まず,とりあえずは自分の頭の中の考えを具現化して音を鳴らすことを目標とします。 色々試したいことはあるので,実験するテストベッドにもしたいです。

実験的な位置づけなので,できるだけコストをかけずに音が出るところまでたどり着きたいです。 部品は極力手持ち部品を生かします。


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■2-1:最終段は211SEで決まり

■2-2:駆動段は相当悩む

■2-3:初段は12AU7でよいか

■2-4:電源は戯れしろ満載


以下概要

211(VT4C)シングルステレオ・アンプ回路図(片チャンネル)

増幅回路は出力段に211シングルを据えて,電圧増幅段は12AU7とECC99を使ったCR結合の2段増幅回路と非常にオーソドックスにまとめました。 211も安心・安全なカソード・バイアス方式として,CR結合ドライブして10W程度の出力を狙っています。 +B電圧は1000Vを狙いましたが,カソード抵抗を1kΩとして少し電流を絞った控えめな動作にしています。

出力トランスはプレート負荷を10kΩ,1次インダクタンスを40H以上となるようにオーダーした特注品を使いました。

初段は12AU7パラレル,ドライブ段はECC99のパラレルです。一般的な現行管を採用しています。 これらを並列化することでノイズフロアを改善すると同時にチャンネル間クロストークの悪化を防ごうという方策です。 ECC99は両ユニット合計で約20mA流しておりプレート負荷抵抗の損失が大きくなるので3Wの巻き線抵抗を2本パラレルにしています。

全体的にはオーソドックスな回路ですが,ひとつの特徴として211のグリッドから初段のカソードへ負帰還をかけています。 電圧増幅段はできるだけ低歪みかつ広帯域として,211をしっかりと駆動するという観点です。

初めての直熱管アンプなので長期間安定して動作することと音質劣化を要因をできるだけ減らすことを重点的に設計しました。 そのために回路をシンプル化するとともに使用球の制限を緩めるために直結回路やSRPPは使いませんでした。 そして最大のポイントですが,音質的な影響の大きい電解コンデンサは211のカソード・バイパス・コンデンサ1ヶ所のみとしています。

211(VT4C)シングルステレオ・アンプ・電源回路図
211(VT4C)シングルステレオ・アンプ・電源回路図

電源部は主電源トランスとヒータートランスに分かれています。

主電源トランスは400V-0V-400Vの両波整流用タップをブリッジ整流して1000Vを得ています。 同時に中点タップから電圧増幅段用の500Vを得ています。 整流には1200V耐圧のSiC SBDを2直で使っています。 フィルタコンデンサはオイルコンを使いたいところですが,DCリンク用の高耐圧MKPコンが安価に手に入りますのでこれで代用しています。 450V耐圧の電解コンデンサもインバータ用が安価に入手できますので1000V用には3直,500V用には2直して使いました。

三極管のA級アンプは電源の音を聞いているようなものです。 十分に整流リップルを減らすためには大きなチョーク・コイルが必要になってしまいます。 手持ちのシャーシを使う都合上そんなスペースは無いので1000Vに対応するリップル・フィルタを設計しました。

211(VT4C)シングルステレオ・アンプ・電源回路図
211(VT4C)シングルステレオ・アンプ・電源回路図

500V系と1000V系では電圧検出部分の回路が少し異なります。 リップル・フィルタによる電圧降下は当初20V〜25Vに設定したところ発熱が激しいので現在は10V〜12Vに設定しています。

リップル・フィルタの出力は+B電源立ち上げ遅延回路を兼ねています。 電源投入から約10秒後に500V系が立ち上がり,約20秒後に1000V系が立ち上がります。

シャーシ加工・上面のみ

参考までにシャーシ加工図です。棚上げされていた奥澤の「O-5」を引っ張り出して使いました。 400x200に211シングル・ステレオ・アンプを詰め込んだ悪い例と思ってください。 左右端10mmはフランジがあり使えないエリアです。 点線でトランスの外形や基板の寸法が示されています。 シャーシ内にはスペースが無いのでリップルフィルタとDC点火回路はモジュール化してシャーシ上に立てました。 板金厚は1.2tで加工はサクサク行えますがフニャフニャなので補強のL字アングルを2本追加しています。


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