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配置設計
シャーシはノグチトランスのPMC-100にあわせた穴があいている同店の
S-100です。便利です。
300×160です。t=1.2
と肉薄なので強度に不安がありますが、加工性もよさそうなので採用しました。(ハンドニブラ
があればトランスの穴あけも楽なのだが・・・)
プリ管をフロントパネルに近づけ過ぎないように配置します。
これはプリアンプ部とVRまわりが混み合うのを避けるためです。
ケミコンは全てシャーシ内蔵しました。配置に苦労しました。
アースの取り回しはべっと説明します。
OPT(OutPut-Trans)は重量バランスを考え電源トランス(Power-Trans)の反対側の隅へ配置します。
出力管はOPTとPTの間へ配置します。
整流管はPTの近くにしたいので、PTの正面へ。
そうすると入力部は電源から離したいので、OPTの前になります。
プリ管・PI管は空きスペースに配置します。
フロントパネルにVRを仮装着し、部品を実装できる隙間を確保できる位置を探りつつ場所を決めました。
また、デザイン上の理由で、出力管とOPTの位置に合わせて配置しました。
シャーシ上面に出てくる部品は以上です。
シャーシ内はまず一番大きく、重要な部品であるケミコンの位置を決めます。
ケミコンは電源のリプルフィルター用と各増幅段の カップリング用に区別し、音声信号と電源リプルの分離を図りました。
カップリング用ケミコンは2本のプリ管の間へ、リプルフィルター用はPTの近くに配置しました。
次に実際のCRの大きさをもとにした実体配線図を描き、ラグを立てる場所を決定します。
同時にアースの問題を考えます。これはとーーっても重要です。回路図には出てきませんが、一番重要です。いいかげんにやればノイズはでるは、音は濁るはそりゃ大変なことになるでしょう。
「一点アースがベストである」かどうか?これは個人的には否です。
一点アースではアースポイントまで引っ張っていくのに長くなる線が絶対でてきます。
そして、信号ループが大きくなります。信号ループが大きくなれば外来の電波や誘導などノイズを受けやすくなります。
電源リプルと音声信号が同じ点を共有するのも気になります。
特に全体的にインピーダンスが高めで、微小な電流を扱う
真空管回路では一点アースはあくまでも理想であって実際やってみたところでベストではないと考えられます。それよりも信号電流ループを小さくして他の電流と混ざらないようにする方が重要です。
しかも、ギターアンプはつまみがやたらと多く、アースポイントも大量にあり一筋縄ではいきません。
今回はシンプルな回路であるため、一点アースとニアバイアース(ベタアース)を併用した方式を採用しました。
アースポイントは3箇所。プリ、パワー、電源です。
電源と音声信号の隔離は絶対に必要であり、無視するならば即ハムノイズとダイオードの整流ノイズに悩まされるでしょう。
一点アースをできるだけきれいな形で仕上げるため、プリアンプで一点アースを設けました。
複雑長大なギターアンプではプリアンプで一点アースすら困難ですが、この程度の回路ならおそるるに足りません。
まず、入力ジャックからのアースを信号電流ループが最小になるように慎重に処理しました。
また、重要な信号電流ループであるデカップリングケミコンをプリアンプ部の直近に配置しアースポイントを共有しました。
よくあるようにケミコンをアンプの隅の一箇所にまとめ、電源とアースをプリアンプまで引っ張るのでは信号電流ループが大きくなってしまい、
誘導やノイズを受けやすくなります。
パワーアンプ部とプリアンプ部の距離が離れているため、パワーアンプ部に一点アースを設けました。
出力段は大きな電圧で動作しているためノイズの影響が相対的に小さくなります。
ですからプリアンプの一点アースまで無理して引き回すこともありません。ここには出力管のカソードバイアス、グリッドバイアスをつなぎます。
最後に電源に一点アースを設けました。
電源フィルターコンデンサーのアース側はトランスの0Vタップに直接戻すのが理想です。
電源フィルターコンデンサーにはリプルが大量に流れています。例えてみれば大変汚い汚染源
と同じですので、できるだけコンパクトに発生源へ戻してやることが必要です。
この処理によって大きなリプルが他の部分にもれることがなくなります。
そして、それぞれプリ、パワー、電源の3点の一点アースポイントはできるだけ低インピーダンス
で結ぶことが重要になります。
信号電流はデカップリングコンデンサーがあるのでアースポイントからもれ出ることは(理想的には)ありませんが
できるだけ低インピーダンスで接続することが理想的です。
5ミリの銅線を使うのもよい方法ですが、今回はシャーシを利用しました。
つまりシャーシに電流を流しています。
しかしシャーシには直流しか流れません。これは重要なセオリーです。
一点アースとニアバイアースを併用するこの方法は簡単確実であり、数多くの実例と共に性能も保証されています。
実はこの方法もよく考えるとよくないところがあるのです。ヒントは次段との結合です。この問題をクリアーできるもっとちゃんとした方法見つけちゃいました。そのうちどっかで報告します。
*補足
出力管の電源はケミコン一個で対応しているため、リプルと音声信号の分離ができていません。
そこで、パワーアンプ部のアースをシャーシに落とすのはやめ、太い単線で電源のアースポイントまでアースをひっぱりました。
信号電流をシャーシに流さないための処理です。
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